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電車を降りたらそこは異世界でした 悪役令息と七人の魔女  作者: ゆきあさ


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めざめつつ

来ていただいてありがとうございます!

※前半セシル視点です




「これは一体どういうことですか?ハーヴェイ殿下。僕をリサから引き離して何をするおつもりだったのです?」

「ごめん!リサ嬢に危害を加える気は全くなかったんだ。ただちょっと話をしたくて……」

いつも堂々としてるハーヴェイ殿下にしては珍しく動揺してるけれど、僕も引けなかった。

「そんなのは当然です。もしもそうなら僕は殿下を絶対に許しません」

殿下の慌てた様子に、彼が嘘を言ってないことは見て取れた。だが、それはそれだ。


ハーヴェイ殿下の姿が見当たらず、教室へ戻って来た僕の目に飛び込んできたのは殿下の手を払いのけるリサの姿だった。ハーヴェイ殿下がリサを気に入ってるのは分かっていたけれど、まさか僕を騙すようにしてリサに接触してくるとは思わなかった。彼は僕にとって幼馴染であり、よき理解者だったからショックでもあった。もし、もしもリサが望むのならともかくリサの意思を無視してリサを手に入れようとするなら、僕は容赦をするつもりは無い。


「もう、大丈夫。ありがとセシル」

抱き止めたリサの体は少し震えていた。階段から落ちそうになったんだから無理もない。リサは自分で立とうとしたけど足に力が入らないらしく僕の腕にしがみついていた。僕はリサの腰に腕を回してそのまま抱き寄せた。

「……っ」

リサはハッとしたように僕を見上げ、それから安心したように少し体の力をぬいて僕に身を預けてくれた。



「こんなだまし討ちのような真似は止めて下さい。リサは僕の婚約者であり、クロックフォード侯爵家の庇護下にあるのですから。いくら王家といえどこのようなふるまいは許されません」

「…………わかった。危険な目に合わせてしまってごめん。もうあまりリサ嬢にちょっかいをかけないようにするよ」

殿下は大きくため息をつき、お手上げだというように両手を上げた。そして苦笑しながら僕達の教室を出て行った。

「まったく……」

()()()ちょっかいをかけないってことはまだ諦めてないな。リサは王国にとって有用な存在だ。王家としては囲い込んでおきたい所だろう。だけどリサが嫌がっている以上、僕はリサを全力で守ろうと思っている。もう二度もリサには救われてるのだから、王家と対立してでもリサの自由を守りたい。



「……殿下に何か言われた?」

「乗り換えないかって。ハーヴェイ殿下は今フリーだからって」

「やっぱりか…………リサはどうしたい?」

以前は断っていたけれど、もしかしたら気が変わってしまったかもしれない。弱気な心がそんな質問をさせた。

「前にも言ったけど、絶対嫌!……断ったんだけど、そしたら手を掴まれて振り払ったらちょっとバランスを崩して落ちそうになっちゃった」

断固たる返事にホッとした。でもリサにいつもの元気が無い。よほど怖かったんだろう。震えが治まって自分で立てるようになっても僕の服を掴んだままだった。魔女に対してはあんなに強いのに、今のリサはたおやかで気弱な普通の女の子に見えて、何だかリサとの距離が縮まったように思えて嬉しかった。








++++++++++++++++++++++++




胸がドキドキしてる。ハーヴェイ王子に迫られたからじゃなくて。階段から落ちそうになったからじゃなくて(その時は死んだかもって思ったから心臓はドクドクしてた)。セシルに抱きとめてもらって抱き寄せられて気が付いたから。嫌じゃないって。ハーヴェイ王子に手を掴まれた時にはゾッとして嫌な気持ちだったのに、セシルに触れられるのは嫌じゃなかった。これって、弟みたいに家族みたいに思ってるからなの?でも弟とはキスなんてしない。嫌じゃないのは「好き」ってこと?考え始めると胸の鼓動がうるさいからなるべく考えないようにしてる。







「予言の書のようなものでしょうか」

チェンバーズさんは私の話を聞いてそう呟いた。私は桃佳(もか)に聞いた話と私の推測をセシルとチェンバーズさんに全て話した。二人とも信じられないって顔をしてたけど、真面目に私の話を聞いてくれてホッとした。

「なるほど。僕らの世界の未来が予知されていた、みたいなことか」

セシルもチェンバーズさんの言葉に頷いた。うーん、ちょっと違うけど、そう考える方が確かにわかりやすいかも。


「そうなってくると、魔女が再び坊ちゃんを狙ってやって来るかもしれないという事ですね」

「二度あることは三度あるっていうし、私もそれが心配なんです」

「……二人とも恐ろしいことを言わないでくれ」

セシルは顔を覆って俯いてしまった。クロックフォード侯爵家のセシルの書斎に重い空気が流れる。

「セシル……」

背中をさすろうとしたけど、躊躇ってしまって途中で手が止まった。


「しかし、どうして坊ちゃんなんでしょうねぇ」

「そんなのは僕の方が聞きたいよ。全く……」

「坊ちゃんの膨大な魔力量を利用したいのでしょうか」

「セシルの瞳が綺麗だからじゃないかな?ん?チェンバーズさん、セシルの魔力量ってそんなに凄いんですか?」

「ええ、そうですよ。ただ、魔力はあっても一度に使える量は限られています。訓練などによってその量を増やすことはできますが、いかんせん今までは魔法使いなどに師事することが叶いませんでしたので。私の専門はこちらですし」

チェンバーズさんはシュンッって右手に剣を出現させた。そうか、セシルはずっと魔女の呪いに誰かをまきこまないように、森のお屋敷で隠れるように暮らしてたんだもんね。私は一度引っ込めた手をセシルの背中にそっと当てた。セシルがやっと顔を上げて少し笑ってくれたからちょっと安心したけど、これからどうしたらいいんだろう?セシルが自由に動けるようにしてあげたい。


「坊ちゃんも魔女に対抗できるようになればよろしいのでは?」

「簡単に言うな、チェンバーズ」

「ステラ学園にはちょうどいい人材がいますよ?」

「あ、ノワール先生達のことですか?チェンバーズさん」

「ええ。彼らは魔法の専門家です。教えを請えばきちんと指導してくださいますよ」

「……そうだな。これからもずっとリサに頼りっぱなしでは良くない。明日先生方の元へ行ってみよう」

「丁度良かった。私も魔法がちゃんと使えるようになりたいから、先生達にやり方を教えてもらおうと思ってたの。一緒に頑張ろうね」

「ああ」

よし!根本解決は無理だけど、セシルと私で協力すればより安全に生活することはできそう。とにかく、私に力があるのなら、さっさと使いこなせるようにならないとね。


「おや!お茶が冷めてしまいましたね。ちょっと淹れ直してまいります!!

チェンバーズさんはいきなりワゴンを押してセシルの書斎から出て行ってしまった。確かに誰もお茶に手をつけてないから、冷めてしまったかもしれないけど、ちょっと勿体ないなぁ。冷たくてもちゃんと飲むのに。

ふと肩に温かい重みが加わった。

「セシル?大丈夫?」

セシルが私の肩に頭を預けてる。やっぱり嫌な気はしない。ただ心配なだけ……。わわっ!でもまた胸がドキドキしてきちゃった。どうしよう。こんなにくっついてたら聞こえちゃいそう。なんか話題、話題は……。


「そ、そうだ!今日、学園でクッキーを焼いたよ。食べる?」

「リサのクッキー?」

「あ、セシルは甘いの苦手だっけ?」

前にチェンバーズさんがそんなことを言ってたような言ってなかったような……?

「食べたい」

「わかった!部屋にあるから持ってくるね……セシル?」

立ち上がりはしたものの、手首を掴まれて引き戻されてまたソファに座らされてしまった。

「ごめん。クッキーは後で。今はそばにいて欲しい」

「うん……」


セシルは不安なんだから私がしっかりしなくちゃ!そうは思うものの心臓の音がうるさくて、寄りかかってるセシルに聞こえてるんじゃないかって気になっちゃって、今はそんな場合じゃないのにって、色々考えちゃってもう頭の中はぐちゃぐちゃだった。顔は熱いしどうなっちゃってるの、私?










ここまでお読みいただいてありがとうございます!

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