少女奮闘記
セイスケが協会を出発したあと、セラミスは早朝に起きて、セイスケを探していた……
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……眠い………いま何時かな…?
起き抜けでとりあえず、サーリアさんの部屋でセンパイを探す。
「センパイ?」
あれ?確かこの部屋で寝てたよね?
「センパーイ!早く行かないと、おひさま出ちゃうよ?」
うーん、いない……
先に外にいるのかな?
とりあえず、サーリアさんの部屋……客室は冒険者協会の2階にあるので、下に降りていく。
少し曲がった階段を降りていくと、ドアが開いた。
「サーリアさ……協会長!」
「サーリアでいいよ、セラミス」
丁度サーリアさんが来た。
でも、なんか悲しそうな顔してるような…?どうしたんだろう。
サーリアさん美人だもんな〜…私には考えつかないような悩みもいっぱいあるよね…
……センパイもやっぱり、そういう人の方が好きなのかな。
あっ、そうだ、センパイ。
「サーリアさん、センパイがどこに行ったか知りません?どこにもいなくって」
「……ごめんね」
「…?なんで謝るんですか?」
サーリアさんは、美人らしい物憂げな顔を浮かべて言った。
「とりあえず、座って話そう」
ーーーーー
サーリアさんが説明してくれたことを、椅子に座りながら整理する。
「そんな…センパイが、なんで私を…!」
私が……足手まといだったから?
やっぱり、私は、お父さんが言ったみたいな、失敗作だった…?
そんなことを考えて自分で自分の気分を悪くしていると、サーリアさんが答えてくれた。
「セイスケ君は、セラミスちゃんの身を最後まで案じていた……これを」
サーリアさんは、何かが書かれた紙を渡してきた。
「セイスケ君が君宛に書いた手紙だ…代筆だけれど…」
私は受け取って、中身を開く。
センパイは……何を思って…?
ーーーーー
セラミスへ
今まで一緒にいてくれて本当にありがとう。お前は俺にとって、大事な家族だった。
どうか俺のことは忘れて生きて欲しい。
お前は俺と違って、いくらでも幸せになれる道がある。
だから、俺は本当にお前の幸せの足手まといになる前に去っていくことにした。
今生の別れってわけでもない。いつかきっと、イェルにいるお前に会いにいく。
だから、俺を探すな。
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……
「こんなの…!」
ビリビリビリビリ
私は、手紙をすぐに破いて捨てた。
「セラミスちゃん、なにを」
「そんな『幸せ』なんて、絶対に認めない!!」
私たちみんなが幸せになったって、その先でセンパイも一緒に笑ってなきゃ、私は幸せなんかになれない!
「センパイも一緒に幸せにならないと、絶対幸せなんて思わないし、思えない!」
手紙を読んでいく中で溜まった感情が爆発する。
すぐに、センパイに会って一回叩いてあげたくなる。
そんな私が怒ってる姿を見て、なんでかサーリアさんはクスッと笑った。
「直接言うには、少し遅かったね?」
「今からだって遅くないです!」
…そうだ!今からだってセンパイに会いに行って……
「セイスケ君に会いに行きたいんだろうが、やめておいた方がいいよ」
私の心を見透かしたようにサーリアさんは真面目顔をして忠告する。
「今行っても逃げられるのがオチだ」
「それでも、追いかけて…」
少し焦ってしまったのも分かったのか、サーリアさんは忠告を続ける。
「なんにしろ、彼にも考える時間は必要だ……君が彼に対して並々ならぬ感情があるのも確かなんだろうが、彼も君に対して、同じくらい幸せを思っているはずだ」
サーリアさんはまっすぐと私の目を見つめて、あまり見てこなかった、見られなかった部分を指摘する。
「それに……彼がまた暴走した時、君はそれを止められるのかい?」
「……それは……」
サーリアさんは、おもむろにピースした。
……じゃんけん?
「なにじゃんけんしようとしてるんだい……?」
握り拳を出してみたけど、やっぱり違った…
サーリアさんはため息をついた後に、もう一度指を2本立てる
「2年だ。2年の間に強くなって、彼が自らの暴走さえ止めてくれるだろうと、そう思わせるような強さを得なさい」
2年……センパイが、冒険者としてまた復帰できるようになるまでの年月だ。
その間に……あんなドラゴンとやりあえるような強さを…?そんなのは無理……
なんて、絶対に思わない。
…やるに決まってる。
「強くなります。金等級だって霞むくらい、絶対に強くなってみせます」
自分を奮い立たせるように拳を握る。
そうすると、サーリアさんは、嬉しそうに笑った。
「いいね、やることは山積みなんてものじゃあない、覚悟することだ」
やってやる……やってやるぞお!
センパイ!待っててね!強くなるから!
グウゥウウゥウ
…答えるように、私のお腹が鳴った。
「やることは……とりあえず、まずはご飯からだね」
「はい……」




