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ピンチです。シャノン様の魔法によって、わたくしが羊に、ジェイン様が牛にされてしまいました。
その姿を見て、シャノン様はきゃらきゃらと笑います。
そのお姿はとてもかわいらしいですが、そろそろ元に戻してくださらなければなりません。
「メエ〜、メエ〜ェ、メエメ」
言葉まで羊になっております。
一方のジェイン様も。
「モォ〜、モモモモ、モモォ〜」
こちらも言葉になっておりません。
「おねえしゃま、早く元に戻してあげてよ」
ジェイク様、グッジョブですわ。
「でもおもしろいよ?」
「おもしろいけど、こんなことしているのがバレたら、魔法を使えない部屋に押し込まれてしまうんじゃない?」
「ジェイクはこわがりだね。どれ、元に戻してあげるわ。えいっ!!」
……。
シャノン様、今度はわたくしが牛に、ジェイン様が羊に入れ替わっただけです。
「え〜? なんで元に戻らないの?」
えい、えいとシャノン様は魔法を使いますが、今度はお部屋の中がだだっ広い牧場のようになっております。
こうなると俄然草をはみたくなります。
「モ〜モモモ、モォ〜!!」
大変おいしい草です、と言ったつもりです。
そしてこの大平原は、どこか実家の農場を思い起こさせます。
「おねえしゃま、まずいよぉ」
「おいしいかもしれないよ? リリー、ミルク飲んでもいい?」
「モッ!」
強く拒否しました。
そしてシャノン様の論点が間違っております。
「こんなところを大人に見つかったら、僕たち怒られちゃうって」
「怒られたぐらいがなによ? シャノン、怖くないもん」
そう言って、シャノン様はわたくしのミルクを飲もうとなさいますが、やっぱりやめた、と手を離してくださいました。
よかった。これだけで済んで本当によかった。
「リリーに悪いことをしたから、ジェインの毛を刈り込んで毛糸にしてあげよっかなぁ」
そちらはそちらで大惨事です。
シャノン様はどこから見つけたのかハサミを握っております。
おかしいですね。刃物のような危険物は鍵のかかった棚にしか置いておりませんのに。
「メェ〜!!」
こちらも拒否した模様です。
「とにかく僕、大人を呼んでくるね」
「待ちなさいよ、ジェイク」
シャノン様は、ジェイク様をがしっとつかみました。
「自分だけいい子になろうだなんて、ずうずうしいわよっ」
「今、そんなことを言える立場じゃないでしょ? おねえしゃま」
そうなのです。このまま牧場でまったり草をはみながらお昼寝するのもいいかもしれません。
おやおや? なんだか牛の姿がとても楽に感じるようになりましたわよ。
つづく




