王からの命令②
城に到着すると広間に案内された。
そして、そこでの光景にアンドレは目を疑った。
王の他にフォルモーネ公爵家をよく思っていない貴族のものばかりがいたからだ。
混乱しながらもアンドレは王に挨拶をした。
挨拶もそこそこに、フォルモーネ公爵家をよく思っていない筆頭であろう宰相が話し始めた。
「よくきましたね。アンドレ・フォルモーネ殿。お待ちしていました。少々あなたに聞きたいことがありましたので。」
その顔を見たアンドレは胡散臭いなと感じていた。
この宰相は父、アントンと仲が悪い。エリアスの父、オーケン伯爵とは違った意味で仲が悪い。性格から合わないのだ。
「なんでしょうか。宰相殿。私に直々に用があるとは珍しいこともあるのですね。明日は訓練を気をつけるように部下に言わないといけませんね。雨でもなく槍が降りそうなので。」
そう嫌味たっぷり返すアンドレに宰相は嫌な顔を見せた。
「まあ、良いでしょう。今回、アンドレ殿をお呼びしたのは。最近起きた、王宮襲撃についてお聞きしたいことがあったからです。目撃情報がありましてね。証言お願いします。」
宰相の言葉とともに一人の男が王の前に現れた。アンドレはその男に見覚えがあった。
エイラ──いや、エリアスと舞踏会で何やら話していた伯爵子息だった。
アンドレが混乱していると、伯爵子息が意気揚々と話し始めた。
「見たんです!王宮に襲撃があった日、現場に銀髪の女がいました!刺客の一人です!」
伯爵子息の証言に王が反応する。
「銀髪の女だと?」
「はい、あの髪は……フォルモーネ公爵家、特有の色です!」
広間内が貴族たちによって大げさにどよめいた。
フォルモーネ公爵家は、この王国で唯一銀髪の血筋を持つ家系。
アンドレは小さく息を呑んだ。誰かが自分に罪を着せようとしているのか、それとも偶然にしてはできすぎている。
私が女だということを知っているのはごく一部の人間だ。
どちらにせよ──このままでは危ない。
アンドレは取り繕うような顔をしながら伯爵子息に尋ねた。
「あなたが言っている銀髪というのはどのよう色だったのでしょうか?まさか、フォルモーネ家のような色とはおっしゃりませんよね?父に隠し子がいるとでも言いたいのでしょうか?」
あなたはフォルモーネ公爵家を敵に回す気があるのかという問いがアンドレの言葉には含まれていた。
伯爵子息はそばにいた宰相に助けを求めるような目を向けていた。
そこで、宰相は貴族に王に懇請をした。
「王よ、我が主人よ。今、フォルモーネ公爵家に容疑がかかっていることに大変、疑懼していることと思います。そこでなのですが、一度、フォルモーネ家の裁判を行いませんか?フォルモーネ公爵家もそれで疑惑が晴れるのならば悪くない提案だと思いませんか?」




