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わけあり仮面騎士様の恋愛事情  作者: ぬー
第一章 問題ない関係
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治療への意味

集落を更に進んで行くと、森の入口へと繋がった。


人の気配は薄い。


だが、確かに“残っている”。


「……こっちだ」


ガイが低く言う。


足跡。


踏み荒らされた草。


「複数」


エリオが即座に拾う。


「三、いや四」


「同じ見立てだ」


短いやり取り。


無駄がない。


進む。


距離は近い。


だが——


不快ではない。


(……慣れたか)


エリオはそう結論づける。


その瞬間。


気配。


横。


「——来る」


同時に動く。


一人目。


エリオが受け流す。


ガイが叩き込む。


連携は、既に完成している。


だが。


二人目の刃が、わずかに逸れた。


軌道が変わる。


「——!」


ガイが反応する。


だが、間に合わない。


浅いが——入る。


エリオの腕に、刃がかすめた。


血が滲む。


「おい!!」


ガイが叫ぶ。


「……問題ない」


即座に言う。


動きは止めない。


三人目を落とす。


四人目。


終わる。


静寂。


「おい」


ガイの声が低い。


「今のは」


「浅い」


エリオは答える。


「動きに支障はない」


「そういう問題じゃねえ」


ガイが腕を掴む。


強く。


——近い。


だが。


今回は違う。


(……処置か)


理解する。


「見せろ」


「必要ない」


「ある」


即答だった。


拒否の余地がない。


ガイは布を取り出す。


慣れた手つきで巻く。


無駄がない。


(……的確だな)


エリオはそう評価する。


「力、入れすぎだ」


ガイが言う。


「血が止まりにくい」


「問題はない」


「ある」


手が止まる。


わずかに、強くなる。


「……なんでだ」


低い声。


独り言のように。


「何がだ」


「避けられただろ」


「最短を優先した」


「怪我してたら意味ねえだろ」


「軽傷だ」


「そういう話じゃねえ」


沈黙。


ガイの手が、わずかに止まる。


包帯を巻いたまま。


そのまま、離れない。


「……」


エリオはその手を見る。


近い。


触れている。


(……不快ではない)


そう判断する。


「終わった」


ガイが手を離す。


少しだけ、遅れて。


立ち上がる。


距離が戻る。


はずだった。


「……」


ガイの視線が、残る。


腕に。


触れていた場所に。


(……なんだ、今のは)


胸の奥に、違和感。


「行くぞ」


エリオが言う。


「問題ない」


「……ああ」


ガイは返す。


だが、思考は別にある。


歩き出す。


並ぶ。


距離は、いつも通り。


(違う)


頭の中で否定する。


(さっきのは、ただの処置だ)


そうだ。


怪我をした。


だから触れた。


それだけ。


(……なのに)


視線が、無意識に向く。


エリオへ。


(なんで、残ってる)


触れた感覚が。


(他のやつと同じだろ)


そう言い聞かせる。


だが。


答えは出ない。


エリオが振り向く。


「何だ」


「……いや」


言葉が続かない。


(……面倒なことになったな)


視線を逸らす。


森を抜ける風が、わずかに強く吹いた。


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