本気
慌てて始がログインし、ベッドから起き上がり部屋を出るとちょうどブルーも部屋から出てきた所だった。
「あ、スーグさんお待たせしました!」
「あ、ああ俺も今再ログインした所だから大丈夫だよ。」
「あ、そうなんですか?なら、良かったです!」
スーグは少し深呼吸をし焦ってバクバクと現実では音を立てているであろう心臓を落ち着かせた。
「さて、ここからはどうする?ボア狩りに戻ってもいいし、他の奴を倒しに行っても良いと思うぞ。」
「うーん……そうですね……あ、ちょっと見てみたいものがあるんです。」
「お?なんだ。」
「スーグさんって最大レベル何ですよね。」
「ああ。」
「スーグさんの本気が見てみたいなぁって。さっきまでスキルも使えなくなってましたし。」
「ん……」
言われてスーグは考えるような動作を始める。その表情はかなり苦しそうなものだった。
NLOでのアバターはプレイヤーの感情をかなり表情に出す。現実世界の始よりも大分表に悩んでいるという感情を表に出していた。
「あ、む、無理なら大丈夫ですよ!」
「ん……う〜ん……」
ブルーの言葉も耳に入っていないのか本気で悩んでいるスーグに流石のブルーも何かがある事を悟った。
それが何かは分からないが見せれば何かがスーグか自分にとって不都合があるのだろうと。
「あの、本当に大丈夫ですよ?そこまで悩まれるなら何かあるのでしょうし。」
「……」
「スーグさん?」
「はぁ……仕方無いやるか。」
決心したというよりは諦めたと言わんばかりの表情でスーグは了承を示した。
「え、ええ!?な、なんで?先まであんなに悩んでたのに!?」
「ネットゲームにおいて先人の本気を見るというのはいずれは必要になる事だ。上を目指さないにしてもな。」
「でもそれなら今は配信とかありますし……」
「目の前で見るのとモニター越しで見るのはいくらかは違うからな。別にモニター越しでしか見ない奴をけなすわけじゃないが。」
「ほ、本当にいいんですか?あんなに悩んでたのに。」
「どうせどこかで見せることになる。なら初日、まだそこまで仲良くなっていない最初の方が良いと思ってな。」
「それってどういう……?」
「後で教えてやるさ。このゲームにおいて俺がどういう扱いを受けるているかっていうのをな。」
そうしてスーグとブルーが訪れたのは町から少し外れた洞窟だった。
「ここは?」
「『不浄墓地の洞窟』、アンデッド系統のモンスターが山程出てくる洞窟だな。」
「アンデッド系統……スケルトンとかリビングデッドとかですか?」
「そうだ。この洞窟はこの近くだと一番レベルが高い洞窟になっている。大体レベル20から30ぐらいが適正だったはずだ。」
「初ログインする町の近くにそんなのがあるんですね……」
「まあ、何も知らない情報弱者を轢き潰す為の洞窟ってネットでは言われているな。」
「え、ええ……」
「ここを攻略していく。」
「わ、私まだレベル2ですけど!?」
「もちろん俺一人でだ。手助けはいらん。」
「た、確かに適正から50以上離れてるから大丈夫だとは思いますが……」
「ああ。大丈夫だ。」
スーグはメニュー画面を開きレベル上位者設定を解除する。
試しにと左手を構え、魔法を使用する。
「〘光よ〙〘照らせ〙、『トーチライト』。」
すると左手から光の玉が現れスーグの頭の上に移動した。
「よし、解除されたな。」
「それは?」
「光魔法の2個目の魔法トーチライトだな。トーチ、松明の意味だがその名の通り松明の様に光がしばらく周りを照らしてくれるっていう便利な魔法だ。」
「へー便利な魔法ですね。それが2個目って事は他の魔法も2個目は便利魔法だったりするんですか?」
「ああ、例えばお前の選んだ雷魔法ならスタンボルトって魔法で火力は無いがかなり高い確率で麻痺を相手に付与できる魔法だ。」
「おお!……このゲームの麻痺ってどんな状態異常なんですか?」
「単純に体に痺れたような感覚が流れて動けなくなる状態異常だな。」
「成る程成る程。」
「対人だと麻痺対策をしていないと近接ビルドは人権は無いとまで言われているな。」
「まあ、簡単に覚える魔法がそれですもんね……」
「他の魔法も便利なものがあるがそれはまた別の機会にな。」
「はーい。」
「さて。」
スーグは首を鳴らすような動作をする。
そして、ニヤリと笑う。
「やるか。」




