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シャノン様は、空中に毛糸を浮かばせ、器用にも魔法であみぐるみを編み始めました。
「まぁ、素敵ですわ、シャノン様!!」
「魔法だと簡単なんだよ?」
「ですが、魔法で編んでも楽しくないのではありませんか?」
シャノン様はおかわいらしく小首を傾げて、う〜ん、とうなります。
「シャノン、編み物が楽しくないの。魔法で編んでも楽しくないや」
ぽいっと簡単に毛糸を放り投げたシャノン様は、上から落ちてきた毛糸が身体に絡まって、大変なことになりました。
「もぉ〜う!! 毛糸なんて大っきらいっ。えいっ!!」
シャノン様が呪文を唱えますと、シャノン様に絡みついていた毛糸が綺麗さっぱり消えてしまいました。
その代わり、廊下でジェイク様の叫び声が聞こえます。
「うわぁ〜っ!?」
そのお声を聞いただけで、消えた毛糸の行方がわかってしまいました。
しばらくしますと、わたくしの部屋のドアをノックする音が聞こえてまいりました。
「リリーさん、少しよろしいでしょうか?」
ああ、憎き女たらしのジェイン様です。ジェイン様は、かつてわたくしの恋人だったのですが、あまりの浮気ぶりにあきれてお別れしたのであります。
そのジェイン様がわつくしに用とはやはり、ジェイク様絡みなのでしょう。
「どうぞお入りください」
わたくしは、ジェイン様に手を引かれて歩いて来る毛糸まみれのジェイク様を見て、不覚にも吹き出してしまいました。
「笑わないでくださいよ。これをやったのは、シャノン様ですよね?」
ジェイン様は今ではジェイク様な家庭教師となっております。
「はぁ? なぜそのようなことをおっしゃるのですか? ジェイン様」
わたくしは憎きジェイン様にすっとぼけて見せましたわ。
シャノン様付きの侍女長として、なんとしてでもシャノン様をお守りしなければなりませんから。
「とぼけても無駄ですよ。シャノン様、いらっしゃるのでしょう?」
ジェイン様はずかずかと部屋に入り込んでまいりました。
そういえば、シャノン様のお姿が見当たりません。
「シャノン様? どこなのですか?」
「シャノン様、隠れても無駄ですよ?」
「おねえしゃまのイジワル〜!」
わたくし、ジェイン様、ジェイク様の順にシャノン様の行方を探しますが、どうにも姿が見えません。
これはやはり、魔法でかくれんぼを始めたに違いありませんわっ。
わたくしはベッドの下やクローゼットの中など、シャノン様が隠れそうな場所をくまなく探しますが見当たりません。
これは一体、どういうことなのでしょうか!?
つづく




