vsタテ(2/3)
何でこう皆、マイク入れたまま戦うんだよ。
いきなりこんな悲鳴を聞かされるこっちの身にもなれよ。
いや、それは逆恨みか。
何せこっちには相手のボイスボリュームを0にしとくって選択肢もあるわけだしな。
俺はできる限り冷静に、完成した美しいプラズマ弾を敵機に打ち込んだ。
敵機の盾にプラズマ弾がぶつかるとバチバチと火花が散る。
ズズズ、と敵機は数メートル押されたものの、まだその機体は形を保っていた。
「マジかよ……。すげぇ盾だな……」
呟く俺に返事がくる。
「でしょう? アタシの最高傑作……だったんだけど、今の攻撃で潰れちゃったわねぇ」
げ、俺もマイクオンだったのか!
デフォルトでオンになってるの、ホントやめてくれよな!!
俺は右のパネルに手を伸ばしかける、が、敵機のミサイルが絶妙なタイミングで弾を撃ち続けてて、手を離す余裕がない。
今更オフにするのも失礼か? このままいくしかないか。
「ねぇ、この紫のって毒なのぉ? 毒武器ってポイズンランチャーだけじゃないのぉ?」
「毒だよ。10秒毎に5%ずつ減るぞ」
「ぇええっ、強力すぎなぁい? アタシ解毒キット持ってないんだけどぉ」
「次は持ってきた方がいいな」
俺の左肩では、プラズマキャノンが次のプラズマ弾を生成を始めている。
「そうねぇ、そうするわぁ」
返事をした敵機が、盾の残骸をこちらへ投げ付ける。
「っ!?」
咄嗟にジャンプで避ける。
相手の両手には、それぞれマシンガンが握られていた。
「最後まで諦めないわよぅ!」
「いい心がけだ!」
マシンガンの弾を横っ跳びに避けつつ、ミサイルをレーザーで撃ち落とす。
相手は両肩のミサイルをピッタリ交互に撃ってくる。
それをフォトンレーザーだけで撃ち落とすのは、いくら威力を下げてるとはいえリロード短縮ステッカーがなけりゃ無理だったな。
「んもう、そのレーザーリロード早すぎなぁい?」
「ハハッ、いーだろ?」
言って、俺はプラズマ弾を放つ。
これで終わってくれるか!?
相手はどうみても重装備だ。
素早く避ける可能性は少ないが……。
バチバチッバチチッ!
ドォン!!!
派手な音を立てて、俺のプラズマ弾は相手の遥か後ろに着弾した。
弾が……滑った……?
爆風と吹雪で真っ白になった視界の中、相手の位置をレーダーで確認しながら俺は距離をとる。
「ジャジャーン! アタシのとっておき対レーザー盾よぉ♪」
巨大なエネルギー盾を構えた敵機は無傷だった。
「は……!? 無傷!?」
「うふふ、嬉しい反応してくれるわねぇ」
こっちは全然嬉しかないが!?
くそっ!
足場が見えないほどの雪の中を、俺たちは弾の応酬を繰り返しながらジリジリと移動する。
相手はHPの高いセッティングに盾を装備していた。
毒で多少削れてるとしても、まだHPはおそらく半分はあるだろう。
吹雪はますます強くなっている。
……あと少しだ……っ!
足元でピシッと氷の音がする。
俺は大きく後ろに跳んだ。
ミサイルの直撃だけは避ける!
マシンガンには多少撃たれる覚悟だ!
着地と同時に、今度は出来る限り高く跳ぶ。
カニバサミとショットガンをスタン弾に変えて、ありったけぶち込む!!
なるべく痺れててくれよ!!
「きゃあっ、今度はスタン!?」
対レーザー盾じゃエネルギー攻撃は防げても、物理は防げねーだろ!
既に発射されていた追尾ミサイルが追ってくるのをレーザーで撃ち落としたら、素早くフォトンブラスターの照射範囲を狭く高威力に調整して、慎重に放つ。
その間もカニバサミとショットガンではスタン弾の連射を続ける。
ピシィ。っと大きく鋭い音がした。
そこへ俺の機体がドシン! と勢いよく着地する。
衝撃にぐらりと傾く氷から、俺はすぐに跳び離れた。
「え? え???」
ドバシャアン!!
大きな水音と共に、敵機が池の中へと沈む。
「ええええっ!? なにこれ? どぉゆぅことなのぉ!?」
「オッサンも中々いい反応してくれんじゃねーか。準備した甲斐があったぜ」
「オッサンはやめてちょうだい! オネエさんって呼んで!」
……なるほど? よく分からんが、オネエ的には譲れないとこなんだな?
「そりゃ悪かったよ、オネエさん」
「あら、素直な子なのねぇ」
特に素直なつもりはないが、別にひねくれてやろうという歳でもないだけだ。
「このステージって下が水だったのぉ?」
「いや、他は土だが、ここいらだけ池の上なんだよ」
「そうだったのねぇ」
そんなこと言ってる間に、オネエはしっかり水中装備に切り替えたらしく、レーダーを見る限り、あんだけ重そうな装備にも関わらずスイスイと水面に近づいてきた。
タイミングを逃すなよ。
今度はモグラ叩きじゃねーぞ。
潰すつもりで行くからな。
カニバサミに持たせたプラズマキャノンには、最大サイズのプラズマ弾を生成してある。
バフも攻撃力に10%が出るまでかけ直してある。
フォトンブラスターの照射ボタンは既に半押しだ。
あと少しで水面というところで、オネエは減速した。
チャプっと慎重に水上へ姿を現したのは、オネエ自慢のレーザー盾だった。




