レベルアップと休憩
今回いつもよりはちょっと長めです。
そうして走り出したブルーはサンダーショットやスラッシュを使いボアを倒して回った。
ボアは最弱モンスターが故に倒されても10匹目を探して倒す頃には1匹目が復活するという凄まじい復活速度を誇っている。
そうして倒していくと、
計11匹目を倒した所でブルーの体がピカッと白く光った。
「ほぇ!?な、なんですか!?」
「お、レベルアップしたなおめでとう。」
「レベルアップ!?……あ、本当です!レベルアップって書いたウィンドウが出てます!」
「レベルアップすると今みたいに白い光に体が包まれるんだ。」
「ふむふむ、このゲームだとレベルアップした時に起こることって他にはどんな事があるんですか?」
「そうだな……まずはステータスポイント、割り振る事でステータスを変化させられるものが5ポイント貰えるな。」
「それは5ポイント固定なんですか?」
「ああ、レベルが高くなっても固定だな。」
「ということは最大レベルが80だから……うーんと……400ポイント貰えるんですね!」
「おしい、395ポイントだ。スタートは1で上がるのは79回だからな。」
「うっ忘れてました……。そういえば確かにキャラメイク後に何もなかったためかも……あれ?じゃあ初期キャラって見た目が違う以外みんな同じなんですか?」
「ああ、他のMMOでは初期キャラを作る際にステータスを割り振るものはそれなりにあるがNLOではみんなレベルアップを重ねていくことでようやくステータスの違いが出てくる様になってる。」
「へーそーなんですね。」
「ステータスポイントの他にはHPMPの全回復&状態異常回復がある。」
ブルーは言われて自分のHPMPを確認してみると、マジックチャージの使用とボアの攻撃を数回受け少しばかり減っていたHPともう少しならこれでいいかと減ったままにしていたMPが端まで回復していた。
「あ、本当ですね、全部回復してます!」
「回復してなかったら不具合報告しような。」
「はーい。他にはありますか?」
「あとはスキルの説明の時に言ったスキル欄の増加が一定レベルであるくらいだな。」
「なるほどなるほど。」
「それじゃステータス振り分けるか。」
「そうですね!」
ブルーは見渡して近くにあった岩に腰掛ける。
スーグは立ったままその横についた。
「えーと……どうしよっかなぁ。」
「ま、最初の方はこれが足りなかったなぁもう少しこれが欲しいなぁってやつに振ればいい。」
「分かりました。えーとじゃあ……STRとMATKに2ポイントずつで残りはDFFにしようかなー。」
「その心は?」
「えっと攻撃が強くなればMPも温存出来そうですし、今の装備と体力だとボアの攻撃をお腹とかにクリティカルに貰っちゃうと5発くらいで死んじゃいそうなのが怖いなぁって。」
「理由が言えるならそれでいい。必要なステータスが揃って無いのに適当にするのが一番ダメだからな。」
満足気にスーグが頷く。
褒められたと認識したブルーは少し照れながらもステータスを割り振りOKボタンを押した。するとレベルアップの時と同じ様に白い光に体が包まれた。光が消えるとブルーは立ち上がり体をキョロキョロ見回す。
「えっとこれで何か変わったんですよね?」
「ああ。とはいうが流石に1ポイント2ポイントで大きくは変わらない。5ポイント全部1個に振り切るみたいな事をすればわりかし変わるがな。」
「こればっかりは直接戦ってみないとって事ですね。」
「ま、そういうことだ。まだまだ続けるだろ?」
ブルーはその問いかけにはっと気づき視界を見回す。
「スーグさん、時計ってどこ見たらいいです?」
「HPとは逆側右上の方を見てみろ。」
言われた通りHPを見てみると現在の時刻は20時30分、ログインしたのが18時頃だったので2時間半はやっていることになる。
「時間ってあっという間ですね……」
「楽しいことだと特にな。まあ、ゲーム始めたてだからチュートリアルに時間を取られたぐらいに思っておけばいいさ。」
「あのそろそろお風呂入りたいんですけどここでログアウトってして大丈夫ですか?」
「いや、町に戻ってからの方がいいな。町の外でログアウトするとしばらく無防備な状態でアバターが残ってしまうからモンスターの攻撃を受けてHPが無くなってしまうのもそうだが他のプレイヤーに狙われてしまう。」
「他のプレイヤーに?でもプレイヤーを故意に攻撃するとイエローになっちゃうって言ってませんでした?」
「ログアウト状態の体を攻撃してもイエローにもレッドにもならない。まあ、フィールドで無防備にしてるのが悪いって事なんだろうな。」
「あーなるほど。じゃあ町まで戻らないと、ですね!」
「ああ、戻ろう。」
それから10分もしない内に2人の姿は町の門にあった。
「わぁなんか出た時より人が多いですねー」
「仕事帰りの社会人がログインして来たんだろう。俺達は学生時間と呼ばれる18時頃にここを通ったからな。」
「なるほど社会人。それはそうとここでログアウトすれば大丈夫なんですか?」
「まあ、大丈夫といえば大丈夫だが……」
「だが?」
「ここに急に現れる形になるからマナーとしては良くないなぁって感じだ。」
「あ、そっかここに帰ってきちゃうんですもんね。じゃあ路地裏とか?」
「路地裏はちょっと柄悪い奴がたむろしてる事が多いから……うん、ちょっと付いてきてくれ。」
「え?」
そうしてスーグが連れてきたのはINNと書かれた看板を軒先に吊るした店だった。
「ここ、宿屋ですか?」
「ああ、1日10コールという格安で部屋を貸し出してくれる穴場の宿屋だ。あ、コールってのはこの世界の金の単位な。」
「10コールの価値が微妙に分からないんですけど安いんですか?」
「簡単に言うとボア1匹が落とすコールが5コールだ。」
「ボア2匹分!?確かにそれは安い気がしますね……」
「まあ、難点を言えばこの宿は1日の設定が6時始まりらしくてな宿に入ってコールを払うのがが5時59分とかになると6時になった瞬間にもう一回コールを払わなきゃいけなくなるところかな?」
「なるほど、徹夜時には要注意と。それでどうして宿屋に?」
「ここで部屋を借りていつでも人を気にせずログインログアウトをしようって話だな。」
「その為だけ、なんですか?」
「あ、いや他にもあってな。例えば程々の収納も宿屋の部屋にはあるからそこに荷物を置いておける。」
「あ、倉庫として使えるんですねそれは便利かも。」
「契約期間が終わっても1週間は残してくれるらしいから気にしすぎなくてもいいぞ。」
「ふむ、その間にボア2匹……いや4匹倒してこいと。」
「ま、しばらくログイン出来なかったり相当何かを作ることに熱中して金を溶かしてフィールドに出ないということでもない限りは簡単に借り続けられるな。」
「確かにいいですね。」
「あと……まあ、あとは女性プレイヤーが宿屋を借りてる確率はかなり高かったりする。」
「え、そうなんですか?」
「ああ、めんどくさい奴に声をかけられた時に逃げ込める場所という意味合いもあるが他にもある。」
「それは?」
「あーちょっと直接見てもらった方が早いかもしれん。」
そう言うとスーグはメニュー画面を開き装備画面を開いた。
スーグが何かを操作するとそれまで纏っていた鎧が消え代わりに裾が足元まで伸びるコートが出現した。
「いまので何か分かったか?」
「えーと?」
「まあ、分かりづらいよな。」
スーグはコートを戻し再び鎧を身に纏った。
「正解は装備を帰る際装備が少しの時間消えてしまうって事だ。」
「?」
「今、俺が上半身の装備の3段階ある一番上、鎧外套を弄ったから分かりづらかったと思うがこれがシャツだったらどうなったと思う?」
「えーとシャツが消えて別のシャツが出てくる?」
「そうだ、つまりは下着が出てしまうんだ。」
「え、ええ!?」
「まあ、こればっかりは教えてもらわないと分からない事だが装備を変更する際、前まで着ていた装備が消えて現れるまで約3秒程あるんだ。つまりその間はその下にあるものが丸見えって訳だ。」
「じゃ、じゃあもしシャツと下着だけの格好で露店でシャツを買ってその場で着替えたら……」
「御名答、下着が店主から丸見えだ。」
「わ、わぁ!?」
「だから女性プレイヤーの大半は着替え場所として宿屋を借りてるって訳だ。」
「な、なんて切実な理由……」
「露店商、というか町中でシャツ装備を売ってる奴が大半男な理由だな。」
「うわぁ……」
「だから町中で身軽な格好で歩いてる時に露店商とかに声をかけられてもシャツとかを買ってその場で着替えちゃダメだぞ。」
「は、はーい。」
「ちなみに一部には男性アバターの筋肉を見たいという理由で男性に勧めるやつもいる。」
「スーグさんとかまさに標的では?」
「ああ結構声をかけられる。そのおかげでこういった事象がある事を知れて今、お前に伝えれてる訳だが。」
「筋肉ムキムキにもメリットあるんですね……」
「まあ、そういう事だ、しっかり3日分借りて風呂行って来い。」
「あ、そうだった。それじゃちょっと借りてきますね。」
ブルーが借りてきた部屋番号は203号スーグが借りている部屋の隣だった。そして部屋に行く道中ログアウトの仕方をブルーに教えた。
「その、お待たせするのは申し訳無いんですけど……」
「別にいい、なんなら俺も入ってくるさ。」
「あ、スーグさんもまだだったんですね。」
「基本的には22時頃にいつも一緒にやってる奴とは別れるからな。その辺りで風呂入ってその後一人でドロップ集めとかやってる。」
「そうなんですね〜。……えっとなら遠慮なく行ってきますね。きっと22時までには戻りますから!」
ちらっとスーグが時計を確認すると20時45分かなり間はあるが相手が女子だということもありまぁそういう事もあるだろうということでスーグは長めな入浴時間を流した。
「ああ、また後でな。」
「はい、また後で!」
ブルーが部屋に入っていくのを確認したスーグは自分も部屋に入りログアウトするのだった。




