第11話
数日後。
私は早速教会に来ていた。
両親が慈善事業の打ち合わせに行くという話に便乗した形だ。
ちなみに、今回はエリナもいるよ!
教会の孤児院の子どもたちと交流させるんだって。
教会につくと、属性判定のときの神官に出迎えられた。
「この度はありがとうございます。アルヴェイン侯爵夫妻はこちらへ、ご息女はこちらの者たちがご案内します。」
神官の後ろに立っていた2人の女性が歩み出て「よろしくお願いします。」と、頭を下げた。
「それじゃあ、いい子にしているんだよ。」
「また、迎えに行きますからね。」
両親はそう言うと、わたしたちの頭を撫でてから神官についていった。
「それでは、セレナ様、ご案内いたします。」
私がついていこうとすると、スカートが引かれる感じがした。
振り向くと、エリナが不安そうに私のスカートを掴んでいた。
か、かわいいぃぃぃ!
こほん、と、そうじゃなくて。
私が行くのは書庫室。
エリナが行ってもつまらないだろうから説得しなきゃね。
私はかがんでうつむき気味のエリナの顔を覗き込んだ。
「エリナ、私はちょっとお勉強してくるから、孤児院のお友達といっぱい遊んでおいで。」
それでも、首を縦に振らないエリナ。
私は言葉を続けた。
「新しいお友達がいっぱいできるかもしれないよ?それに、用事が済んだら、お姉様もそっちに行くから、ね?」
その言葉にエリナの顔がパァッと輝く。
「うん!」と元気よく返事をして女性についていった。
やっぱりかわいい!
そんなことを考えながらもしっかりと女性の後ろについていく。
数分歩き続け、ようやく女性が立ち止まった。
・・・教会って案外広いんだねぇ。
「こちらが書庫になります。借りたい本があれば、私に申し付けください。それでは、私はあちらで待機しております。」
女性が談笑している人たちの輪に入ったのを見届けてから、私は書庫の扉を開いた。
その瞬間ーー古い紙の匂いが漂う。
そう、図書館とかのアレだ。
一歩中に踏み入ると、思わず感嘆のため息がこぼれた。
すごいすごい!
こんなにいっぱい本があるなんて!
書庫には数十の本棚が並び、様々な色の背表紙をのぞかせる。
よし!
魔法の本、探そ!
私はここに来た目的の本を探して本の海に飛び込んでいった。
――30分後、私は見たことのない本の数々を抱え、ご満悦、といった表情だった。
今は書庫の中を当てもなく歩き回っている状態。
・・・迷子じゃないよ?
他にもいい本がないか見てるだけ!
そんなこんなで、ちょっと疲れたな、と思い始めた頃。
私はテーブルと椅子がある区画を発見した。
やったぁ!
座れる!
休憩したい、その一心で足早に向かう。
すると、ちょうど本棚で死角になっていたところに誰かが座っていたのだ。
黒髪の男の子ーー彼がこちらに背を向けて座り、本をめくっている。
私は邪魔をしないようにそっと男の子の横を通ろうとした。
その時、男の子の読んでいる本が、それを見つめる彼の表情が目に入ってしまったのだ。
女神の絵を集めた画集。
それだけなら、なんの問題もない。
女神の絵を眺める子供は少なくないからだ。
しかし男の子は、「祈る」という目ではなく、どこか面白そうに、何かを探すように見つめる赤い瞳をしていたのだ。
君も、かわいいぃぃぃ!




