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研究塔の決戦

「よし!お前ら、よく集まった!人数に欠けもなし!俺も遅刻なし!ハッハッハ!!」


 昼の研究塔前でバレット団長が豪快に笑う。


 しっかし、遅刻しないのが非日常ってのがほんとになんともまあ…


 ヤナハさんに怒られてもしょうがないぞ。


 でもまあ今はいないので、鬼の居ぬ間に洗濯というやつか…?なんか違う?まあいいや。


 早速、依頼に取り掛かろう。


ーーーーー


 まず、塔の研究員を避難させて、俺たちはそれぞれの配置につく。


 襲われることが確定しているのなら、事前の対策もできるわけだ。


 ちなみに俺は最上階です。


 寒い。


 それにしても来ると分かればこうも研究室も片付くもんなんだな…やっぱり未来が見えるってのは…


 ドゴオオオオオオン!!!!!


 轟音が鳴り響く。つまりは敵襲だ。


 いつ来るかは分からないが、刀は構えとかないとな…


 そう思った矢先に、壁が壊れて、白い仮面を被った男達が入ってきた。


「なんっ……はあ!?」


 奥の方を見ると岩の階段が出来ている。魔法使いがいるってことらしい。


 なんにしても、やることは変わらない。


 ここにいるのは俺だけってわけでもないし、対応できるはずだ!


「うおおおお!!」


 鼓舞するように雄叫びを上げて、仮面の男達を切っていく。


 装備は片手剣と軽そうな防具のみ、十分対応できる!


 それに俺だって、あれから成長してないわけじゃない!


「二刀・大尾太刀(おおたち)


 龍砕を両手で、龍神斬を尻尾で持つ。


 そして、構わず仮面男達が攻めてくるが、両手に持った刀で防ぎつつ…


 尻尾の刀で突いていく、攻防一体の構えだ!


 シント様との稽古以外にも、自分自身のために修行を積んできた。


 努力は裏切らないらしく、どんどんと俺は敵を切っていく。


「よし…このままなら……」


 …と思った矢先だった。


 突然、背中に悪寒が走った。


「!?」


 後ろを振り返り後退りすると、そこには……


「なんだよ、バレたか……あの時は油断したのにな」

「クロヌノ…!?」


 そこに立っていたのは、短剣を持ったクロヌノだった。


 忘れるわけがない。


 俺を闇討ちして、ゲルドに売った男…!


 だが、今の俺なら…!


「回天!」

「甘い」


 突然、回転が止まる。


 その方角を見ると……弓があった。


 鉄製の、随分と重そうな弓に、俺の技は弾かれたのだ。


「嘘だろ?!」

「嘘じゃねえっての!!」


 俺の体は蹴られて宙を舞う。


 そして、クロヌノは弓を引いて……


「まずっ!?」


 とてつもない威力であろう弓矢が飛んできたが、見事に受け……る、必要はなかった。


 なぜなら、矢は見当違いの方向に飛んだのだから。


 なんだよこいつ…実は弱いんじゃ…


 ザクッ


「ガッアアア!?」


 左腕に強烈な痛みが走る。


 これは…跳弾!?矢で!?


 やっぱりこいつは……強い…!


 歯を噛み締め、気合いで着地する。


 こんな強いやつ……団長達の方はどうなってるんだ?


ーーーーー


「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」


 セイスケが心配するまでもなく、ソリアル・バレットは無双していた。


 ちぎっては投げ、ちぎっては投げ…仮面の男達が、紙屑のように死んでいく。


 女が出せるような膂力ではなく、到底人間とは思えないような怪力が、無造作に、無粋に、蹂躙する。


「やりがいねえなあ!?もっと強いやつ……」


 それに答えるように、バレットの鎧に剣が当たり、ヒビが入った。


「おおっ!?」

 

 なぜか嬉しそうに剣が来た方を見ると、何か見覚えのある仮面をつけた男が立っていた。


 バレットは目を見開き、見間違いではないかと瞬きする。


「お前……それ…」

「?これを知っているのか?」


 声は違う。


 だが、その仮面はヤナハのものと瓜二つだった。


(よく分かんねえけど……殺した後に聞けばいいか)


 バレットは頭が悪い。


 だからこそ、迷うことなく勝負をする。


「ドラアアア!!」


 バレットが大剣を大きく振ると、地面が割れる。


 だが、バレットは自分の担当している階層をうっかり忘れていた。


「やべっ!?ここ3階なの忘れてた!?」


 当然近くにいた仮面の男も落ちていく。


 だが、仮面の男は落ちていく瓦礫を使い、飛びかかった。


「おおおおおお!!?」


 空中では踏ん張りが効かず、バレットはその剣を受けるしかない。


 そのままの勢いで、二人は、壁を壊して町に飛んでいった。


「いてて…」


 バレットが起き上がると、そこは家屋の上だった。


 体の痛みに気づいて横腹を見ると、鎧が破れた部分から、じわじわと出血している。


 家屋の高さ自体地面からは随分と高さがあり、落ちたらひとたまりもないだろう。


 一気に地面に着かなかった分、幸か不幸か…


 そして、バレットの向かいに立つのは、当然仮面の男…


「完全に俺の方が不利だな……楽しくなってきた」

「このイカれめ」


 そうして、二人の戦いの火蓋も切られた。


ーーーーーー


 クソクソクソクソ…!まずい!


 矢を受けつつも防いできたが、流石に限界が来た…


 他の傭兵もいるんだぞ!?避けつつ流しつつ弓矢で乱戦って……どうなってんだ!?


 このままだと負ける。どうすれば……他の傭兵達も手一杯そうで助けも呼べない。


 逃げれば矢が追ってくるだけ……そして逃げ切る自信はない。


「こんなところまで来ちゃってさあ!?逃げればあ!?」

「逃しちゃくれないだろうがよ!」

「正解!!」


 矢の勢いが増した…!もう近づくこともできない…


 なら…


 俺は仮面の男の死体を持って、突っ込んでいく。


 これなら矢を受けようと関係ない!道徳的にはヤバいが!


「いいこと考えられるようになったねえ!お前もおんなじ人殺しかぁ!」


 うるさい…!


 ここでさっさとお前を殺して、団長や他の傭兵を助けに……


「考えがあめえんだよ」


 俺が死体越しに刀を突っ込む前に、クロヌノは、跳んでいた。


 俺がそれに気づく頃には、クロヌノの弓は、もう……………


「セイスケエエエエエエ!!!」


 俺の体が横に飛ぶ。誰かに、体当たりされたのか……?誰が…


「シーヤ……さん?」


 シーヤさんの腹に、大きな穴が空いていた。


 まずい!死んで……


「セイスケ!!お前傭兵だろうが!!敵を見……」


 ドスッドスッ


 矢がもう2本、シーヤさんの心臓と頭を打ち抜いた。


 あ、ああ…


 俺は、また……!!!


「アアアアアアア!!!!!!!」


 鱗が、心が、黒く塗りつぶされていく。


 


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