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1ー2

「リリー、今日はなにして遊ぶ?」


 おしゃまなシャノン様は、今日も翡翠色の瞳を輝かせております。まさに美の骨頂ですわっ。


 シャノン様の質問に答えることなく、シャノン様を腕にきゅっと抱きしめておりますと、シャノン様がくるしいようと訴えてこられました。


「リリー、くるしいよぅ。ヘンタイだよぉ」


 へ、ヘンタイ?


 その単語を聞くなり、わたくしはさっと手を緩めました。


 わたくしの胸の中にいらしたシャノン様が、するっと絨毯の上に着地しました。


「あ〜くるしかった」

「シャノン様? わたくしはヘンタイではありませんわよ?」

「ん〜? ヘンタイってなに?」


 そう来ましたか。聞きかじったお言葉なのですわねっ。


「嫌なことをされたら、ヘンタイと叫んでよいのですよ」


 適当なことを言ってしまいました。


 案の定――。


「じゃあ、リリーはヘンタイだね。あんなにきつく抱きしめるんだから」

「……もうしないので、ヘンタイ呼ばわりはしないでください」


 身から出た錆です。仕方ありません。


「うん、わかった。それで、今日はなにをして遊ぶの?」


 言うが早いか、シャノン様は魔法でシャボン玉を取り寄せて吹いております。


 綺麗ですが、ここは部屋の中ですので、いけませんよ、と注意することにしました。


「シャノン様、魔法はおもちゃではありませんのよ? そう簡単にポンポン使われては、わたくしでも追いつけませんわ。それよりほら。編み物をやってみてはいかがでしょう?」


 シャノン様が大事に持っていらっしゃるうさぎのあみぐるみも、犬のぬいぐるみも、すべてわたくしが作ったものなのですっ。


「編み物って、どうやるの?」


 シャノン様はあまり乗り気ではないようですが、とりあえずやってみようとしてくださります。


 わたくしはかぎ針と毛糸を手にして、シャノン様に編み方を教えます。


「え〜とぉ〜。ここに針を通して?」

「そうです」

「ここに糸をかけてぇ〜?」

「その通りです。」

「糸を引っ張り出すの?」

「大変お上手でいらっしゃいます!!」

「つまんない」


 あ。かぎ針がぐにゃりと曲がってしまいました。


 シャノン様の魔法が暴走しますと、大抵なにかの物が原型をとどめないことになるのです。


「こんなの、魔法でやっちゃえばいいのに」

「シャノン様、それでは編み物のたのしさがわかりませんよ?」

「いいもんっ。パピー、遊んで!!」


 ついにシャノン様の集中力が途切れてしまいました。


 パピーはシャノン様にわしゃわしゃとなでられて、ありがた迷惑ぬ顔をしております。


 シャノン様はこう見えましても、まだほんの六歳ですからね。編み物の楽しさがわからなくても当然です。


 ですが、困りました。どうしましょう?


     つづく

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