剣なき騎士と神殿の裁き
アンドレはフォルモーネ公爵家に帰ることを許されず、賓客という名目で城の別宮に招かれていた。
とはいえ「賓客」というのはただの建前にすぎず、別宮に招かれるというより幽閉の方が正しい。
その別宮にはテラスどころか小さな庭もなく、窓も高くて手の届かない位置に設えられていた。周囲には宰相派の騎士団がびっしりと配置されており、物々しい警戒ぶりがこの状況の異様さを物語っている。どう取り繕おうと、これは間違いなく幽閉──監視付きの軟禁であった。
(……さて、どうしたものか。今日はもう、屋敷には戻れないと思っておいた方がいいな。エリアスが心配していなければいいのだけれど)
自身の立場を理解していながらも、アンドレの心は不思議と静かだった。焦りよりも、気がかりなのはただ一つ。エリアスのことだった。
エリアスに遠慮せずに生きようと、ようやく決心を固めた次の日に、この仕打ち。にもかかわらず、アンドレの胸に行き来するのは怒りではなく、どこか達観した思いだった。まるで、他人事のように自分の運命を見つめていた。
幽閉生活が始まって一週間が経とうとしていた。
外界との接触は一切禁じられ、屋敷の者とも連絡が取れないまま日々が過ぎていく。時間の感覚は次第に薄れ、唯一の刺激といえば、日課の読書と無言の監視だけだった。
けれど、アンドレを最も苦しめていたのは、そのどちらでもない。
──エリアスに会えないことと
──剣が握れないことだった。
武門の出である彼にとって、剣はただの武器ではない。魂そのものであり、自身を律する象徴であり、心の拠り所だった。毎日の訓練は己を高めるためであり、生きる意味でもあった。
それが奪われた今、アンドレの心身はじわじわと蝕まれていった。
筋肉が鈍る感覚、手に汗をかかない日々。何より、己の腕を証明する「試し場」を持てないことが、誇り高き青年を静かに追い詰めていた。
(……さすがに、もう限界だ)
廊下を警備していた騎士に何かしら訴えようとした、そのときだった。どこからともなく、騒がしい足音とざわめきが近づいてくる。
お久しぶりです。
今日までずっと九州旅行してました。別府に博多に佐賀とても楽しかったです!
また行きたいな〜〜
ここから一応、最終章としたいと思います。終わらなければまだまだ続きます!




