ぷりん
きらきら。
それは、つめたい光だった。
うんぱは、冷蔵庫の前で止まった。
「……ある」
中にある。
見える。
黄色くて、つやつやしている。
「ぷりん」
ごくり。
となりのうんぱも、同じように見上げる。
「ぷりん」
「ぷりん、たべる」
三匹のうんぱは、しばらくじっと見ていた。
開いている。
少しだけ。
人がちゃんと閉めなかったのか、ほんのすきまがある。
「……いける」
「うんぱ、とる」
「うんぱ達、さいきょう」
てちてちてち。
近づく。
すきまから、ひんやりした空気が出てくる。
「さむい……」
「でも、いく」
一匹が、すきまに手をかける。
ぐい。
押す。
びくともしない。
「……かたい」
「つよい」
「ぷりん、まもってる」
三匹は考える。
しばらく、じっとする。
そして、一匹が言った。
「ひっぱる」
反対側に回る。
すきまに指をひっかけて――
ぐい、ぐい。
「うんぱ、がんばる」
「うんぱ達、がんばる」
三匹で引っ張る。
ぐい。
ぐい。
――きぃ。
ほんの少しだけ、開いた。
「……あいた」
「いける」
「いく」
すきまを押し広げて、中へ入る。
⸻
中は、さむかった。
「さむい……」
「つめたい……」
「でも、ぷりんある」
奥のほう。
棚の上に、ぷりんがある。
透明なカップに入っている。
つやつや。
ぷるぷる。
「……ほしい」
うんぱは手を伸ばす。
届かない。
「……たかい」
「むり」
「でも、とる」
あきらめない。
うんぱは周りを見る。
そこには、小さなものがいくつかあった。
調味料のキャップ。
小さなふた。
空の容器。
「……つかう」
ひとつ持つ。
てちてち運ぶ。
ぷりんの下に置く。
「もうひとつ」
また運ぶ。
ぽん。
重ねる。
「のる」
そっと、上に乗る。
ぐら。
「……こわい」
「だいじょうぶ」
さらにもう一つ。
てちてち。
ぽん。
三段になる。
「いける」
うんぱは、よじのぼる。
てち、てち。
てち。
上に立つ。
「……たかい」
でも、手を伸ばせば――
ぷりんがある。
「とる」
指先が触れる。
つるっ。
「……すべる」
もう一回。
ぎゅ。
カップをつかむ。
「もった」
その瞬間。
ぐらっ。
「……あ」
どさっ。
全部崩れた。
「いたい……」
うんぱは床に落ちた。
ぷりんは――
まだ上にある。
「……とれない」
「むり……」
一瞬、しょんぼりする。
でも。
「もういっかい」
「うんぱ、やる」
「うんぱ達、やる」
また集める。
てちてちてち。
運ぶ。
積む。
今度は、三匹でやる。
一匹が土台を押さえる。
一匹が登る。
一匹が支える。
「いける」
「いける」
てち。
てち。
てち。
さっきより高い。
でも、安定している。
「……とどく」
うんぱは、手を伸ばす。
ぷりんに触れる。
ぎゅ。
「……もった」
しっかりつかんだ。
「とった」
「とった!」
「うんぱ、さいきょう!」
そのまま、ゆっくり降りる。
てち。
てち。
てち。
床に着く。
ぷりんを抱える。
「……たべる」
三匹は顔を見合わせる。
うなずく。
⸻
ぺり。
ふたを開ける。
あまいにおいが広がる。
「いいにおい……」
「しあわせ」
うんぱは、指でちょんとすくう。
ぺろ。
「……おいしい」
「おいしい!」
「すごい!」
三匹で食べる。
ぺろぺろ。
ぺろぺろ。
夢中になる。
そのとき。
つるっ。
「……あ」
ぷりんが手からすべった。
ぽとん。
べちゃ。
床に落ちた。
「……」
「……」
「……」
しばらく、止まる。
「……だいじょうぶ」
うんぱは言った。
そっと近づく。
ぺろ。
「……おいしい」
「おいしい」
「おいしい」
三匹は、そのまま床のぷりんを食べた。
ちょっと冷たくて、ちょっとぐちゃぐちゃだけど、
とてもおいしかった。
⸻
食べ終わると、三匹はぺたんと座った。
「……まんぞく」
「いいね」
「うんぱ、さいきょう」
口のまわりは、ぷりんだらけ。
でも気にしない。
そのまま、てちてちと外へ出る。
少しさむかったけど、気にならない。
⸻
あとで。
三匹は、こたつの中にいた。
ぬくぬく。
「……いい」
「すき」
目がとろんとする。
「また……ぷりん……」
「とる……」
「たべる……」
すやすや。
眠る。
夢の中で、うんぱはきっと――
もっと大きなぷりんを、ひとりで持っている。




