廃墟の決戦
あの祭りから1年…私たちは、ついに骸の王との決戦の準備を終えた。
その歩みは、ふかく、重く…
「何言ってんだ、アホ」
「あれ、声に出てた…!?」
強くなるって言う目標は達成できたけど、素敵な美女にはなれなかったようでした。
ともあれ、残り一年あるので、ヨシ!
「ボケっとしてんなよ…今日死ぬかも分かんねえんだから」
「うん、分かってる」
私は母さんを救えなかった過去を精算をしてみせる覚悟はある。
ゴルさんのためだけじゃない…これは、自分のための戦いでもあるんだから。
「見えたぞ……研究塔跡地だ」
魔物達の死体が段々と多くなっていく。
そのほとんどは原型がなく、どんな威力の魔法を受けたのか想像できてしまう。
…私たちも、もしかしたらこうなったり…しないといいけど。
「伏せろ」
ゴルさんに無理矢理頭を押さえつけられる。
前を見ると、爛れた肉を纏った魔物が姿を現していた。
片手には魔導書を持ち、もう片手には何もない…欠損してる。
その再生と溶解を繰り返す姿は、あの時のお父さんみたいだった。
違うのは、風化したであろう皮がうまく再生できないまま剥がれたのか、ローブのようになってることくらい…
「作戦は覚えてるな…行くぞ」
遂に、骸の魔術師との決戦が始まった。
まず、私が小さな声で詠唱を始める。
「願うは火の精霊…今こそ真の姿を顕現して、星の怒りをその身に纏い、灰色の災厄呼び起こし、敵を滅せよ…」
終わった瞬間、ゴルさんが飛び出して攻撃する。
「シルフルサイクロン!」
その風魔法に合わせるように、黒門で位置調整をしつつ私も唱える。
「サラマンディグニス!…合わせて、ニ混・風火災!」
とてつもない火力が骸の魔術師を襲う。
当然、そんな威力を食らったら普通は死ぬわけだけど…
『オオ…?』
「効いてないかあ〜…」
でも、まだ魔力リソースはある。それに…
『♪〒☆¥♪~!?■』
魔法はイメージの世界…独学でも、魔物だって、詠唱はできてしまう。
そして魔導書の威力の底上げと、不死のエネルギーのコンボで…
ゴウッ!!!!!
すごい威力の雷がゴルさんを貫こうと進んでくる。
でも、それは待ってたことだ。
「黒門!」
その雷を黒門に入れて、他にも二つ、骸の魔術師の前と後ろに作っておく。
雷は骸の魔術師の前に、後ろに、前に、後ろに……ほぼ永続的に貫く。
名付けるなら!「無限鏡」ってとこかな!
これなら……
『→○◎◆〒♪=』
骸の魔術師が何かを唱えると、突然現れたガラスのような結界が雷を弾いた。
…少しは傷がついたように見えたけど、すぐに再生したし、ほぼ聞いてないのと変わらない…
お父さんのあの状態とは違う…完全なる不死だ。
でも、この作戦なら……繰り返せば…
『○~¥~=♪』
何か黒いモヤが、ものすごい速度で私達を一瞬覆ったかと思うと通り過ぎた……
今の、なに…?
『…○→〒☆¥』
…何を言っているのかも分からない詠唱後…空の上に、何かが現れた。
あまりにも、あまりにも巨大な………隕石…?
ほぼ森を覆うその大きさは、私たちに逃げることすら許さないことを表している。
こんな大きさじゃ、黒門でも防げない…
「セラミス!!落ち着け!!」
私が絶望していると、ゴルさんが話しかけてきた。
「あんな威力、あの人も一撃で死ぬ!!つまり、あれを打つことは普通あり得ない!」
「つまり…?」
「幻覚だ!!あの黒いモヤが原因だ!!だが、脳に干渉しているっていう話だと、実際食らったらショックで死ぬかもな…」
「それじゃほぼほぼ現実じゃん!」
自分だけは喰らわない超巨大な隕石って……ズルすぎでしょ!?
これが別界級…ドラゴンと同等の、最大値以上の脅威…
もしもこれが万が一にでも町の方に来たら、多分滅んでた……それぐらい怖い。
対応するには、どうすれば…
「ドリリング!」
ゴルさんが唱えると、地面にいきなり穴ができた。
これは…
「飛び込め!」
そうか!幻覚なら…
ドゴオオオオオオオオオオオン!!!!!!!
穴に入ってすぐに、耳が割れるほどの轟音が響く。
そして、予想通り隕石は幻覚だったらしく、私たちの頭上から姿を消して、上がってみても何の被害もない。
幻覚って話なら、他の土だったりには干渉できない…つまり、当たらなければどうということもなし!
「フッハッハッハ!見破ったり!」
「調子乗んな!こっからだぞ!」
そうだ…私のスキルを見て瞬時に学習したなら、まだここから一波乱あるはず…
何を……
『○→…~¥×』
四方八方から、岩の弾丸が来た。
これじゃ、黒門でも全部は…
「グレイトドーム」
ゴルさんの詠唱で、私達を取り囲むように、黒曜石のドームが現れる。
これなら、一時的には防げるだろうけど…
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
音と衝撃…幻覚じゃないみたいだし、結界も限界がある。
暗闇で黒門も魔法も使えない……どうすれば……
どうすれば、この魔術師に、私たちは勝てるの?




