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『笑うとき、泣くとき』
都会の喧騒、光の広場
アコーディオンが響くとき
男の笑顔は太陽となり
行き交う人の影を消した
ビジネスパーソンは歩みを緩め
泣いていた子は声を上げ
老夫婦は静かに手を取り合う
「彼が笑えば、世界も笑う」
人々はそう信じて疑わなかった
けれど、非情な冬の雨が降る
相棒の楽器は砕け散り
最愛の灯火も消え去った
かつて光に満ちたその場所で
男はただ、激しく泣いていた
人々は傘のなかに身を隠し
冷たい雨の音は涙をかき消す
目をそらし、足早に去る背中
「自分が泣くとき、世界は泣かない」
孤独の闇が、彼を深く包み込んだ
世界は喜びを分け合えても
底知れぬ悲しみは背負ってくれない
涙はどこまでも、一人きりのもの
冷たいコンクリートの上で
彼は静かに、その真実を拭った
ポケットから取り出した小さなハーモニカ
震える唇が、そっと触れる
悲しみの底を知った男が
次に奏でる音色は、まだ誰も知らない




