新たな役割③
エリアスがフォルモーネ公爵家の人間として手伝い見習いになることが決まった。
見習いとして参加することはアンドレの意思だった。
その方がエリアスが男性として働けるとアンドレは考えたためだ。
「今日から公爵家の公務の手伝いをすることになったアスだ。王宮でもほしいと言われる人材だ。私が引き抜いてきた。よろしく頼む。」
アンドレは公爵家の政務の手伝いをしている部署までエリアスを連れて行った。
「初めまして、アスと申します。皆さんと共に公爵家を支えていきたいと考えています。よろしくお願いします。」
エリアスは薬を飲まなくなったからといってすぐに体型が戻ることはなく、今の彼は痩せ細った十代の青年に見える。
フォルモーネ公爵家の財政を担う部署はいつでも人手不足だ。
剣の腕前を大切にする王国では仕方がないことなのかもしれないが、公爵家は大きいその分、不正や情報流出には厳しい。加えて、公爵家は若奥様はいるが現公爵のアントンは妻と死別している。そのため、公爵家の妻として仕事をするものがいなく忙しいというのも実状だ。
限られたものにしか任せられないと言うことも多く、人手が足りないのだ。
「丁寧な挨拶ありがとうございます。私は長年、フォルモーネ公爵に仕えているグスタフと言います。何かわからないことがあれば聞いてくださいね。また、アンドレ様から私の直属の部下として働くと聞いていますが、あっていますでしょうか?」
グスタフが尋ねる。
アンドレは頷いた。グスタフについていれば安全であり、より実践的なことが学べるのではないかと考えたためだ。
「よろしくお願いします。」
エリアスがグスタフに答えるとグスタフは満足そうに微笑み、アスに政務室を案内し始めた。
それを見届けるとアンドレは自室へ戻って行った。
二人の関係は新たな段階へと進んでいく──。




