最初の一歩
と、いうわけで刀も揃い、本格的に冒険者業に力を入れられるようになった俺は早速小鬼討伐の依頼を受けようとしていた。
「セイスケ、本当に一人で大丈夫なのか?」
「リーグル、だから流石に頼りっぱなしは嫌だって言ったろ」
あいもかわらずリーガルは俺の心配をする。
こいつの性格だとそのうち肝が凍え死にそうだ。
「でもゴブリン相手やからって楽勝って訳やないで?初心者はゴブリン討伐で死ぬやつのが多くなっとるし」
「…レッドベア倒せたのにつまづくわけないだろって……お前はなんでいるんだカサイン」
リーグルはまあ分かる。だって優しいし……
だが、カサインについては俺の剣を折ってきた張本人なので冷たい目を向けざるを得ない。
「死んだ魚みたいな目ぇしんどいてや…ワシかて申し訳ないと思っとるし気にもかけとるんやで?」
「…まあ、感謝はしてるよ」
こいつがザインを紹介してくれなきゃ今ごろ使い慣れない剣を使うところだったし、元々折れかけだったろうしな。
まあだからといってチャラになるわけではないので冷たい目を向ける。
「ま、実際リーグルの言う通りゴブリンだって馬鹿やない、毒や鈍器を使うのも普通…油断は信用にな」
「ああ、分かった…ありがとうな」
リーグルは俺より高い銅級、カサインについては最上級に近い金等級だ。冒険者になって日も浅い俺にとっては本当に二人の存在はありがたい。
二人のためにもしっかり依頼をこなそうと、俺は決意した。
ーー2時間後ーー
早速森に入った俺は、依頼通りゴブリンの住処を探していた。
普通は近い等級でパーティを組むものらしいが、俺を受け入れてくれる奴はいなかったので一人だ。
そんなことを考えながらそろそろ見つかるかと言うときに、血の匂いが鼻を刺す。
「くっせえな…ゴブリンの匂い…じゃないよな…とるなと……」
犠牲者か……気を引き締めていかないと俺も死ぬかな…
「ギイイイイ!!!!」
金切り声が耳をつんざく。リーグル達から聞いていたゴブリンの声だ。
「まずは仲間を呼ぶんだったか…!」
できるだけ見晴らしのいいところに移動して迎え撃つか…毒矢が厄介と見て木々の入り組む場所で一体一体殺すか…
「リーグルは毒性の植物の話はあまりしていなかった…なら、今は毒物の危険は無視だな」
それにゴブリンは小型な分後ろから気づかずにって可能性もあるんだし、見晴らしはいい方がいいな。
早速元来た道を辿っていくとゴブリンが一体、跡をついてくる。この時点で一体だけってことは来たとしてももう3、4体…少数っぽいな。
「さて、刀の切れ味を試してみるか」
俺は見晴らしのいい場所で龍神斬を取り出す。木漏れ日が刀の刃を反射して草木に光を移す。
流石にザインが認めるだけあって、ゴブリンの首は振りかぶった棍棒ごと綺麗に寸断された。
まず一体…血の匂いに釣られて大勢こないことを祈っときたいが…
「ギャギイイイイイイイ!!!」
早速5体来た。想像よりちょっと多いな…まあ、やってやれないこともないだろう。
俺は龍砕を抜いて思いっきり一体にぶん投げる。ゴブリンは咄嗟に手で防ごうとしたが、見事に手は砕かれてそのまま脳天を貫いた。ザインの傑作なだけある。
「さて、これで想定通りの数だな」
気づくと俺の目の前には3体……3?
「ギャヒャヒャアアアア!!」
「後ろか」
尻尾を思いっきりブンっと振ると、確かに何か当たった感触があった。
「ギャ!?」
ほんっとこう言う時だけにしか使えない。まあないよりマシ……いや、ない方がいいな。
「ギイアアア!!!!」
「悪いがこっちからいくぞ」
まず一体に龍神斬を突き刺し蹴っ飛ばして抜く。血が吹き出していくらかは服にかかかった。
「ギャア!!」
ここでゴブリンが、俺の刀をぶっ飛ばした。刀は回転しながらあと5歩はあるかと言う位置に飛んで行った。
「くっそ…」
「ギャヒャアアアアア!!!」
「やっぱ龍砕は残しといた方がよかったよな…」
刀を奪ってきたゴブリンの腹に思いっきり右ストレートをぶち込む。
「ギャッ…!?」
次にゴブリンの棍棒を奪い取って頭に叩き込む。脳震盪でしばらく立てないだろう。
棍棒を見てみると持ち手は先端が尖っており、ちょうど魚にでもさせそうな形だ。
「あとはお前らの脳みそくらいか…」
残ってたやつに棍棒をグサっと刺すとすぐに倒れ込む。
「ギヒイイイイイ!!」
「あ!?逃げんな!」
気づくと逃げようとしていたゴブリンをなんとか掴み、首を絞める。
「ガッ……!カッ……!」
動きもしなくなった時点で手を緩める。これで5体とも全員ノックアウトしたらしい。
「まあ…カッコはつかなかったけど」




