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旅の終わり

「センパイ!起きて!今日からでしょ!?」

「あ〜…分かったから…お腹に乗るなって…」


 起き上がって、服を整える。


 身辺の整理をして、見たこともない街に俺は出た。


 あれから、俺は刀みたいな重いものを振ることができなくなっていた。


 残ったのは、鱗と尻尾だけ…尻尾も力を失ったのか、前より小さい。


 そのため、10年くらいイェルで過ごしつつ、みんなの手伝いをしたり、シントの方に行ったりしながら、貯金を切り崩しつつなんとかやってきたわけだが、限界はやってきた。


 なので仕事を探そうといろんな人に頼み込んだところ、研究塔から、一つの提案を受けることになる。


 ある学園に、セラミスとともに先生として転入することが決まったのだ。


 セラミスは魔法の先生として、俺は剣の先生として…


 眼前に立つのは大陸随一と言われる学園「エスペラル」。


「緊張するな……俺、怖がられるよな?」

「大丈夫だって!リハーサル昨日したじゃん!」


 セラミスの左手の薬指には、俺と同じ、木製の指輪が嵌め込まれている。


「師匠…?」


 俺が色々と文句を垂れていると、後ろから声をかけられた。


「…お前!シント!」


 隣には、ソフィアも立っていた。


 最後に会ったのは何年くらい前だ!?どちらも随分と成長して………


 そうか、冒険者時代の俺達と同じくらいの歳だもんな…


「入学するんです。ソフィアはお付きという形で……」

「私もおに…先生から色々学ばせていただきます!」


 知ってるやつ…しかもかつての後輩と生徒みたいなもんとこんなところで再会か…人生何があるかわかんないもんだ。


 久しぶりに頭を撫でてやると、二人とも流石に年頃なのか、恥ずかしそうにしたのですぐにやめた。


「俺達は先生としてここに来てな……そうか、またお前に教えられるかもな」

「はい!是非!」


 そう言って、シント達と別れた後、俺達は中へと入っていった。


 …きっとみんなも、自分の道を歩んでいるんだろう。


 それでも、みんなで繋がってて、一人ってわけでもないんだ。


 俺も、頑張ろう。


ーーーーー


「こんにちは、今日からみなさんの先生になります。セイスケ………セイスケ・エヴォルグと言います。みなさんに教えるのは……」


 リハーサル通りに言葉を並べていると、石を投げられた。


 なんとか回避したが、投げたらしい奴は随分不服そうに叫んでくる。


「気持ち悪いんだよ!一回両手切り落としてこいよ!バケモンが!」


 俺は、そう言ったやつに近づいて、腕を握る。


「…この手を振り切ってみろ」

「はあ?そんなの………………くそ!なんでだ!?力はねえのに…!」


 俺は、そいつの手をいきなり話して地面に転ばせる。


 周囲から笑い声が聞こえた後、俺は生徒の前に戻る。


「改めまして、セイスケと言います。みなさんに教えるのは、剣技です。剣技は精神をすり減らす時もあります…どうか、人とのつながりを強く持って、学んでください」


ーーーーー

 

 ふっふっふ…さっきから可愛いとか聞こえてくる…


「初めまして、みんなの魔法の先生になります、セラミス・エヴォルグです。是非仲良くしてください!……あと、結婚してるので」


 わざとらしく指輪を見せつけると、わかりやすく男の子の士気が下がる。


 対象的に女の子は上がってるけど……たぶんセンパイのこと見たら幻滅するんだろうな〜…


 でも、もう誰かからどう見られるかなんて関係ない。私のやるべきことを、やりたいと思ったことを、あの人と頑張っていこう。


「…魔法はイメージの世界です。できると思わなければ、絶対にできません。人と助け合うことを、諦めないことを、忘れないでください」


ーーーーー


 師匠…かっこよかったなあ…


 お父様に送り出されたんだから、頑張らないと…!


 師匠に会った時は怖かったけど、きっとあの出会いがなかったら学園に来て、努力しようとする勇気さえ出なかった……ほとんど、師匠のおかげだ。


 師匠みたいに、これからもかっこいい剣技や心を身につけよう!


ーーーーー


 お兄ちゃ……いやいや…今は先生なんだ。


 綺麗な奥さんいたんだな〜…可愛かったな〜…


 あの戦士のお兄ちゃんにも、今は先生のお兄ちゃんにも、恥じない自分でいられるように頑張らないと!


ーーーーー


「リーグルさん!この薬草って…」

「ああ!それ毒だ!ここら辺で唯一あるやつだから!それだけは気をつけろよ!」


 セイスケ達が行っちまってから寂しくなったなあ…


 冒険者もあと何年続けられるか分かんねえけど、あともう少し、いろんなやつに教えてやりてえな。


ーーーーー


「サーリア協会長、ここって…」

「ああ、そうだね、そこに建てるとすると……」


 セイスケ達が町を去ってから、ワシは冒険者を辞めて、その金で鍛冶屋を作ることにした。


「カサインさーん!鉄の発注終わりましたー!」

「おう!イナミラ!そこ置いといてくれや!」


 セイスケがまたカタナでも折ったりしたら、大変になるやろうからな……


 とりあえず今日の作業が終わって、ワシは家に帰ることにした。


 途中で、スラムの方に腹の減ってそうなガキを見つけた。


 ……クソオヤジもそうしたんやし、ワシもちょっとは真似てみたるか。


「おい、そこのガキ……


ーーーーー


 ふむ…ここの配合をちょっと変えれば…


「…未来は………うん、失敗か」


 それにしても、もうちょっとセイスケくんから血液もらっておけばよかったかなあ…


 でもまあ、貴重な体験ではあったんだ、あれを生かして頑張るさ。


 私は変人(研究者)だしね。


「未来は……ふむ、こうすればね、成功だよね!」


ーーーーー


「ヤナハ〜…最近暇だ〜」


 セイスケがいた頃は敵も強くて楽しかったのにな〜…


「うるせえクソボケ、書類整理手伝えやカス」

「…最近また口悪くなってないか?」


ーーーーー


 日課のコーヒーを飲んで、書類を整理する。


 セイスケくんがいた頃は彼も手伝ってくれて楽だったが、もう、そうはいかない。


 でも彼といた頃も、奴隷だった時も、思い出は心に残っている。


 あの日友と約束した証の仮面をつけながら、僕は彼が淹れた、少しまずいコーヒーを思い出す。


ーーーーー


「さ、サーリア協会長……何でワシを今回ご飯に?」

「え?カサインくん、嫌だったかい?」

「いや、そういうんとはちゃいますけど…実際最近は過ごしとって楽しいですよ?」


 ほ、ほんとに?すごい嬉しい…!


 相談役になってくれてたセラミスちゃんも行っちゃったし、一人で頑張らないとだよね…!


 …最近は仲良くなってきたし、そろそろ関係も深くなれるかな…


「カサインくん、話があるんだけれど…」

「は、ハイ…」


 言うぞ、言うぞ…!


「さ、サーリア協会長?」


 ………!……


 …………………………


 結局言えず、そのまま家に帰った。


 …わたしのいくじなし!


ーーーーー


 …そうして、時は流れて、それぞれの世界は目まぐるしく変わっていく。


 僕には、「僕」を持つものの物語を見る能力がある。


 少しでも竜の血を継ぐ以上、これから生まれるであろう彼の、彼らの子であっても、それは変わらない。


 でも、あとは彼らの物語だ。僕がそれを盗み見るのは、運命を勝ち取ったあの少年への冒涜だろう。


『面白かったね…もう少し見たかったけれど、また少し休もうか……』

『うん、そうね…あなたってば、もうすっかりあの子の虜ね』

『ふふ…そうだね。それでもやっぱり君の方が、僕は好きだよ…』


 始まりはどうとでもいい話だ。


 大事なのは、その物語で君たちがどうその繋がりを築いていくのか…


 僕は、それを断ち切ってしまった…


 君達は……それでも、生きる意味をなくしたとしても、いつかまた、繋がりができることを忘れないでほしい。


 それが生きる意味になっていく。自分自身を強くしていく。


 君たちも見てきたはずだろうが…一応言っておこうかな。


 あとは、君たちの物語だ。


 


 


 


 

 


 

これを最終話として終わりです。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

もしもの話ですが、次回作も見ていただければ幸いです。

色々疑問点などあった場合は、コメントいただければお答えしていくのでお待ちしています。

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