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心配性の大人達

 サーリアさんと話し合ってから数週間後…


 乗り合い馬車の馬主さんとゴルギルガルさんが話し合う中、私は1人、道の端で途方に暮れていた。


 結局は承諾しちゃったけど…不安だなあ。


 そういえば、菓子折り!……完全に忘れてた……あった方がいいよね?


 心のセンパイがそう言っている気がする〜…!


 どうしようかとそんなことを考えていると、ゴルギルガルさんが交渉が終わったのか、近づいてきた。


「おい、準備できてんのか?!さっさといくぞオラ!」


 うっわ……ハズレのテンションだ…


 まあ何日も過ごし続けるってなれば覚悟しなきゃいけないのがつらいけど、まだ慣れないなあ…


 そう思いつつも切り替えて、服なんかの必需品を詰めたカバンを持って、私は馬車に乗り込んだ。


 馬車は天井の雨除けがないタイプで、その分重量が軽いからか、かなりの大きさだ。


 国同士が近い分、雨なんかも予想しやすいからこういう大きいものにするんだろうな…


「それじゃ行きますよ」


 積まれた荷物をいくつかどけて、丁度座りやすいようにした積荷に腰を下ろすと、すぐに馬車が動き出した。


 不安もあるけど……ちょっと楽しみだなあ。


 そう思いながら検問所で馬主さんが門兵の人と色々確認を進めていると、隣をカサインさんとリーグルさんが通ろうと近づいてくる。


 レッドベアの異常も少なくなってきたけど…今日はどうしたんだろう。


「カサインさん!リーグルさん!」


 手を振ると、リーグルさんが巨体をドタドタ動かしながら近づいてくる。


「いやあ、間に合った」

「セラミスちゃん、どうも」


 リーグルさんは息切れしていて、対照的にカサインさんは余裕がありそうだ。


 しばらく会えなくなるから、応援にでも来てくれたのかな?


「セラミス、これ、協会に忘れてたぞ…」


 そう言って、リーグルさんが私の財布を持ってきた。


 財布は、全財産入れたよね…?


 すぐに私は自分のポッケや懐を探るが、確かに財布が無かった。


「あ、ありがとうございます!本当に路頭に迷うところだった…」


 ホッとしたのも束の間に、カサインさんが私にデコピンをしてきた。


「いてっ」


 痛みで少し涙が出てきた私に、続けてカサインさんは叱っていく。

 

「中身…純金貨(10万円)がアホほど入っとったぞ…ドラゴンの騒ぎで色々物騒なんやから、ホンマに気いつけろや?」

「はい…おっしゃる通りです…」


 ぐうの音も出ないほどの正論…


 お金の管理とかはセンパイがやっててくれたからなあ……そのツケが回ってきた感じがする。


 センパイ、今元気かなあ…お腹空いたりしてないかな……


 も、もしかして私以外に仲のいい女の子とか出来ちゃってるかな!?センパイ優しいし…ありえるかも…


「どう思いますか!?」

「何がや!知らんわ!」


 妄想の答えを投げかけてみるが、当然答えなんて返ってこない。


 どうしよう…早く2年経たないかなあ…


 なんて、そんなことを思うのは後にしよう。身分の確認も終わったみたいだ。


「じゃあ!行ってきます!」

「ああ!生きて戻ってこいよ!」


 二人が見えなくなるまで手を振って、私とゴルギルガルさんはイェルを去った。


ーーーーー


 セラミスが街を出たあと、カサインとリーグルの二人は昼だというのに酒場で酒を飲んでいた。


 木で出来たグラスとつまみがテーブルに置かれたあと、カサインが酒をちびちびと飲みながら愚痴を話し始めた。


「ホンマにどうなっとんねん…純金貨(10万円)やぞ!?一瞬くすねたろうか思ったわ!」


 怒りと言うよりは動揺したような抑揚でカサインが叫ぶと、その声が酒場の騒々しい話し声に消える。


「そう言うなって…あいつだってわざとじゃないだろ?」

「そうやけど…」


 リーグルがいつものようにカサインを宥めると、すぐに大人しくなる。


「だからって、今まではどうしとったんや?あんなポンコツが………あ’’〜…」


 カサインは、自分で言って自分で、今まではセイスケがいたことを思い出す。


 それを恥ずかしがったのか、掻き消すように頭を掻きむしるが、それでも頭から、あの尻尾のついた少年は消えない。


 諦めたのか、酒をぐいっと飲んだあと、本音を呟いた。


「……2年後に帰ってきたら、色々褒めてやらんとな…」

「色々って?」


 そこからはもうペラペラと、酒も回っていないのによく喋り始めた。


「セラミスちゃんには実力がある。でも、魔法使いなら当たり前のこととして、近距離での戦闘は不向き…加えて普段の暮らしは抜けとるやろ?」


 一度試しにとセラミスが剣を持った時、剣の重さで後ろに転けたこと…


 歩いているだけで、治安が悪いと1分に一回はチンピラに絡まれること…


 それらセラミスのエピソードをカサインは思い出し、リーグルも同様に頷くように腕を組む。


「今までは抜けとる部分もセイスケが補っとったけど、今後の2年、セラミスは一人…いや、ゴルがおったか…まあ少なくともほぼ知らん奴とで活動することになるんや…」


 金勘定にいざという時の近距離戦、果ては町を歩く時まで、セラミスは今までとは全く違う暮らしになる。


 それがセラミスの成長に繋がるのか、はたまた挫折するきっかけになるのか…


「心配やな…」


 二人は、セラミスの今後の行く先を想像して、ため息をついた。


ーーーーー


「助けてーーー!!!」


 町から出たあとに、セラミスは底なし沼にハマっていた。


 すぐにゴルギルガルが駆けつけるが、暴れているせいでどんどんセラミスの体は沼地に落ちていく。


「なにやってんだアホ…」

「な、なんかキラキラしたカブトムシがいたから、追いかけてたら…」

「本当になにやってんだよ…」


 このあと、ゴルギルガルが魔法でセラミスを助け出した。


 


 


 




 


 

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