表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神に捨てられた最弱少年、実は全魔法を無効化するチート持ちだった件  作者: マサキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/20

第十四話「王国の危機」

第十四話「王国の危機」

 王都を出たのは、三日後の朝だった。

 メンバーはセラ、ライラ、そして僕の三人。エリアは王都に残る。

 屋敷の門まで見送りに来た彼女は、最後まで表情を崩さなかった。

「連絡は入れなさい」 「できる限り」 「できる限りじゃなくて、必ず入れなさい」

 わずかな間のあと、僕は頷いた。

「……わかりました」

 エリアは小さな革袋を差し出す。

「お守り代わりよ。辺境伯家の紋章入りの通行証。北方なら役に立つ」 「ありがとうございます」 「礼はいらない。――生きて帰ってきなさい。それだけよ」

 それだけ言って、彼女は背を向けた。

 扉が閉まる直前――ほんの一瞬だけ、こちらを振り返る。

 それだけだった。

「行くぞ」

 セラの一言で、僕たちは歩き出した。

 王都北門を抜けると、街道がまっすぐ北へ伸びている。

 空は晴れているのに、北の空だけが低く沈んでいた。

 嫌な予感が、ずっと消えない。

 ◇

 二日後。

 北方拠点都市ガルナに到着した。

 城塞都市に近い構造。王国軍の駐屯地もある。

 だが――

 空気が重い。

 市場は半分が閉まり、人の声は少ない。

 誰もが、何かを恐れている顔をしていた。

「何かあったのか?」

 セラが露店の主人に声をかける。

 男は周囲を気にしてから、小さく言った。

「昨夜、また一人……消えたんです」

「また?」

「ひと月で三人。……いや、もっといるかもしれない」

 声が震えていた。

「遺体も出ない。ただ、消えるんです」

 ――嫌な話だ。

 宿を確保した後、すぐに駐屯地へ向かった。

 指揮官バルドは、疲労を隠しきれていなかった。

「失踪者は把握しているだけで七人。ですが……」

「まだ増える可能性がある?」

「ええ。報告を避ける村もある」

「なぜ?」

 わずかな沈黙。

「……失踪者は全員、魔法適性が高い」

 空気が凍った。

「知られれば、子どもが狙われる。だから隠す親が出ている」

 ライラが一歩前に出た。

「SSS適性は?」

 バルドの表情が変わる。

「……一人。最初の失踪者です」

 視線が自然と集まる。

 答えは出ていた。

「ゼクスですね」

 僕の言葉に、誰も否定しなかった。

「目的は“儀式”です」

 ライラの声は静かだった。

「高魔力者を集め、魔力を抽出する。――生きたまま」

 バルドの顔色が変わる。

「では……まだ生きている?」

「儀式が終わっていなければ」

「その儀式は、何のために?」

 一瞬の間。

「神に干渉させるための扉を開く」

 沈黙が落ちた。

「開いたら……どうなる」

「世界が壊れます」

 即答だった。

 ◇

 夜。

 街外れで、ライラが術式を展開する。

「魔力の流れを辿る」

 淡く光る陣。

 時間だけが過ぎていく。

 そして――

「……見つけた」

 ライラが目を開いた。

「北東。山中。三時間ほど」

「間に合うか?」

「ギリギリです」

 迷う理由はなかった。

 即座にバルドへ連絡。

 外周を兵で固め、中には入らせない。

 理由は一つ。

 ――兵も“燃料”になる。

 ◇

 夜中二時。

 山へ突入。

 雨が降り始めていた。

「来るぞ」

 セラの声。

 気配は複数。

 ――番兵。

「突破する」

 短い作戦。

 ライラが前、僕が魔法吸収、セラが近接。

 完璧に噛み合った。

 最初の十二人。

 三分で無力化。

 次の二十人。

 同様。

 だが――時間が足りない。

「急いで」

 ライラの声が鋭くなる。

「儀式が加速しています」

 ◇

 山中の広場。

 そこに――あった。

 石造りの祭壇。

 七人の人間。

 全員、生きている。

 そして、黒衣の男。

「遅い」

 男が笑う。

「あと五分で終わる」

 同時に、三十以上の番兵が現れた。

「行け」

 セラの声。

「ここは俺たちで止める」

「でも――」

「いいから行け!」

 ライラも頷く。

「儀式を優先」

 ――信じるしかない。

 僕は走った。

 魔法が飛ぶ。

 全部、吸収する。

 痛みが頭を叩く。

 それでも止まらない。

「愚か者が」

 黒衣の男が杖を向ける。

 闇魔法。

 これまでで最大。

 ――吸収。

 膝が崩れそうになる。

 それでも、一歩。

 さらに一歩。

 男の目前へ。

「どけ」

「神に逆らうか」

「知りません」

 溜めた魔力を――

 叩き込む。

 男が吹き飛んだ。

 祭壇の光が揺れる。

 そして――

 消えた。

 ◇

 十分後。

 戦闘終了。

 七人全員、生存。

 バルドが崩れるように膝をつく。

「……全員、いる」

「約束しましたから」

 それだけでよかった。

 ◇

 帰路。

「鼻血出てるぞ」

「問題ありません」

「問題しかないだろ」

 言い返せなかった。

 ライラが言う。

「次は帝国です」

「なぜ」

「本拠地があるから」

 スケールが跳ね上がる。

 でも――

「行くしかない」

 セラが笑った。

「面白くなってきたな」

 夜が明ける。

 戦いは、まだ終わらない。

 ――ここからが本番だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ