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バレバレ

ーーーーー


「…そうして俺は冒険者になった」


 カルーグさんが、すっかり冷え切ったシチューを食べながら、そう呟いた。


 私は、あまりの悲しさに涙を流してしまった。


「あ?なに泣いてんだ!?」

「だってえ〜!お母さんが死んじゃったりした時にどれだけ悲しいかは分かるから、その分で2倍悲しくってえ〜!」


 カルーグさんはお母さんの話をする時に口角が緩んでた。


 きっとカルーグさんのお母さんも、私のお母さんとおんなじ優しい人だったんだろう。


 それが、今は死んでいると聞いてしまうと余計に悲しくなる。


「……でも、なんで話してくれたの?」


 涙と一緒に出てきていた鼻水を啜りながら聞くと、カルーグさんは小さく呟いた。


「おま…が…れが…のころと…おな…顔して………だよ」

「?なんて言ったの?」

「チッ……んでもねえよ!」


 聞いてみると、なぜか不貞腐れて寝袋に身を包んでそっぽを向かれちゃった。


 やっぱりよく分かんない人だけど、励まそうとしてくれたのかな…


「ありがと、カルーグさん」

「うるせえ…早く寝ろ…」


 言われた通りに、私は早くに寝袋に身を包んだ。


ーーーーー


「ゲエエエエッ!」


 テルンドアの沼地の一角で、蛙の叫び声が響く。


 グロフロッグ討伐の依頼の期限は一週間、私たちは攻めをカラーグさん、守りを私という形にして今回はしっかり作戦行動できてるし、背後への注意も万全。


 レッドベアの時もそうだったけど、戦闘時に人が1番慢心するのは戦闘終了の瞬間なんだと思う。


 だからこそ本当に戦闘が終了するのは、帰ってからなんだと気合いを入れて挑む。


黒疾弾(アクセレートバレット)!」


 またあの時のようにグロフロッグの脳天に穴を開ける。


 グロフロッグの特徴として、幼生の時から卵をたくさん産む。


 卵の時から目に見えないような小さい生物を食べて、その卵を親が食べて…親の死体は生まれたての子どもが食べると、ほとんどの生命のサイクルが自種族だけで完成していて、その増幅には際限がない。


 その増幅方法の気持ち悪さゆえに、グロフロッグなわけで、だから当然…


「カラーグさん!キリががないよ!?」

「昨日より暴れてる分集まってきてんだよ!胃袋が毒ってだけで、舌に巻きつかれなけりゃただのカエルだ!」


 そう言われても…!


 私だって十何体も殺してる…カラーグさんなんてその倍だ。


 これなら、レッドベアの方が全然マシ!これで銅でもいけるようなクエストって、嘘でしょ!?


 せめて黒疾弾(アクセレートバレット)を横並びに撃てれば……でも結局、重力が……………?……


 なにか、思いつきそうな…


「クソガキ!ボサっとしてんな!」

「ご、ごめんなさい!」


 ハッとして、思いつきそうだったことすら忘れるほどに、私たちは戦闘に集中した。


ーーーーー


「ゼエッ……ゼッエ……」

「バテてんなよ?帰りまで含めて」

「戦闘だよね…分かってるよ…」


 何十分もの戦闘の末、やっとこの辺り一体のグロフロッグを殲滅した。


 私は超がつくほどに息切れも酷いのに、対象的にカラーグさんは全然疲れてない。


 流石に金等級ってことかな…それにしたって強すぎとも思うけど…


「…ナイフあんだろ?依頼達成の証明用に、舌の先端だけでも切ってくぞ……」


 あ、戦いが終わったからなのか暗めのテンションに戻った…


 これにも慣れてきちゃったな〜…


 私もこんなふうになったら、センパイ私のこと嫌いになったり……


ーーーーー


「なんかお前、ゴルさんみたいになってきたよな?正直、きもちわ…


ーーーーー


 いやいやいやいやいやいやいや…!センパイはそういうこと言わないって分かってるけど…でももし


「おい!!早く手伝え!!」

「ひゃい!」


 怒ってる時のカラーグさんは、テンションが高めになる。


 ……センパイ、私、こんな風にはならないから…!


 なるべくサーリアさんみたいな美人になるからね…!


 カエル達の舌を切りながら、どこにいったのかも分かんないセンパイに心の中でそう言ってみた。


 まあ届かない心の声を叫んでもしょうがないし、早速舌を…


 ドオオオオオオオオオオンッ!!!!!


「ひっ!?」


 いきなり森の方から轟音が鳴り響く。


 音の大きさとしては、私がレッドベアを上空から落とした時の音の何倍かって大きさだ。


 なにがあったか、カラーグさんに聞いてみよう…


「カラーグさん、今のって…」

「……さあな」

「さあなって…!」


 あんなすごい音、魔法でもハンマーでも出せるか……それに、そんな大きな音を出す魔物なんて聞いたことも…


「いいから、手動かせ」


 これ以上聞くなとでもいうよに、カラーグさんは私から遠ざかっていった。


ーーーーー


 無事に帰れた私たちは、早速買い出した食材を出していって、カラーグさんが料理を始める。


 今日の献立はパンとサラダ、お肉のスライスと、少し豪華で嬉しい。


 私はお皿を並べていって…といっても床に置いていくだけで……


「……机とか買わないの?」

「うるせえなあ……自分で買っとけ」


 魔法学の本とかは買うくせに、インフラとか知らないのか!全く。


 カラーグさんがお皿に料理を並べていって、早速食べていく。


 食べていく中で、机を自分で買えと言われたのを思い出す。


 このお部屋を自分の好きなようにできるかもって考えると……


「フフフフフフフ」

「なんだ?気持ち悪いぞ…」

「ひど!やっぱり、カラーグさんって女の子に対してデリカシーないよ!」


 私はカラーグさんに対して、色々と溜めていた本音をぶつける。


 気持ち悪いなんて…センパイだったら絶対そういうこと言わない!


 私には分かる…


「センパイだったら、きっと優しくなにを考えてるのか聞いてくれる…」

「神格化しすぎだろ…まあ言いそうだが、やっぱ好きなのな」


 カラーグさんもどうでもよさそうにりょうりを食べながらでも、分かってくれたらしい。


 ……………


 いや、待って。


「いま、なんて言ったの?」

「?神格化しす」

「その後」


 ぐいっと顔をカラーグさんに近づける。


 いや、これは私の秘めた思いのはずで…


「?やっぱ好きなんだなって」


 冷や汗と顔のほてりで色々顔面が大変なことになってく…


 い、いや、今気づいたって可能性も…


「いつから分かってたの…?」

「いや、お前めちゃくちゃトカゲ坊主のこと見てんだろ……トカゲ坊主以外はみんなわかってたと思うぜ?」


 そ、そんな……


 恥ずかしい…!めちゃくちゃ恥ずかしい!!


 すぐに料理を食べて、歯を磨いて、私は布団に身を包んだ。


「おやすみなさい!!」

「………おやすみ……」


 恥ずかしいよ〜〜!!助けてセンパイ!!


 



 



 


 

 


 







 


 



 

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