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わけあり仮面騎士様の恋愛事情  作者: ぬー
第二章 問題が生まれる関係
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揺らしにくる男

――カラン


氷がガラスとぶつかる音、とても耳心地の良い音が鳴り響いた。


その音はエリオの揺れた心を落ち着かせる。


一方、周りはガヤガヤと賑わい、この国の兵士達や冒険者達と多くの客が入り交じっている。


だが誰も他の者たちを見向きもせず、各々で楽しんでいた。


だからこそ、エリオは何者にも干渉されない環境に居心地の良さを感じていた。


そして、煙と酒の匂いが充満する中、エリオは一人でカウンターの一番奥の席で酒を飲む。


(人生初の告白を受けた)


ガイの真剣な眼差しには正直驚いた。


だが、その言葉の意味が――今の自分には分からない。


そして、ガイの言葉だけではない。


カイルの存在。レオンの出現。


今日は情報が多すぎた。


「…疲れた」


ポツリ意図せず、口からこぼれ落ちた。


ーーその時。


「何が疲れたんだ?」


隣から低い、軽さのある声で尋ねられる。


エリオは酒に向けていた視線を声の主に向けた。


そこには、自分を悩ます要因の一人。レオンが立っていた。


「よぉ、珍しいな。こんな所で一人とは、あのうるさい保護者はどうした?」


レオンは周りを確認する。


「一人で飲むタイプじゃねぇだろう」


軽く笑う。


そして、当たり前かのように隣の席に座ってきた。


「マスターコイツと同じ物を1つ」


普段からこういう場所にはくるのだろう、こなれている。


「で、どうしたんだ?大人のお兄さんが相談に乗ってやるぞ」


そういえばコイツは俺よりも5つ程上だった気がする。


確かに大人の落ち着きと、数々の経験を重ねているのだろうという雰囲気が彼にはあった。


そして、俺の内側を何も言わずに見透かしてくる。


(……苦手だ)


「今は思考の整理中だ、放っておいてくれ」


「それで酒か、まだまだ青いなぁ」


またもや鼻で笑ってくる。


「で、誰の事を考えてたんだ?」


レオンの肩がエリオの肩にぶつかる。


二人の距離がなくなる。


そしてエリオの顔を覗き込みながら、更に続ける。


「ガイか。王子様か、――それとも俺か」


レオンの左手がグラスを持っていたエリオの右手と重なる。


わざとらしく、重なる指に力が入る。


びくっと、エリオの体が跳ね上がる。


――沈黙。


「慣れてねぇな」


ゆっくりとニヒルな表情を浮かべ、レオンが言う。


「まぁゆっくり考えればいいさ」


エリオの手から指先が離れる、すっと距離を戻す。


「まぁ、まだ悩めばいいさ。でも、最後に俺を選んで欲しいけどな」


エリオは理解出来ない。


だか――確実に何かが今までとは違う。


揺れている。


「お前は何者だ」


昼間からずっと気になってた問をしてみた。


エリオから聞かれるとは思ってなかったと言わんばかりの、驚いた表情のレオン。


「そだなぁ、まぁお前ならいいか、答えとくか。―そうだな、王都の裏で働く者が正解か、この国の為なら、潜入、監視、情報員何でもやる」


そして、レオンはつづける。


「本来なら表に出る事はないし、こういう立場の人間は一つに固執しないんだよ」


エリオはすかざす


「では何故、こんなにも関わってくる」


視線がエリオに向く。


「今回だけは特別だ」


はっきりと告げられた。


「こんな事初めてだ、だからここまで踏み込んでんだよ。だから遊びじゃねえのよ」


低く、さっきまでの軽さはなく真剣な眼差しでそう告げる。


エリオもそれに答えるように、レオンを見返す。


「いいな。そういう顔」


ふっと表情がいつもの軽い顔に戻った。


「でも、今日はここまでだ、大事にしたいからゆっくり攻めてくよ」


立ち上がる。


そして、エリオの酒代も置いてレオンはその場を後にした。


また、エリオ一人の時間。


静寂へと戻った。


エリオは溶けかけた氷を回し、またゆっくりと酒を飲み始めた。


喉に落ちる熱が、今度は明確に強かった。




















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