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悪意はどこにでも

 さて、ゴブリンの首も集め終えたし、これで冒険者協会に届けにいけば金がもらえるだろう。とはいえ命を賭けたにしては物足りない金額だったが文句は言えない。


「リーグル達にもお礼言わないとだよな…ザインにも感謝しな」


 肩に痛みが走った。


「ガッ…!?」


 右肩…後ろから…これは……矢を撃たれたのか……?それに、ゴブリンじゃない…


 この森に、眠気を誘うような毒草は生えていない。


 く、そ……意識も遠のいてくる………これは、人……の……



ーーーーー  



 目を覚ますと、薄暗い建物の中に俺はいた。


 俺が座ってんのは、これは……椅子か…?地面に固定されてるな…腕も足も金属製の錠で椅子に縛り付けられてて動けねえ…口も布で縛られてる…


 …目だけは使えるな…周囲の見た目から古い木造の小屋ってとこか…


 案外広めで、もう使われてもいないだろうが暖炉まで付いている。ここまで大きいとなると誰かが住んでいたのか、それならおそらく人里に近いといのか…


 分かったところで抜けられるってわけじゃないってのが……あーくっそ、せめて刀がどこに行ったかだけでも分かればいいんだが…


「おっ、やっと起きた」


 ドアが開き、暗めの服を着て、口に黒布を巻いた男が入ってきた。立ち姿と視線から分かる。この黒布男は俺より強い俺の敵だ。


「んふふぇふぁ…(お前は…)」

 

 俺の口籠った声でも、流石に常套句だったんだろう。男は、いつも通りとでもいうように適当そうに答えた。


「んお?あー…クロヌノってことで」


 男…クロヌノは奥にあるバッグから食料品を取り出し始める。バッグの隣には俺の刀が置いてある。


 食料品を机に置いたあと、面倒くさそうにため息をつきやがった。なんなんだこいつ。


「うわっ、怖いな…そんな睨みつかなくってもいいだろ」


 じゃあこんなことすんな…と言ってやりたいのに口布が邪魔……


 そう俺が思ってすぐに、クロヌノは、俺の口布を外す。だが、口布があった方がマシと思えたくらいに、クロヌノは口布を外した瞬間、騒いだら殺すとでも言わんばかりに睨みつく。


 お前の今目つきの方がよっぽど怖い、この言葉は邪魔されているわけでも無いのに、喉の奥が熱くなって出てこない。冷や汗が背中から出てくるのを直に感じてくる。


「なんだ…おとなしいんだな…今から売られるって分かってるか?」

「…!」


 …あぁ、本当にあの時の、セラミスと会った時と同じような状況な訳か…敵が強い分あの時より最悪なのが最高だ。


 別に分かってはいた。大陸はザインやカサイン、リーグル達のようないい奴ばかりってわけじゃない。


 受付も俺に怯えていた。俺と組みたいという奴はリーグル達以外には一人もいなかった。こんな化け物を好いてくれる奴の方が珍しいって、分かっていたはずだ。


 …なのに、少し安心していたんだよな…セラミスやアルキさん、リーグル、ザイン、カサイン…ここまで人に恵まれたことに、本心で気づいていなかったんだ…もっと警戒するべきだった。


「冒険者登録済んでるやつってなると面倒なんだけど、お前みたいのならそこまで追っ手も来ないだろ?金払いもよかったしな……お話ししたいんだとよ」

「…お話し?」


 ……少し不自然な気もする。面子が大事ってのはどこでもそうなんだろうって分かりはするが、ここまで追って、また捕まえてあまつさえ殺さず話がしたい……?そこまでの価値はあの見張りにあるとは思えない。


「一体なんで…」

「知るかよ、俺だって大して教えてもらってねえんだから、本人に聞いてみるんだな」


 本人…見張り達のボスってやつか。多分、よっぽど俺に聞きたい話があるのか…?そうでないと、そいつがここまでする理由が見つからな………


 待てよ……もしかすると、クロヌノを雇った奴の目的は…!


 ギィ


「おっ、噂をすればなんとやらだな」


 扉がまた開き、眼鏡をかけた丸坊主の強面が入ってきた。目は光をほとんど反射していない。


「……ご苦労だったな…報酬は例の場所で部下に払わせる…」

「はいよ、それじゃ俺はこれで」


 俺を捕まえた男は出ていき、あとには俺と「ボス」だけが残った。めちゃくちゃ気まずい。


「…さて、早速お前に聞きたいことがある…お前が逃した少女の居場所だ」

 

 …やっぱセラミスか…他に理由が見つからなかったというのもあるが、それでもセラミス一人にそこまで価値があるようには見えない。あいつらもぞんざいに扱っていたはずだ。


 まあ、話がどうであれ


「言うわけないだろうが」


 セラミスは大陸に来て初めて俺を優しく扱ってくれた。長い時間旅もした。そんな家族と同然の存在の居場所を軽々しく話すわけがねえだろ。


「…そうか……拷問器具を持ってきてよかった」


 坊主眼鏡の男は鞄から見たこともない形の道具を取り出した。小さな箱のように見えるそれは、血で錆びているように見える。


 口に布を戻されたあと、器具を指に取り付けられた。


 そして、坊主眼鏡は持ち手をくるくると回し始める。


「!?!?!??!!!!!????!!!!ンーーー!!!!!ングッーーー!!!!!ンンンンンン!!!」


 激痛が走る。鋭い痛みが永遠と続く。意識が飛びそうになって、正気を戻して、また飛びそうになる繰り返し。


「爪と指の間に針を入れる…20本分終われば、次は爪を剥ぐ…どこまで耐えられるのか見ものだな」

「フーーーッ………フーーーッ……」


 …やってみろ……!


 


 

 

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