↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/10

『一枝(いっし)に宿る、二つの灯火 』

山のふもとの 古びた庵(いおり)

老いた手がつむぐ 木の命


ある日 嵐が引き裂いた

一本の太き 杉の枝

黒く焦げたる 荒々しさと

青く芽吹いた みずみずしさと

ひとつの身体(からだ)に 抱きしめて

地面にぽつりと 落ちていた


職人は 刃を当てて 削りだす

焦げた木肌に 宿りしは

嵐を耐え抜く 鬼神力(きじんりょく)

見開く眼(まなこ) むき出しの歯

災いを裂き 苦難を蹴散らす

「負けてたまるか」と 吠える盾


青き若葉に 宿りしは

天の恵みの 観音力(かんのんりょく)

閉じた目元に 浮かぶ笑み

涙をぬぐい 怒りを溶かす

「大丈夫」と 寄り添う光


夏に荒れ狂う 泥の海

怯える命を 引き揚げたのは

胸に燃え立つ 鬼神の焔(ほのお)

絶望の底 泥にまみれて

いがみ合う心を 救ったのは

そっと差し込む 観音の露


一草一木 どんな命も

二つの風を 宿している

壁をぶち破る 牙を持て

傷を包み込む 腕(かいな)を持て


二つの人形は 祠(ほこら)の中で

今宵も 静かに 語りかける

いま あなたの心に 吹く風はどちらかと

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。