本当の夫婦になるために③
アンドレはいつもつけているネックレスを外した。
その瞬間、エリアスの瞳が大きく揺れた。
「……え?」
アンドレは深く息を吸い、もう一度、しっかりと彼を見つめた。
「私の本当の名は、アデラ。フォルモーネ公爵家の跡継ぎとして生きるために、ずっと『アンドレ』という仮面をかぶっていました。アンドレという人物は存在しません。フォルモーネ公爵家の子供は私、アデラだけです。」
エリアスは言葉を失ったように、アンドレを見つめたまま動かない。
しばらくの沈黙の後、震える声で口を開いた。
「……とても綺麗です。」
「え!?」
エリアスがしばらく発言できなかったのは、怒っていたからでも、ショックを受けていたわけでもなく、ただずっと会いたいと思っていた相手がとても綺麗で困惑していたためだった。
「……でも、それなら」
エリアスは困惑した表情で、アンドレをじっと見つめたまま、不安そうに言う。
「契約結婚の意味が、なくなってしまうんじゃ……?」
「そんなことはないですよ。」
アデラははっきりと言った。
そして、椅子から立ち上がり、エリアスの目の前までいく。
「たとえあなたが男でも女でも関係ない。私はあなたと結婚したいと、本当に思っています。もう一度言います。私とこれからも一生、夫婦として私の隣に居てくれませんか?」
エリアスの目が大きく見開かれる。
「……アデラ。」
エリアスはため息をついた。
「なんで、私より先に言ってしまうんですか?私だってアデラにプロポーズしたかったのに。」
アデラはその言葉にホッとした。ため息が聞こえたときは終わりだと思った。
振られたと思った。
アデラはそっと彼の手を握り、まっすぐに言葉を続けた。
「だから、離縁なんて言わないでください。私があなたを幸せにしてみせますから。」
エリアスは唇を噛みしめた。
そして、しばらく考えた後、小さく息を吐いた。
「……わかりました。浮気しては怒りますよ、アデラ。」
彼女は満足げに深く頷いた。
「ええ。」
二人は、お互いにすべてをさらけ出した。
そして今、新しい関係が始まろうとしていた。
バタバタ、ガチャ
「アンドレ様、大変です!」
「え……。」
待ち受ける敵、アデラとエリアスは本当の夫婦になることはできるのか──。
やっとここまできました!
第三章 秘密の崩壊 終了です。長かったですね。
ここまでお付き合いいただい方、ありがとうございます。感謝しかないです。
もうこの物語も折り返してきました。もう少しお付き合いください。
第四章 絡め合う意図




