仮面で隠された想い②
「このたび、フォルモーネ公爵子息アンドレ様とオーケン伯爵令嬢エイラ様が婚約を結ばれました。新郎新婦、お二方の入場です。」
執事の高らかに名を呼ぶ声が響き、歓声と拍手が広がる。
二人は互いに静かに微笑みを交わしながら、仮面の下でそっと思う。
(この仮面を外すとき、本当の私を受け入れることができるのだろうか——)
外の庭園では、夜空に無数の花火が打ち上げられ、鮮やかな光が暗闇を照らした。
まるで、二人の未来を祝福するかのように——。
アンドレは夫として堂々と振る舞い、エイラは優雅に微笑みながら、完璧な「妻」の演技を続けていた。
スヴェーリエ王国で一番、目立つ男女の披露宴なのだ、普段は自領にいる辺境の貴族さえも参加していた。
二人は訪れた貴族一人一人に挨拶をしていく。
二人を心から祝福する声もある一方、遠くから値踏みするような目や、媚びるように話す者もいる。
そんな貴族に嫌気がさした頃、挨拶が一通り終わった。
会場には会場を密かに盛り上げるように静かに響いていた音楽が変わりワルツが流れる。
そして、披露宴のメインイベント──新郎新婦のダンスが始まる。
「さあ、行きましょう。」
アンドレはエイラの手を取り、舞踏会場の中央へと進んだ。
「ええ、旦那様。」
エイラは冗談めかした口調で微笑み、アンドレの腕に身を預けた。




