誓いの言葉③
息も絶え絶えのゴンたちに微笑みかけながら、アデラは訓練場を後にした。
そのとき、彼女の背後から足音が近づいてきた。
「ずいぶんと、張り切っていましたね。」
振り返ると、そこに立っていたのはエリアスだった。昨日よりもずっと柔らかな顔で、アデラを見つめている。
「見ていたの?だったら、私の『かっこいい』姿に惚れ直した?」
「ええ。あなたが騎士として輝く姿、ずっと見ていたかったんです。」
アデラは笑いながら、ふと表情を和らげた。
「でも……エリアスには『かわいい』とも思ってほしいわ。」
冗談めかして言ったつもりだったが、その瞳は真剣だった。
「私は、フォルモーネ公爵家の娘として、そしていつかは『騎士団長』として、生きていきたい。まだ……私の夢は終わっていないの。」
エリアスは真剣なまなざしで彼女に向き合い、深く頷いた。
「その夢のために、私は君の剣になる。たとえそれが鉄でできていなくても、たとえ政治の場であっても、私の力のすべてを君に捧げよう。」
その言葉に、アデラの胸は高鳴った。
かつて「契約婚約者」だったふたりは、今や互いの誓いによって結ばれている。
新たな人生の幕開け。
偽りの仮面を脱ぎ捨てた、真の名と信念。
アンドレではなく、アデラとしての未来が、いま動き出す。
エリアスと並び立つその瞳は、これまで以上に強く、そして美しく輝いていた──。
第5章、これにて終了です。
次の章で終わるはず……。




