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日本で豚顔化ウイルスの蔓延。その中で起こる30歳男性と25歳女性(元は猿顔で、興味の向くことには早口になるオタク気質)の恋愛をコメディ寄りで

【豚顔恋愛劇場―顔のない恋人たちのコメディディストピア――】


---


◆ 第一章 豚顔の朝、世界は静かに終わった(のに笑える)


 目覚ましが鳴った。

 いつも通りの朝。

 ただ一つ違ったのは、鏡の中に“僕ではない何か”がいたことだ。


 丸い鼻。

 膨れた頬。

 桃色の皮膚。

 つぶらな目。


 豚だった。


 いや、豚“顔”の人間。

 僕は叫びかけたが、声は出なかった。


「……え、昨日飲みすぎた?」


 いや、酒で豚にはならない。


 スマホを開くと、ニュースアプリが震えていた。


《緊急速報:日本国民、全員豚顔化》


 SNSは豚顔の自撮りで埋まり、

 「草」「やばい」「フィルター?」などと笑う投稿が並んでいた。


 だが、その“笑い”は長く続かなかった。


 人間は、変化に慣れるのは早い。

 しかし、変化の“意味”に気づくのは遅い。


 この日、日本は静かに終わった。


---


◆ 第二章 社員40人の会社、豚40匹の地獄(でもちょっと笑える)


 僕は30歳、総務部の平社員。

 社員40人の小さな会社で、雑務と庶務をこなす日々だった。


 豚顔化の翌日、会社に行くと、

 オフィスには40匹の豚がいた。


 いや、豚“顔”の社員40人。


 誰が誰だかわからない。


「おはようございます……?」


 返事が返ってくるが、全員同じ声質。

 同じ顔。

 同じ表情。


 地獄だった。


 出勤簿の確認は地獄の極みだった。


「えーと……山本さん?」

「はい、私です」

「いや、どの“私”だよ」


 上司の佐々木課長(豚)は言った。


「これからは声紋認証で出勤管理するから」


 声紋認証も豚顔化で全員似通ってしまい、

 結局、耳タグによる識別に切り替わった。


 僕の耳にも、冷たい金属タグがつけられた。


 その瞬間、僕は思った。


 ああ、僕らはもう“人間”ではないんだ。


---


◆ 第三章 猿顔の彼女、豚顔の世界で再び現る


 そんな地獄のようなオフィスで、

 僕が唯一、豚顔化前から気になっていた女性がいた。


 経理部の25歳、三浦。


 豚顔化前、彼女は“美人ではなかった”。

 むしろ、猿っぽい顔で、目がくりっとしていて、

 鼻が少し上向きで、笑うと頬がキュッと上がる。


 社内では「地味」「芋っぽい」「猿っぽい」と言われていたが、

 僕は彼女の仕事ぶりが好きだった。


 丁寧で、誠実で、誰よりも真面目。

 そして――オタク気質。


 興味のある話題になると、

 早口でまくし立てる癖があった。


「いやあのですね佐伯さん、昨日のアニメの最終回がですね、

 あれは制作陣の覚悟というか、むしろ視聴者への挑戦でして、

 あっ、すみません、また早口になって……」


 そんな彼女が、僕は好きだった。


 豚顔化してから、彼女の顔は完全にわからなくなった。

 だが、ある日、給湯室で声をかけられた。


「佐伯さん……ですよね?」


 振り返ると、豚顔の女性が立っていた。


「えっと……どなた……?」


「三浦です」


 その瞬間、胸が跳ねた。


 豚顔でも、声は変わらない。

仕草も変わらない。

 話し方も、雰囲気も、全部そのままだ。


 僕は思った。


 ああ、僕は彼女の“顔”じゃなくて、“人”が好きだったんだ。


---


◆ 第四章 豚顔の恋は、顔がないからこそ難しい(でも笑える)


 豚顔化してから、僕と三浦はよく話すようになった。


 昼休み。

 給湯室。

 帰りのエレベーター。


 だが、恋は難しかった。


 なぜなら――。


 彼女が本当に三浦なのか、確証がない。


 耳タグを見ればわかるが、

 タグを見るという行為自体が、

 「あなたを疑っています」と言っているようで嫌だった。


 ある日、僕は勇気を出して言った。


「三浦さん……あの、もしよかったら、今度……」


 豚顔の彼女が、少し首を傾げた。


「食事でも……どうですか?」


 沈黙。

 心臓が爆発しそうだった。


「……はい。行きたいです」


 豚顔のまま、彼女は微笑んだ。


 その笑顔は、なぜか胸に刺さった。


---


◆ 第五章 豚顔デート、誰が誰だかわからない街(でも笑える)


 デート当日。

 待ち合わせ場所には、豚顔の群れがいた。


 誰が誰だかわからない。


 僕はスマホを握りしめ、

 彼女からのメッセージを待った。


《着きました。青いワンピースです》


 周囲を見渡すと、

 青いワンピースの豚が三匹いた。


 地獄か。


 そのうちの一匹が近づいてきた。


「佐伯さん……?」


 声でわかった。

 彼女だ。


「よかった……本当に三浦さんだ」


「はい。私も、佐伯さんだってすぐわかりました」


 豚顔同士で見つめ合う。

 ロマンチックなのかシュールなのか、判断に困る。


 でも、嬉しかった。


---


◆ 第六章 オタク早口の暴走、豚顔の恋が加速する


 食事中、三浦は突然スイッチが入った。


「佐伯さん、聞いてください!

 P.I.G.S.ウイルスの遺伝子変異って、実は豚より霊長類に近くて、

 つまり私たちの顔がこうなったのは進化なのか退化なのかって議論があって、

 それで海外の研究者が――」


 早口が止まらない。


 豚顔で早口。

 シュールすぎて笑いそうになった。


 でも、僕は思った。


 この人、可愛い。


 豚顔でも、猿顔でも、早口でも、

 僕は彼女が好きだった。


---


◆ 第七章 豚顔国家の崩壊と、恋の始まり(コメディなのに泣ける)


 豚顔化から三か月。

 日本は完全に“豚顔国家”として安定していた。


 街には豚顔専用のメイク動画が流行り、

 豚顔向けのマスクが売れ、

 豚顔のアニメが制作され、

 豚顔のスタンプがバカ売れした。


 人々は豚顔を受け入れた。


 いや、受け入れた“ふり”をした。


 誰もが笑っていた。

 豚顔のまま。

 笑うしかなかった。


 そんな中、僕と三浦は、

 少しずつ距離を縮めていった。


---


◆ 第八章 豚顔の告白、そしてキス


 ある日の夜。

 会社の屋上で、僕は三浦を呼び出した。


「三浦さん……話があるんだ」


 豚顔の彼女が、静かに頷いた。


「僕は……君が好きだ。

 豚顔でも、猿顔でも、早口でも、関係ない。

 君が、君だから好きだ」


 沈黙。

 風の音だけが響いた。


 そして――。


「……私も、佐伯さんが好きです」


 豚顔のまま、彼女は微笑んだ。


 僕はそっと、彼女の肩に手を置いた。


 豚顔同士で、ゆっくりと顔を近づける。


 そして――。


 キスをした。


 豚鼻がぶつかって「ブヒッ」と変な音がした。


 二人で笑った。


 世界は豚顔で崩壊しているのに、

 この瞬間だけは、完璧だった。


---


◆ 終章 ――顔のない恋人たちのコメディディストピア


 豚顔化から一年。

 日本は依然として混乱の中にある。


 だが、僕と三浦は、

 豚顔のまま、恋人になった。


 顔がなくても、

 美醜がなくても、

 社会が崩壊しても。


 人は、人を好きになる。


 それは、どんなウイルスにも奪えない。


 豚顔の国、日本。

 そこには、確かに新しい愛があった。


 そして今日も、

 彼女は早口でまくし立て、

 僕はそれを笑いながら聞いている。


 豚顔でも、恋はできる。

 むしろ、豚顔だからこそ、恋が見える。




【豚化萌えの、あとがき】

年齢はフィクションですが、作中の三浦さんの特徴は知人をモデルにしてました。そんなノリです。


いろいろな恋愛の妄想ができますからね。

妄想ならば自由。

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