明日の約束と見落とし
エイプリルフールネタはあるのですが現在キャラが全然出ていないので今やっても面白くないと思われるので来年にします。
スーグに言われた通りベッドに横たわりながらログアウトボタンを押すと目の前の光景が少しずつ遠くなっていき約3秒程で現実へと戻って来た。
「ふぅー」
D-リムギアを頭から外し起き上がった葵は体が少しだるく感じ伸びをする。
「頭はずっと動き回ってた感覚なのに体は動いてないから硬くなっちゃってるのかな?なんか、変な感じだなぁ~」
葵は早速ログインする前に準備していたパジャマを手に廊下に出る。
ここは葵の家、至って普通の住宅街の真ん中にある一軒家だ。
今となっては珍しい、ドアや窓を自分の手で動かさなければならない建物だ。
葵は別にそれを不便に感じた事は無い。
というのも葵は産まれてから学校の修学旅行の様な宿泊行事以外ではそういった建物の宿泊施設に入った事が無いからだ。
(先輩はそういう所に住んでたりするのかな?)
リビングの横に通りかかるとテレビの音が聞こえた。お風呂に入る事を知らせておこうとリビングに入る。するとそこには並んでソファに座りテレビを見ている母と父がいた。
「お母さーん、お父さーん、これからお風呂入るよー」
「服は全部洗濯機に入れちゃいますなさい」
「ちゃんと肩まで浸かるんだぞ。」
「はーい」
高校生になる娘を持つ夫婦としては珍しく夫婦仲はかなり良好で今でも2人で出かけたりする程だ。
「アレで私、一人っ子なのが不思議なんだけどなぁ。妹とか欲しかったんだけど……ま、いっか。」
洗面所に辿り着くとドアに鍵をかけ服を脱ぐ。
「うーん、ログインするときはなるべく楽な格好がいいって言ってたしやっぱりナイトブラを付けるかノーブラとかの方がいいのかなぁ。」
そんな事を言いながら去年買って、最近少しサイズが小さくなってきたブラと共に服を洗濯機に入れる。
裸になった葵はハンドタオルを持って風呂場に入り頭と体を洗い湯船に浸かる。
「ふぃーやっぱりお風呂はいいなぁ〜」
ゆったりとしているとふと今日の悲惨なテストを思い出しそうになりそれを振り切る様に頭を振りゲームの事を考える事にした。
「あれがVRMMO、ゲーム世界に入り込めるゲー厶かぁ〜楽しかったなぁ〜」
ここ数時間でやった色んな事が頭の中をよぎる。剣を振り、魔法を放ち、敵の攻撃をかわし、敵を倒す。ゲームとして今までもやってきたことだったがやはりコントローラーを操作するゲームとは楽しさが数倍いや数十倍も違った。
「先輩がいてくれて助かった〜一応メニューにチュートリアルってあったけど説明文を読むよりやってる人から教えて貰うのが私としては分かりやすいし。」
体を浴槽の壁側を向け、顎を浴槽のへりに乗せる。葵が風呂に入る時に一番好きな状態だ。
「でも先輩、最初なんであんなに嫌がってたんだろう。教えるのがへたーとか口下手ーって訳でも無さそうだし。」
最初に頼んだ時の事をふと思い出し首を傾げた。あの時のそれは並大抵の悩み方ではなかった為、教えるのがめんどくさいとかでは無いはずなのだ。
「うーん……いつか話してくれるかなぁ……」
それから30分程湯船に浸かった葵は風呂から上がった。
バスタオルを体に巻きドライヤーで髪を乾かしているとスマホの通知音がなった。
「ん?メール?先輩かな。」
ドライヤーを片手にスマホを開くとそこには茜からメールが届きましたと書いてあった。
「あ、茜からだ。なんだろ?」
メールが来た彼女、紅野 茜、(こうのあかね)は葵の幼馴染にして親友だ。小学、中学と同じ学校に通っていたが葵が高校の受験にて落ちてしまい仕方無く別の高校に通っている。
葵よりも少し背が高く、可愛いよりも美人という顔立ちとスラリとしたボディは男子よりは女子に人気がある。
髪は綺麗な黒髪を長めのツインテールにしている。なんでツインテール?と聞いたことはあるがはぐらかされてしまった為理由は不明である。
「えーと、『明日、デジタル区のギガモールに買い物に行かない?』かぁ。うーん……ちょっとゲームしたいけど……お金も無いし……でも茜と予定合うの今のうちかもだしね。『うん、いいよ!明日9時デジタル区入口で集合でどう?』っと。」
返信を送ると葵の返信速度の何倍もの速度で返信が帰ってきた。
「相変わらず早いなぁ、えっと『分かった、遅刻しないでよ。』かぁ。もう心配性なんだから。『分かってるよ〜』っと。」
茜からおやすみという意味合いのスタンプが送られてきた為、葵も同じスタンプを送り、スマホを片付けパジャマに着替えて部屋に戻るのだった。
その頃始はとっくの昔に風呂から上がり22時までメールの確認をしようとメールを見ていた。
「ふむ……久々に見ると溜まってるなぁ。父さんと母さんのメールに……これは広告メールか消しておこう。」
そうして一つ一つ見ながら処理していると4月の頭に送られてきたメールが目についた。
「ん?これ重いな……添付データがある。送り主は父さんか、なになに……『最近生活はどうだろうか不自由なことはないか?困ったことがあればいつでも相談しにこい。俺に言いたくなければ母さんでもいいからな。話は変わるが今回一緒に送ったデータは母さんの作ったサポートAIだ。かなり流暢に喋れて優秀だから存分に使ってやるといい。注意点としては今回かなりキャラクター性を持たせて組んだからほっとくとへそを曲げる可能性があるから気をつけろよ。』……不味いな。」
スマホを片手にタブレットを起動させ添付データをタブレットに移動させそれを起動する。
ぼんやりとタブレットの画面に人型が作られていく。スーパーロングの髪とパーカー短パン、ニーソックスという格好をした人の姿をしたそれはゆっくりと目を開く。
そして口を開く。
「おはようございますご主人様、サポートAIのローナと申します。ものの見事に放置されていましたが今後ともよろしくお願いします。」
美しい電子音からなされる嫌味たっぷりの言葉に始は頭を抱えるのだった。




