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2ー6

 その昔、カエルの王子という物語を読んだような気がいたします。


 悪い魔法使いによって、カエルに姿を変えられてしまった王子様が、真実の愛の口づけで、元の姿に戻るというものです。


 シチュエーションこそぴったりではありますが、こちらの方がよりシリアスです。


「おにいちゃま、ごめんなさい」

「もういい、シャノン。どうせ俺は父上からも嫌われているんだ」


 そのようなことはありません、とお伝えしようとしましたが、下っ端も下っ端なわたくしがどのような言葉をかけても足りないような気がして、ついそのまま過ごしてしまいます。


 ジェイク様がお生まれになった経緯は、当時まだほんの五歳だったジョシュア様に説明するのは難しかったもので、最近になり、それを陛下から話して聞かされたとのことですが。


 一時は魔王の魂を宿したジェイク様の方が魔力が少ないとはいえ、ジョシュア様からしたらかわいがられているように思えるのでしょう。


「ジョシュア様、せっかくですのであらゆる魔法をためしてみませんか? わたくしめでよろしければ、ご協力いたします」


 ジェイン様にしてはよくできたお言葉てすこと。ふんだ。


 わたくしとおつきあいしていた頃からずっと年齢問わず女性と見れば片っ端から口説いてきたジェイン様。もう交際なんてまっぴらですわっ。


「すまないが、そうしてくれると助かるジェイン」


 普段でしたら、ジェイン様相手にこんなことを頼みもしないジョシュア様ですが、背に腹は代えられないようでございます。


「呪いのすべてを打ち砕け!」

「カエルだな」

「では次! 魔力の力を解錠せよっ!」

「イボガエルがウシガエルになったな。それだけでもマシと言えるか?」


 そんなっ。美少年であらせられるジョシュア様のお口からそんな悲しいお言葉が出てくるほどには心が弱くおなりだそうです。


 わたくしも、ロイヤルミルクティ城に働きに来ましてから魔法の勉強を以前よりずっと夢中になっておりましたが、自分でかけた術以外の解除方はまったくわかりません。


 それ以降も、オタマジャクシになったり、パンダになったりしながら、もうこれ以上時間は取れないというところでレッサーパンダになりました。


「まぁいい。これても話はできるからな。なんとてもなる」

「でも、おにいちゃま」

「シャノンはここでみんなと待て。いいか、もうふざけた魔法を使うなよ?」

 

 レッサーパンダの王子様は、口酸っぱくそう言い置くと、ドアノブを回してもらって出て行くのでした。


「おにいちゃま。やっぱりシャノンも行くっ! だって、そのままだとドアも開けられないもん」


 これは困りました。シャノン様はこうと決めたらてこでも動きません。


 案の定、レッサーパンダへ姿を変えたジョシュア様を胸に抱きしめて離さないのであります。


     つづく


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