No.83 コンプラ違反はNG
「まるで修学旅行みたいで楽しいニャン」
「ほぅ、オキノは修学旅行を経験済みかぇ?」
リーマンはガールズトークに乗り切れず、多少居心地が悪そうにしている。
今は服の話題なだけにさらに針の筵のようだ。
リーマンは真剣な声色で悲壮な表情を浮かべる。
「とにかく、一刻も早く状況を改善して欲しいのです。このまま上昇していったら私たちは死んでしまいます」
「さようか。プリンもあるぞ?」
黙れの意志を込め、プリンを振る舞う。
部屋の中はプリンの甘い香りで満たされた。
「旨いニャン! カルカン様もどうニャン?」
「できれば本みりんをたっぷり掛けて欲しいにゃー」
「カルカン、気をしっかり持て。それはプリンでは無くなるじゃろぅ?」
妾たちがワイワイと甘味で賑わっていたら、先ほどから黙っていたリーマンが唐突に台パンを始める。
「プリンどころでは無いですよ! 早くこの事態をどうにかしてください!」
憤慨しているリーマンを宥めるのは骨が折れそうだ。
カルカンに任せようと近くに転がっていたマイクを渡して見る。
すると、悲しみを歌に乗せて唄い始めるカルカン。
「ものの見事にリバウンド~♪ リバウンド! ものの見事にリバウンド~♪ リバウンド! にゃ!」
謎の歌だが、何か切ない気分になるのは何故だろうか。今のカルカンに呼び名を付けるなら、カルカンゾンビだろう。
カルカンとリーマンは軽めに無視しつつ、オキノと一緒にテレビを見ていた。
「なんじゃと!? かような理不尽があってたまるか!」
新クールの深夜アニメが、災害報道で軒並み潰れている。
「アニメが見れないのなら妾は一体何をすれば良いのじゃ……」
「龍脈の調整だと思うニャン」
「龍脈の調整をしてください」
「私にビールを返して欲しいにゃーーーー!」
嘆く演技をして同情を求めたら、全員から責め立てられて少々カチンときた。
「よい! ならば妾が一肌脱いでやるのじゃ!」
覚悟の程を示す。ポポポンと身に着けている物を脱いでいった。
妾以外の全員が驚愕の表情をしたのち、一斉に叫んだ。
「「「コンプラーーー!」」」
実際に脱ぐのはNGらしく、懇々と説教をされてしまった。
幼女の何たるかをリーマンに語られたことは、誠に遺憾である。
「ぐぬぬ。遺憾砲斉射三連なのじゃ! 折角の妾のやる気に水をさしおって!」
へそを曲げたら全員からヨイショをされる。
オキノは手拍子を始め、リーマンも蜜柑を剥いた上で白い筋も取って献上してくれる。だが、カルカンの謎の歌は聞き流しておく。
「うむ。そこまで望むのなら本腰を入れて龍脈の調整に挑むとするかの」




