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腹が減っては掃除はできぬ

 そのゴルギルガルさんの実家は凄惨たるや…とんでもないところに来たと嘆き、脳天に拳を食らった後に、私はボロ実家の掃除をしていた。


 とほほ…もう修行なんてゴリゴリだ〜とでもいうような言葉が出そうになるが、ゴルギルガルさんの圧でなにもいえない。


 一応30分はやったし、もうそろそろいいかなと箒を置いてみると…


「なに休んでんだ!!まだ終わってねえぞ!」

「ひいい〜」


 これの繰り返しでとんでもない苦渋なわけです…助けてセンパイ…


「というか!ゴルギルガルさんのお母さんとかいないの!?頼もうよ!」

「遂に敬語まで使わなくなったな!!親父も含めてもう死んだわポンコツ!」


 …そう言われると反応に困る。


 特にポンコツと言われたことに憤りを覚えるべきか、お悔やみ申し上げるべきか…


 とはいえ、死んだと言った時の表情は荒々しいけれど、どこか悲しそうだった。


「…掃除、頑張ります」

「おう」


 2択で心配の方を優先したが、正解だったみたいだ。


 でも少しだけ、会ってみたったな、ゴルギルガルさんのお母さん。


ーーーーー


「終わった〜」


 ギィ…


「掃除終わったみたいだな!!」


 遂に掃除が終わり、ホッと一息つくようにしていると、ドアからゴルギルガルさんがパンや牛乳なんかのご飯を持って帰ってきた。


 料理のための薪も、いくらか溜めてあるのか片手に持っている。


「ほらよ!お疲れ!!」


 皮袋を投げてきたので受け取ると、外の寒さで冷やされた牛乳だった。


 一気にゴクっと飲んでしまう。


「ぷっはあああああ!染みる!」

「何歳なんだよテメェは!!」


 それ、ゴルギルガルさんが言えたことじゃないでしょ…


 ともかく、今日は疲れたあ…


「ごはん、お願いします…」

「まあいいぜ!!元々そのつもりだったしな!!」

「ありがとう…」


 綺麗にした地べたに背中を任せて寝っ転がる。


 すると、うとうとと眠りについていってしまった…


ーーーーー


「ハッ…!」


 いい匂いに気づいて目を覚ますと、ゴルギルガルさんが美味しそうなシチューを作っていた。


「おお、起きたか……」


 シチューとパンを手際よくお皿に盛り付けて、机もないので地面に置いていく。


 シチューはごろごろとした肉や大盛りの野菜なんかの具沢山で、寝起きなのにどんどんお腹が空いていく。


「いただきます!」


 早速手を合わせて、パンをちぎってシチューにつけたり、具を一気にかっこんだり、モリモリ食べていく。


 ゴルギルガルさんは案外少食なのか、おかわりもせずすぐ食べた。


 その後に蝋燭をつけて、真面目そうな本を読んでいる。


「ほぉへ、はんほほんはんへふは?」

「せめて食ってから喋れ…」


 気になったので聞いてみるが、美味しいシチューに邪魔をされて足蹴にされてしまった。


 シチューよりも本に興味が湧いた私は、すぐに残ったシチューを鍋ごとお腹に入れて、聞いてみることにした。


「それ、なんの本なに!?」

「『魔法とその指向性補助における総論・3巻』」

「………?………」


 つまり、なんか魔法の本ってことなのかな…?


 豪快な戦い方の割に真面目に本読んでるんだなあ…


「案外真面目だなあって思ったろ……」

「ははははは…」


 図星なので笑って誤魔化す。


「あっはっはっは」


 すると、今は案外気分がいいのか、笑って答えてくれた。


 ボカっ


「んびっ…」


 と思ったらいきなり殴られた……訴えたら勝てると思えてくる…


 訴訟について検討していると、ゴルギルガルさんは本を閉じて、棚にしまってあった皮寝袋を取り出す。


「魔法使いはアタマが基本だ…どんな情報でも得て損は無いし、命を担保にしてる以上できることはしとけよ」


 そして、取り出しながらアドバイスらしきことを喋り始めた…


「先輩風を吹かそうとしているので…?」


 ボカっ


「んぎゃっ…」


 本日2回目の拳骨をくらい、たんこぶをさすさすといたわる。


「俺はもう寝るから、勝手にしろ」


 拳骨を食らわせてすぐにそう言って、蝋燭の火の明かりが届かないところでゴルギルガルさんは眠ってしまった。


 勝手にって……私も寝た方が…


 一瞬そう思ったが、閉じられたゴルギルガルさんの見ていた本を見て、無償に見たくなってしまった。


 ペラペラと読み始めてみるけれど、どうにも言葉が難しくって分からない。


 簡単な読み書きはお父さんから教えてもらったけれど、見たことない言葉ばっかり…


「ゴルギルガルさん…『力場』って、どういう…」


 あ、そうだった寝てるん…


「物体に働く力が物体の位置によって一義的に定まる空間領域…」

「!」


 教えてくれたけれど、全然意味が分からない…


「つまり…?」

「とりあえずなんか力が働いてる場所……例えば物落とすと重力で落下すんだろ…?そういう力が働いてるとこはみんな力場なんだよ…」


 わかりやすい…かも!


 早速、他の言葉も聞いてみる。


「この氷結魔法について書いてあるところの凝固点って…」

「とりあえず水が氷になる温度って覚えとけ…」

「電気魔法のところの誘電率は?」

「とりあえずその数値がでかけりゃでかいほど電気が貯められる…電気魔法は発動までの充電がどんだけできるかが重要…!」

「触媒…」


「もう寝ろ!」


 流石に大人しくいうことを聞くことにして、持ってきた寝袋に身を包んで、就寝した…


ーーーーー


 朝起きると、丁度目の向きに天井があった。


「知らない天井だ…」

「当たり前だろ」


 今日から早速、修行が始まる。




 


 



 


 





 

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