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賢者マギによってルージュの記憶はノイズがかかる。
世界の西、ギアス大陸。とある村が町へと発展した。
賢者マギはその町を滅ぼした。
わたし、誕生日大好き! だって、わたしの誕生日はこの⬛︎⬛︎⬛︎村の祭の日と同じなんだって! 村のみんながわたしを祝福しているみたいでうれしい!!
「ルージュちゃん、もう少しで成人なんだから無理しちゃダメよ?」
みんな過保護すぎるんだよね。毎日朝夜、お医者さんの⬛︎⬛︎⬛︎先生に健診されてまいっちゃう──でも、みんなが好き。
本当にみんな好きだよ? お肉屋さんの⬛︎⬛︎⬛︎さんでしょ? 幼馴染の⬛︎⬛︎⬛︎。おとなりの⬛︎⬛︎⬛︎さん……他にもいーっぱい、好きだったんだよ?
神父さんが言ってた。
「ルージュさんが困ったとき、私はできるだけのことをして助けてあげるから……生きるのを諦めてはいけません」
生きるのを諦めたくなかったよ? あの時がくるまでは……
◇
明日でわたしの11才の誕生日!
みんなでお祭りの準備をしている。わたしもお手伝い。
「ルージュ? 明日も⬛︎⬛︎⬛︎先生のところに行くのよ?」
「えー? お祭りの日くらい、健診なくてもいいじゃーん」
「ダメだ!!」
お父さんとお母さんは健診を行くのを拒むとすごく怒る。
「ちゃんと健康でいて欲しいし、最高の状態で誕生日を迎えて欲しいのよ」
「うーん……わかったぁ……」
「明日の朝イチで⬛︎⬛︎⬛︎先生のとこに行くんだよ」
「わかった!! おやすみ!!!」
自分の部屋に戻る。誕生日が目と鼻の先なのに最悪な気分になっちゃった。
「でも、わたしも11才かぁ……」
もう少しで大人の仲間入り。外の世界を知る頃合いだ。
「冒険したいけど、お父さんとお母さんは……ふぁ、許さないんだろうなぁ……」
そんなことを考えながら寝てしまった。
目が覚めたが、いつもの祭の音楽が聞こえなくて不思議に思った。
「お父さん、お母さん……?」
台所に行っても誰もいない。
「うーん…………朝イチに先生のところに行けって言ってたな……行くかな」
そう思い、わたしは外へ出た。
本当に静かな村だった。
まるでわたししか居ないかのような雰囲気だった。
(もしかして、盛大にサプライズする気なのかも?)
高まる胸を抑えながら、わたしは⬛︎⬛︎⬛︎先生の所へ行った。
「おはようございます!」
わたしは⬛︎⬛︎⬛︎先生の家へと入る。
「おっ……おはよう、ルージュちゃん」
先生は拍子抜けしていた。
「あれ……? お父さんとお母さんは?」
「朝イチで行ってきなさいって言われて来ました」
「そうか……(あの他責野郎、最後の最後までクズだったな……)」
「何か言いました?」
「いや、何にも。じゃあ先に薬飲もうか」
「え〜。その薬、眠くなるからきらーい」
「あはは。我慢して飲んでね」
わたしは薬を飲んで、深い眠りへと誘われた。
遠くの方から話し声が聞こえる。
「⬛︎⬛︎⬛︎先生! 本当に高く売れましたよ!! これで村が発展できる!」
「だから言ったでしょ? 魔力を含んだ物は高値で取引されるって。たかがガキのしょんべんや一滴の血だけでも売れるんですよ」
「さすがじゃ。次の村長はおぬしで間違いないな」
「村長じゃありませんよー……町長ですって!わっはっはっは」
(先生が、笑ってる?)
体を動かそうにも──
ガチャり。
鈍い金属音がなり、体は動かせそうにもない。
意識が戻りそうになると……
(!!?)
口の中が血でいっぱいで咳き込む。
舌を恐る恐る動かすと、歯がところどころ抜かれている。今まで抜けたこと無かったのに!!
「起きたみたいだな」
「なーに、また眠らせればいいのさ。回復は神父様の役目だしな」
「抜いた歯を削って肉に振りかければ、魔力効果のある食い物として高値で売れる。⬛︎⬛︎⬛︎先生のアイデアは素晴らしいですなぁ!」
「しかし、あの夫妻は残念でしたなあ?」
「最後の最後に逃げようとしたからな。殺されて当然でしょ」
(っ!? お父さんとお母さんが殺された……?)
「まぁ、逃げる前に金をせびってくるあたり、どうしようもない親ですな。魔法使いの子を盗んでおいといて」
「それだけがあやつらの取り柄でしたな。わっはっは」
(わたしは魔法使いの子ども……?)
「さーて皆さん。商売の話はやめて、楽しく飲もうじゃないか! 我々の発展と勝利の宴を!!」
外から楽しそうに飲食する音が聞こえた。
「だれ……か…………たす、け……て…………」
わたしの声が届くまで3年かかった。
◇
「マギ様」
「どうした?」
「とある町の黒い噂をお聞きになりましたか?」
「何事だ?」
「魔法使いの体液、又は皮膚を使用した物を流通させていると……」
「どこの町だ。直ぐに向かう」
この町はみな裕福だった。
「うわあぁぁぁぁぁ!!!!」
「【人体破壊】」
たった1人の少女を犠牲にして築いた富だった。
「た、助けてくれぇ〜」
誰もが助けを呼んだ。
「【自害せよ】」
少女の身体はやつれ、渇き、傷だらけだった。
「何も悪いことしてないのに、子どもまで殺すのか!!」
「【爆ぜろ】」
少女の傍には神父が祈っていた。
「パパ〜、ママ〜……」
神父は言った。
「旅のお方よ、我々は罪を犯した。私はこの娘を連れて逃げることができなかった。この娘になんとか生きる希望を無くさないように生きながらえてしまった。どうか私に罰を」
「この町を滅ぼした。お前は2度と聖職者として名を語るな。そしてこの場から消えろ」
神父は血塗れの俺から逃げるように居なくなった。
眼に光がない。今にもこと消えそうだ。
「キミの名前はなんと言うんだい?」
「…………るー……じゅ………………」
「ルージュちゃんか……いい名前だね」
俺は魔法使いの島へと飛んだ。
「んで? この娘をどうしたいの?」
「リリス、この娘をキミの家族に入れてはくれないか?」
「あら? どうしてそんなことを?」
「頼む」
「ふふふふ。結局、あなたは何ひとつ変わらないのね」
「……」




