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20 掘り出し物


掘り出し物を出してくるのは、あとから割に合わない品だったと

クレームをいれさせないための対処となっている。

とくにそれらを貴族が好むのは事実で、他の客もその商法に文句が出せない。


だが貴族が嫌だといえば、店は従うしかないのも事実だ。


「掘り出し物ですよ? 先々の修行にそなえて、ね!

 めったに出回らない品ですから貴族様に重宝されております、ハイ」


貴族様にと念を押す。

貴族らしくしろと言わんばかりだ。

僕の扱いはまるで一般客と変わらないみたいだ。

他にだれも来店していないのをいいことに僕と駆け引きをしてやがる。


あんたの口車に乗るわけではないが。


指で、それとそれを併せて銀貨45枚なのかと再確認した。

店主は「ぼっちゃんは運がいい、お買い得ですよ!」と笑顔で絶賛した。


運がいい?

本気でいっているのか。



「運が良いですか?」


苦笑いにも見える。

店主の額に汗が滲みだす。


「ではそれにします」



僕はそういうと脇に控えているルディの顔を見た。

ルディも「うん!」と笑顔でうなずき、ガッツポーズ。



「へいっ! お目が高いですね。まいどありぃ!」



店主は逃げる様にレジカウンターへいく。

すぐに包みだした。

僕の気が変わらぬうちに精算を急ぎたいのだな。

僕は店主に届くように声を張る。



「あー、それとうちの兄さまのメイドが福引券を楽しみにしているようで、

 多めにもらえると、アッシュルーズ家が喜びます。よろしくたのむよ!」



こちらを向いて、愛嬌まじりで答える店主。

なんといっても店主のお気に入りの御貴族様だからな。



「おお、それは、もちろんでございます! たっぷりとおまけ致します」



これは魔法がからっきしの僕に、

ぼったくりもいいところだ。

今までこんなことが身に起きていても、気づくこともなかった。


もう、クズのラルクじゃないけど。

アッシュルーズ家の名をチラつかせて、こちらも悪あがきをさせてもらう。

後ろには魔法指南役もいる。

店主は福引券を10枚上乗せして渡してくれた。

銀貨10枚分だ。


これまでのこっちの迷惑料も込みで、

お前の本日のぼったくりは目をつむってやる。


こちらにもそれなりの理由がある。


今は騒動を起こせない身である。

それと鑑定能力のことは無暗に明かせない。

僕が無能でなければ兄たちの監視がより厳しくなっていく。


製造元は街の工房だし、本来なら工房に問い合わせて咎めるのが筋だが。

ルディに見てもらっていたら、間違いなくややこしくなっていた。

今日はその追及をしない。


それに今回は「福引券」が目的でもあるからな。

ぼったくりを敢えて見逃して、礼を弾ませるほうが得。


1000ゴールドの買い物で福引券1枚がもらえる。

代金の銀貨45枚分の福引券45枚と上乗せ分10枚で。

福引券を合計55枚入手した。


おまけの掘り出し物もついでに袋包みに入れてくれた。

これは魔除けのようだが。

今はどうでもいいので無限の鞄に突っ込んでおく。

そうして無事に武器屋を後にした。


店が包んでくれた袋からモノだけを取り出した。

それを無限の鞄に入れ直すと鞄から朝のパンケーキを取り出す。

その袋へ詰めてやり、ルディに手渡す。



「ルディ。約束のモノだ」

「わあ、ありがとうございます!」


「この件はマチルダには、ずっとナイショだぞ」

「えっと……打ち明けなくても大丈夫なのですか?」


「確かにマチルダは味方だといってくれた。

 でも彼女は見張られているから僕らも用心をしておくんだ」



なにせ勝手に雇われのルールを変えたのだから。

ルディにはしっかりと説明が必要だ。


僕はマチルダに敢えて尋ねたんだ。

ほかの指南役でもいいのではと。


しかし彼女は、ルディを推した。

他の者は敵対者になる可能性を指摘してまで。


仮にマチルダに、僕とルディの密談を聞かれているなら、

それもあの場で軽く注意をするはず。

真実に味方ならば、

その上で親父が決めた処遇には従えというのが筋。


それがないということは、そこまでは知らないのだ。


「知らないのなら話す必要はないよ。

 話してもルディの食事は変えてもらえそうにないからな」


「そ、そうですね。『はしたない』は聞き飽きましたからね」

「ははは! ルディもいうね」



生まれて初めてかと思うぐらいの緩やかな日常だ。

ルディと軽快に談笑をしながら歩く。

僕にとってはこっちのほうが掘り出し物に思えてくる。


次はとなりの防具店を訪ねる。


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