朝起きるとそこには
「ん……」
朝起きた始の鼻と耳に何かが焼けるような香ばしい匂いと音が届いた。
「……ガス栓閉めたよな……?」
昨夜の記憶を思い出してみてまさかの可能性を考えてみるが匂いは消えない。
「最悪の場合、ローナが教えてくれるはずだが……そういえばあいつモーニングコールとかはしないのか……?」
昨日起動してそのままにしてしまったAIの事を思い返しながらベッドの横の携帯を持ち緊急通報をいつでも出来るようにしながらキッチンへと向かう。
緊張しながらキッチンのある部屋の扉に手をかける。
幾度かの深呼吸をした後、勢いよく扉を開ける。
そこにあったのは見覚えの無い女性型のロボットがキッチンで料理をする様子だった。
「おお……?」
「あ、ご主人様おはようございます。もうすぐ朝ごはんできますのでテーブルでお待ち下さい。」
「ご主人様、その機械音、まさかローナか?」
「すごいですねご主人様。『貴様、誰だ!通報するぞ!』フェイズを挟まずに正解に行くなんて。」
「まあ、目を覚ましたら母さんのAIが何かしてるなんて実家じゃあよくある事だったからな。慣れたもんだ。」
緊張を解いた始は促された通りにテーブルにつく。
「お母様、予告とかなされない方なんですね。」
「いや、深夜に完成したものを試運転してたろ朝になってたが正しかったはずだ。まあ、予告無しでモーニングコールをAIに任せることもあるから否定もしないが。」
「ええ……」
「それはそうとそのボディはどうした?遅れて届いたものか?」
「あ!いえこれは昨晩購入したものです。」
「購入?」
料理が完成したのか皿をキッチンからテーブルに持ってきながら始の疑問についての答えをローナは話す。
「昨晩、話をしてみた感じローナが出来る事が全然無かったじゃないですか。」
「まあ、ここ、アナログ区だからな。デジタル区ならもっとあるんだろうがな。それが?」
「ならば物理的な仕事が出来たほうが良いかなって考えてこのハウスワークロボF型-10番を購入しました!」
「まあ、理由はわかった。恐らく俺の口座の残高を使ったのも想像がついた。」
「はい。」
「せめて朝起きるまで待ってくれないか?購入するかどうかの相談くらいは乗るから。」
「あ〜……その、申し訳ございませんでした。以後気を付けます。」
「まあ、起動まで長々と待たせた罰として受ける。だから今後何か欲しければ相談してくれ。」
「はーい。」
少しシュンとした様子のローナに母親の技術の向上を感じながらテーブルの上に目を向ける。
「さて、この話は終わりだ。取り敢えず朝食のメニューについてでも教えて貰おう。」
「あ、はーい。初めての稼働ということもあり簡単にトーストとサラダ、目玉焼きとベーコンのセットとさせていただきました。」
「ふむ、で?体的にはどうだ?問題は無いか?ある程度なら調整出来るが。」
「今の所は問題無さそうです。このあと掃除とかもしてみてある程度運動面も確認してみようと思います。」
「そうか、午前中は少なくとも現実にいるから何かあれば言ってくれ。」
「分かりました。」
それから出された朝食を始が食べていると。
「そういえば。」
「ん?」
「ご主人様ってロボットの調整出来るんですね。」
「ある程度はな。一から作るみたいな事は出来んが調整や修理なら出来る。」
「お母様なんかは先程の話だとAI関連ならなんでも出来るんですか?」
「ああ、強いて言うなら商売が出来ないくらいだな。」
「もしかしてお父様がそちらを?」
「ま、そういう事だ。父さんは商売以外出来ないが。」
「不足している部分を補い合ってるいい夫婦ですね~。」
「まあ、その代わりどちらも家事は一切出来ないから全部AIとかロボット任せだけどな。」
「なるほど〜」
そんな感じでローナが来てから最初の朝は過ぎていった。




