交差する陰謀②
「警備隊を増援させろ。火の手を消すのを優先し、宮殿内への侵入を阻止するんだ!」
アンドレが王宮に到着すると騎士団長であり父のアントンが指示を出していた。
「団長、応援に参りました。」
「アンドレか、早速だが、お前が指示をだせ。私は王の住まう宮殿に行く。」
「承知しました。」
その言葉を聞くとアントンは宮殿の方へ部下を連れて行った。
「アンドレ様!門を突破されました!」
(まずい──!)
アンドレは剣を手に取り、門へ向かおうとする。
だが、次の瞬間──
「アンドレ!」
背後から響いたのは、エリアスの声だった。
馬に乗り、エリアスはアンドレを追いかけてきたのだった。
アンドレは急ぎ足で駆け寄り、真剣な表情でエリアスに言った。
「なぜここにきた!ここは危険だから帰れ!」
そう言い終わるとアンドレは騎士に指示を続けた。
「近衛騎士だけでなく王宮騎士も内側に配置しろ。敵の狙いが王族ならば、内部に侵入させるわけにはいかない。」
「は、はい!」
王宮騎士が動く。
次の行動を考えていると──。
どこからか焦った声が聞こえた。
「アンドレ様!ご報告します。先ほど、公爵邸になにものかの侵入を確認したと報告が来ました。」
アンドレはその言葉に焦る。今、腕の立つ動ける騎士たちは王宮にいる。一応、公爵騎士団はいるが、統制するものがいない状況だ。
アンドレは選択を迫られていた。
公爵家の状況を把握したいという思いと、王宮を守らなければいけないという思いが交差していた。
「アンドレ、私はフォルモーネ公爵家に戻る。だから、私に公爵騎士団の指揮権をくれないか?」
そう訴えてくるエリアスにアンドレは睨むように見たが、その目には、ただ冷静な判断力と、強い意志が宿っていた。
──その姿は、数えきれないほどの戦闘を指揮してきたアンドレから見て、まぎれもなく「熱意のある信頼できる目」だった。
アンドレは息を吐き指示を出した。
「……勝手にしろ。伝えてくれてありがとう。私は王宮を守る。ここからは一時、「アス」に任す。と伝えてくれ。」
アンドレが、伝えにきた騎士に指示を出すと、二人はフォルモーネ公爵家に戻っていった。
王宮の前庭では、護衛たちが不審者たちと交戦していた。
「くそっ……こいつら、単なる盗賊じゃないな!」
警備隊の一人が叫ぶ。
確かに、相手の動きは統率が取れており、単なるならず者の集まりではなかった。
(狙いは王族か?それとも──)
アンドレは考えを巡らせる。
だが、次の瞬間──
シュッ!
何かが飛んできた。
「危ない!」
次の瞬間、鋭い矢が地面に突き刺さる。
それを見て、アンドレは息を呑んだ。
「……狙撃か!」
ただの襲撃ではない。明確に、自分を仕留めるための動きだ。
(これは……王宮全体を狙った「計画的な攻撃」か)
アンドレは思考を巡らせながら指示を出す。
「狙撃手がいる!狙撃位置を確認して、弓兵を回せ!」
「はっ!」
即座に動く警備隊。
やはり、こいつは侮れない。




