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牙は生え変わる

 後日、仕上げも完全に終わった刀を見るため、俺は今日も工房に行こうとしていた。


 と、その前にセラミスに引き止められる。


「センパイ、今日は私もお休みもらえたし、センパイがいつも行ってるところ、行っていい?」

「いや、だから冒険者は危ないって言ったろ」


 まあ今日は協会に行く気はないが、それでも興味を持つこと自体不安に…


「でも最近は鍛冶屋に行ってるよね?服に炭残ってるよ?」

「…」


 あー、バレてるんすね、洞察力がいいようで何よりだ。


 やらせはしないが、魔法だったり洞察力だったり才能はありそうなわけで、セラミスも冒険者業はできそうだなーとでも思いながら、俺は嫌々セラミスを工房に連れていくことにした。


「今回だけにしてくれよ…」

「うん!!」


 ずいぶん嬉しそうにしてくれる。


 美少女のえがおというだけあり、こっちまで笑みが溢れてきそうだ。とはいえほうけている暇は無いが…


 時間は有限のため、宿をすぐに出たあと、俺はセラミスにある疑問を投げかけてみる。


「なあ、そういえばなんで俺のこと先輩って呼ぶんだ?歳はそんな変わらないと思うが」

「えっとね、檻に閉じ込められてたとき、外から『年下だろうが尊敬する奴は先輩って呼ぶんだよマヌケ!!』って怒鳴り声が聞こえてきたの、だから……間違ってた?」


 なるほど、あの二人組のせいだったとは…いやよかった。俺の呼び方がマヌケにならなくて。



ーーーーー



 何十分か歩いて俺たちは工房に着いた。


「ザイン?いるか?」

「はいはーい」


 呼びかけてみると奥から知らない奴が出てきた。多分風邪をひいていたという見習いだろう。


「…!」


 一瞬俺の手と尻尾を見てビクッとする。


 まずったな…ザインしかいないと思って、表で革手袋もリュックも外してきてしまった。


 とはいえ流石にプロなのだろう。見習いらしいやつはすぐに自然な表情に早変わりして対応してくれた。


「すいません…師匠なら今やっと受注分が終わって、疲れ果てちゃって寝てますね」


 前に言っていたやつか…軽く流した話とはいえ、今どんぐらい借金残ってるんだろうな…払った分で足りてるといいんだが…


「あの、セイスケさんですよね?」

「?ああ」

「やっぱり!ちょっと待っててくださいね!」


 答えると、見習いがすぐに刀を「二本」持ってきた。


「これ!どうぞお受け取りください!」


 一つは頼まれていた刀、もう一つは、あの龍紋の刀だった。


「え?いや、これはいらないって…」

「もらっといてくれ…」


 ドアから隈が鼻の下あたりまで来ているザインが出てきた。


「師匠!?寝といてくださいって!」

「いや…そいつの切れ味を試しときたいんだよ…」


 ザインは、師匠のを造り替えた方の刀を指差した。


「セイスケ、表出るぞ……あとイナミラ、あのクソの剣持ってこい」


 イナミラと呼ばれた見習いは、カサインの剣を直したものを持ってきた。


 何をするのか不安になりながら表の庭に出ると、ザインはカサインの剣を木箱に置いて、俺に二本の刀を手渡した。


「それぞれでその剣に思いきり振れ」

「は?いや、これカサインの」

「いいから振れ」


 あ、はい。


 カサインに申し訳なさもありながら、俺はザインに急かされてまず造り直しの刀を振る。


 ガギギンッ!!!


 鈍い音が鳴ると、カサインの刀が割れていた。割れ目は粗いが先の方が無くなっている。


 切ったってより粉砕したって感じだ…!感触としてはリーグル達が使ってるみたいなもんなのか…?


 それにしてもすごい…龍紋刀より強いんじゃないのか?


 そんなことを思いながら、龍紋の方でも切ってみた。


 ギンッ


 さっきより鋭い声が鳴ると、カサインの刀は中心部が綺麗に割れていた。


「今まで太いの作ってた分丈夫さじゃ勝ったが、切れ味がどうにもな……総合じゃ五分五分だ」


 五分五分?いや、それなら…


「それじゃやっぱりこっちの刀は…」

「それよりもいいモンを作れたらやるって言ったろ…五分五分なんだから、やるって言ってんだ」


 ザインの顔自体は、雲ひとつない晴天の空とでもいうのが相応しいくらいではあった。


 本人的には、やりきってやったって感じなんだろう。


 となると、貰わない方が後腐れが残ってくるな…


「じゃあ、貰い受ける」

「ああ、そうしてくれ」


 俺はしっかりと二本の刀を受け取った。


 そんな中、俺は一つ疑問を覚えた。


「そういえば、この二本に名前ってあるのか?」


 これが間違いだった。


「センパァイ!!私ドラゴンマスターソードがいいと思う!!」


 まずセラミス


「いえ!!ここは私に命名権を!!スーパーギャラクシアソードなんていかがでしょう!!」


 イナミラまで乗ってきた。お前見習いだろうが…師匠に伺い立てろよな…どうなってんだ。


「アルティメットドラゴンダブルツイン!!」

「ビックバンツインダブル!!」

「ホワイトドラゴンフレア!!」

「それじゃ剣とは呼べないでしょ!!ソード入れましょうよ!」

「えー!?もういいじゃん!!かっこいいでしょ!?」


「うるせえ!!近所迷惑だろうが!!!!!!」


 一番うるさい声でザインが叫んだおかげで二人の口論は止まった。


「…セイスケ、持ち主のお前が決めればいいだろう…つけてやってくれ」


 う、いきなり言われると困るな……うーん。


 まず一つ目は龍の紋様と切れ味が特徴、元先生の刀はシンプルではあるが強度があり、粉砕という目的に使うとすれば随一だ。


 龍と刃……(じん)…神…龍も切れる切れ味…………先生の名前は関谷龍斎…龍斎……龍さえ砕く…龍砕…


「こっちの龍の模様が入ってる奴は龍神斬(かむたち)こっちは龍砕(りゅうさい)…で、どうだろう…」

「……センパイ…」


 うーん、ちょっと安直すぎただろうか、それに意味だってこいつらには…


「なんか…かっこいい…!」

「分かります!なんかかっこいいので、それにするべきです!」

「……どうなってんだ…」


 結局俺の案で決定した。


 


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