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わけあり仮面騎士様の恋愛事情  作者: ぬー
第一章 問題ない関係
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揺れる間合い

検問所を出てしばらく。


街道から外れた先に、小さな集落が見えてきた。


「ここだ」


ガイが短く言う。


「報告のあった不審な動きは、この周辺だ」


「規模は」


「小さい。だが継続して報告が上がってくる」


「なら拠点がある」


エリオは即座に結論を出す。


ガイが横目で見る。


「……早いな」


「情報が揃っている」


それ以上の説明はしない。


集落に入る。


人の気配。


視線。


——やはり近い。


(……慣れないな)


わずかな不快感。


だが、動きに影響はない。


その時。


「——あれ?」


軽い声が割り込んだ。


振り向くと、一人の男が立っていた。


明るい髪色、柔らかい笑み。


軽装だが、動きに無駄がない。


「見ない顔だね。外から?」


ガイがわずかに警戒を強める。


「離れろ」


「えー、冷たいなぁ」


男は笑いながらも、距離を詰めてくる。


——近い。


(……またか)


エリオは一歩も引かない。


「用件は」


「んー、気になっただけ」


視線が、仮面に向く。


「それ、暑くない?」


「問題ない」


「ふーん」


興味深げに覗き込んでくる。


ガイの眉がわずかに寄る。


「……触るな」


低い声。


男が肩をすくめる。


「触ってないって」


だが距離は変わらない。


エリオの間合いの中。


(排除するほどではない)


そう判断する。


その瞬間。


男が手を伸ばした。


仮面へ。


「——」


エリオの手が動く。


手首を掴む。


止める。


——近い。


一瞬で、距離が詰まる。


「これは外せない」


淡々と告げる。


男の動きが止まる。


「……へえ」


視線が変わる。


興味から——別のものへ。


「そういう反応するんだ」


「必要な対応だ」


手を離す。


男はくすっと笑った。


「いいね、君」


軽く一歩下がる。


「名前、聞いても?」


「任務中だ」


「そっか」


あっさり引く。


だが。


「じゃあ、またね」


去り際。


一瞬だけ、視線が絡む。


明らかに——意識されている。


「……なんだ、あいつ」


ガイが低く言う。


「接触を試みただけだ」


「そういう意味じゃねえ」


意味が分からない。


「問題はない」


「……そうかよ」


ガイの声が、少しだけ硬い。


歩き出す。


だが。


ガイの足が、わずかに近い。


さっきよりも。


(……間合いが狭いな)


エリオはそう判断する。


だが、排除はしない。


「さっきの男」


ガイが口を開く。


「知り合いか」


「初対面だ」


「……だろうな」


短い返答。


「なぜだ」


「……なんでもねえ」


会話が切れる。


(非効率だな)


だが、それ以上追及する必要はない。


その時。


気配。


複数。


「——来る」


エリオが呟く。


同時に、ガイの目が鋭くなる。


建物の影。


三人。


武装あり。


「……早速か」


ガイが低く笑う。


「任務対象だ」


エリオは剣に手をかける。


「行くぞ」


同時に動く。


今度は——


割り込まない。


互いの動きを把握している。


呼吸が合う。


敵の一人が踏み込む。


エリオが受け流す。


その隙に、ガイが叩き込む。


沈む。


二人目。


三人目。


無駄がない。


「……」


戦闘が終わる。


静寂。


ガイが息を吐く。


「今のは悪くなかったな」


「効率が良かった」


「……またそれかよ」


わずかに笑う。


初めてだった。


空気が、少しだけ柔らぐ。


だが。


ガイの視線は、ふと別の方向へ向く。


先ほどの男が立っていた場所。


既にいない。


「……」


小さく、舌打ち。


エリオは気づかない。


ただ——


「進む」


それだけを言う。


ガイはその背を見ながら思う。


(……なんでだ)


さっきの距離。


触れられ方。


他のやつと同じはずなのに。


——面白くない。


理由は分からない。


だが確実に、


何かが引っかかっていた。


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