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『遠い街の君と、潮風の部屋で』
潮風が運ぶ 静かな夕暮れ
本の海で 心はぽつり 迷子になっていた
何百キロも離れた 東京の街にいる
かつての特等席の 君を想って
「今さら」の言い訳で 隠した寂しさ
引き出しの奥 めくった暦がささやく
「つながろうよ オンライン・スマイルで」
背中を押すのは 熱い言葉と 小さな勇気
文字に託した 「元気?」の二文字
沈む夕日が 画面を赤く染める
波音のような鼓動のあと
すぐに響いた 懐かしいシグナル
受話器の向こう 少し疲れた君の声
だけど笑えば あの頃の僕らへと巻き戻る
積もる話が 距離を溶かしていく
数ヶ月の空白が またたく間に消えてゆく
「話せばさ、すぐ隣にいるみたいだ」
君の言葉に 深くうなずいた
窓の外 夜空と町の灯りが重なる
見えない糸が 確かに今 結ばれた
心と心は ノーディスタンス
どんなに遠く 離れていても
想う気持ちが 光を灯す
ユキの胸を満たす あたたかい夜空のように




