王からの命令③
アンドレはやられたと感じた。宰相よりでフォルモーネ公爵家をよく思わない貴族たち、意思の弱く宰相に追随する王。アンドレには反論する隙もなかった。
そして、宰相はアンドレが考える中でとても良くないことを提案していた。
「もしかしたらアンドレ殿は遁走する可能性もありますね。そこでなのですが、王よ。アンドレ殿は最近、結婚され妻を迎えたとのことで……。担保としてエイラ嬢に王宮に泊まっていただい方が良いのではないでしょうか。」
宰相の言葉に続くようにわざとらしく貴族たちが賛同する。
「良い考えですね。」
「あの屋敷も最近良くないことがあったと聞きます。エイラ様もさぞ気を病んでいることでしょう。」
「王宮に泊まれば安全よね。」
アンドレはその言葉に怒りが抑えきれそうになかった。剣の鞘に手をかけそうになることを必死に抑える。ここで剣を抜いてしまえば、それこそ宰相の思う壺だ。
担保というのは「人質」ということだろう。エリアスを巻き込んだことはもちろん、「担保」という言葉でエリアスを物として考えていることにもアンドレは我慢がならなかった。
(王はこのことをどう思っているのだろう。いや、王に期待するのはやめよう)
アンドレはため息をつきながら剣を持ち、王への誓いの形をする。
「フォルモーネ公爵家は初代王の時代から長きに渡り、スヴェーリエ王国の剣として盾として支えてきました。この度の王宮襲撃、疑懼の念をいだかれていることに大変、心が痛みます。私の伴侶は体が悪く、登城することができません。しかし、フォルモーネ家が疑われているのは事実。そこで、私が王宮に残ります。」
「そ、そうか。」
アンドレの冷めた殺気を少し含んだ目に王は一言答えるしかできなかった。
「宰相もそれでよろしいでしょうか?私はここに残るということは四六時中ずっと監視できますよ?」
そんなアンドレの嫌味たっぷり言葉に宰相は虫の居所が悪いのか歯ぎしりをしていた。
疑いがかかるアンドレ、エリアスがとる行動とは──。




