表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わけあり仮面騎士様の恋愛事情  作者: ぬー
第二章 問題が生まれる関係
39/43

王都の影

静寂が、部屋に残る。


カイルが去った後も、空気だけはそのままそこにあった。


エリオは動かない。


立ったまま。


(……未処理)


思考は、整理できていない。


だが——


「……後回し」


小さく呟く。


今、優先すべきものではない。


そう判断する。


仮面を手に取る。


迷いはない。


顔に当て、固定する。


いつも通りの自分へと戻る。


その瞬間——


――コンコン


扉が叩かれる。


間を置かず、開く。


「エリオ!」


ガイ。


息が少し上がっている。


明らかに急いできた様子。


「来い」


短く言う。


説明はない。


だが——


(緊急性が高いのか)


エリオは即座に判断する。


「状況は」


歩きながら問う。


ガイは廊下を進みながら答える。


「王都内で襲撃騒ぎがあった」


短く。


「場所は?」


「貴族街」


一拍。


「王城の外縁だ」


エリオの思考が加速する。


(警備強化区域)


(侵入難易度は高い)


「被害は」


ガイの顔がわずかに歪む。


「……今のところまだ不明だ」


だが。


その声に、何か含みがある。


二人は外へ出る。


すでに兵が動いている。


空気が違う。


張り詰めている。


その中で——


「遅いですよ」


聞き慣れた声。


カイル。


すでに外で待機していた。


いつも通りの表情。


だが——


完全に“任務の顔”だ。


さっきまでの空気は、一切ない。


エリオは一瞬だけ見る。


(自分も切替なければ)


そう判断する。


カイルは軽く視線を向ける。


「状況は共有済みです」


淡々と。


「内部からの可能性が高い」


ガイが舌打ちする。


「内通か」


カイルは頷く。


「もしくは、それに準ずる侵入」


その時——


「……正解」


背後から声が落ちる。


三人が同時に振り向く。


そこにいたのは——レオン。


壁にもたれ、腕を組んでいる。


いつもの軽さはない。


完全に“仕事の顔”。


「侵入経路は不明」


低く言う。


「だが、外からじゃない」


一歩、前に出る。


視線が三人を捉える。


「王都の中にいる」


空気が一気に重くなる。


エリオの思考が回る。


(潜伏型)

(長期潜入)


レオンは続ける。


「狙いはまだ確定してねぇが——」


一拍。


視線が、ほんのわずかにカイルへ向く。


「王族絡みの可能性が高い」


沈黙。


一瞬。


だが、その意味は重い。


カイルの表情は変わらない。


だが——


「……なるほど」


小さく呟く。


理解をしていた。


ガイが前に出る。


「で?」


短く。


「俺らは何すりゃいい」


レオンは口角を上げる。


ほんの少しだけ。


「簡単だ」


指を軽く鳴らす。


「犯人、見つけて潰す」


軽い言い方。


だが——内容は重い。


エリオは前に出る。


「対象の特徴は」


即座に。


レオンは視線を向ける。


「わからねえ」


はっきりと。


「だから——」


一拍。


「全員怪しい」


完全に空気が止まる。


カイルが小さく笑う。


「面白いですね」


だが目は笑っていない。


ガイは肩を鳴らす。


「上等だ」


エリオは静かに息を吐く。


(任務開始)


思考が切り替わる。


だが——


ほんのわずかに。


(王族)

(カイル)


その情報が、奥に残る。


レオンが歩き出す。


「時間ねぇぞ」


振り返らずに言う。


「もう始まってる」


同時に三人は動く。


王都の空気が、明確に変わっていた。


これは——


ただの事件ではない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ