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黒々とした水溜まり

雑音、雑踏、雑言、雑多、煩雑、混雑、雑、雑、雑。

 今日も新宿はいつも通りの様相を呈している。

 東口の前にはいつも通り好き勝手言ってる人が沢山いて、街頭テレビには猫とニュースキャスターが映っている。

 人混みがあまりにもうるさくて、周囲への無関心を表明するためにイヤホンを両耳に填める。そうすれば音楽が全てを塗りつぶして周囲の『雑』が少し減る。


 目指す場所はドン・キホーテや紀伊国屋、そうして色々回って最後はTOHOシネマズ。遠目にゴジラが見えたから何となく耳に入れるBGMもそれに書き換えた。


 迫力のある音が鼓膜を揺らす90秒間、それが途切れたらまた雑音、それらはさらに大きくなっていて、ノイキャンを起動して音量を上げる。耳が痛くなるほどの爆音で全部塗りつぶしたい。


 一定の速度で足は進む、信号で一時停止。しっかり前を見なきゃ信号が変わったかどうかなんてものもわかりゃしないが雑踏を目に入れたくもないので俯くことにする。


 爆音に集中をしてAメロまでを完走して、Bメロへの期待に胸を膨らませたタイミングで、


「おい、アンタ!」


 肩に手を置かれて耳元で叫ばれる。不快、少し間を置いて怒りが込み上げてくる。


 ──── なんだよ、


 言葉を交わすためにイヤホンを外すと雑音は先程よりも多くて、何故かそれは統一されていて、雑踏は足を止めていて、空が眩しくて、あつくて


 あとには黒々とした水たまりが残るばかりだった。

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