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超楽しみにしてたロボゲーが、地球に戻る前にサ終したので、過去に戻ってやり直す!  作者: 弓屋 晶都


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オールキル

 俺は、甲板から移動可能な範囲の中で一番高い場所、ブリッジの上に飛び乗った。



 ディスプレイに『接敵』の警告が出る。



 俺は2人と自分にポンポンでバフをかけると、カニバサミにプラズマキャノンを装備した。


「それってプラズマ砲っスか!?」


「ピックアップのURプラズマキャノンですね!」


 完全覚醒のな、と胸中で付け足した俺は、笑って答える。


「ま。見てのお楽しみだ」



 まずは右肩の可愛いフォトンブラスターを構えて、範囲を調整する。

 銀の翼を持つ怪鳥シルビルの後ろから、それぞれの強化素材に合わせた属性カラーの怪鳥達が群れを成してやってくる。


 こんなもんかな。


 よく狙って照射スイッチを入れれば、調整されたフォトンブラスターから放たれた光の網は、怪鳥たちを1機残らず包み込んだ。


「これはまた……」

「センパイすげーっス! パネエっス!!」


 ググッと操縦桿を引いて網を引き寄せると、網の中で暴れる獲物達がステージ中央に集められる。

 俺の左肩のURプラズマキャノンに、青白く輝く特大のプラズマ弾が生成完了する。


 発射!!


 ドン!! と力強い反動を残して、特大のプラズマ弾が流星のように美しく輝いて飛ぶ。


 俺は素早くフォトンブラスターの照射スイッチを離す。

 俺と網を繋ぐ光は途切れるが、まだ網自体は残っているところへプラズマ弾が着弾する。


 青白いプラズマは網に触れた途端、網目に沿ってバチバチと放電しながら、その内部を全て焼き尽くした。



 よし、うまくいった!



 網の内で幾重にも重なる撃破音と爆散エフェクト。


「うひゃー! 一網打尽っス!! センパイ超すげーっス!!」

 どデカい花火に大はしゃぎのゼン。


「本当に、凄いです……。クマさんは、いつも僕の予想の斜め上をいくんですから……」

 アサギは呆気に取られた様子で苦笑する。



 2人の反応も上々だ。思わず口端に笑みが浮かぶ。


「さあ、次が来るぞ!」


 俺は空を見渡して、可愛いフォトンブラスターの範囲を調整する。

 もちろん、美しいプラズマキャノンで次の弾の準備も忘れない。


 次を倒したら、一回バフ掛け直しだな。



 うん、このペースなら十分いけそうだ。


 俺はアサギに「アイテムの取得設定を公平分配にしてくれるか」と声をかける。

 普段はデフォルトの設定である戦績に応じたアイテム分配を使っているが、今回のやり方では俺が根こそぎ色石をいただくことになりかねないからな。


 次の敵影が近づく。


「設定しました!」とアサギが叫ぶ。


 俺は、空に向かってフォトンブラスターを放って言う。


「今日は一機も残さず倒すぞ!」

「ういっス!」

「はい!」


 奥から大きな鳥の複合体のような敵……艦狙いの奴も姿を現す。

 アサギが俺の邪魔にならないよう甲板の前へ出ると、気づいたゼンもそれに続く。


 戦場で、安心して任せられる相手がいるってのは心強いな。


「2人とも、頼りにしてるぞ」


「頑張るっス!」

「こちらは任せてください。クマさんもオールキル期待していますよ」


 期待ときたか。

 これは一機も逃すわけにいかないな。



 俺はフォトンブラスターの照射スイッチを離して、中央に寄せた敵群に向けてプラズマキャノンを発射する。

 カニバサミにポンポンを装備して、2人と自分にバフだ。


 ああ、前に出てくれたおかげでバフもかけやすいな。

 さすがアサギだ。


 ゼンとアサギも射撃を始める。

 重なる2人の銃声が小気味良い。




 俺達は、一機も倒し残す事なく、ゴールである空中都市へと着艦した。



「2人ともお疲れさん。よく頑張ったな」


「やったーーっっ! オールキル達成っス!!」

「やりましたね! クマさん!」


 ガシャガシャとはしゃぐ2機の動きが不意に止まる。

 今頃、ステージクリア画面を待っていた2人の前にも、俺と同じウィンドウが現れているはずだ。



[空を舞う怪鳥達を全て退治しました。空の迷宮ステージに入りますか?]

[はい][いいえ]



「これは……」

 アサギが息を呑む。


「ここも迷宮に繋がってるんスか!」


「まあでも、まだ今の俺達じゃ難しいだろうし、今日はそこまで時間もないだろ」


「ええー……せっかく見つけたのに、行かないんスか?」

「迷宮ということは……数時間はかかるでしょうからね……」


 「だろうな」と答えたものの、ここは早けりゃ1時間もかからない。


 何せ高速回転寿司ステージだからな。

 迷宮ステージの中ではダントツ短時間でクリアできるステージではある。


 まあ……クリアできるだけの腕があれば、だけどな。

 この3機で行ったところで、俺に2人を守り切る余裕はない。


「残念ではありますが、出し方は分かったんですから、また土日に……。あ。土日はダメなんでした」


「土日は何かあるんスか?」


 アサギがポロッとこぼした私生活を、ゼンが躊躇なく拾う。

 ……俺には絶対できないな……。



「土日に、僕の大学の学園祭があるんです」


「へえー、いいっスねー!」

「僕、実行委員なんですよね……」

「ええっ、それは忙しそうっスね!?」


 なるほど、それで昨日今日はなかなかログインできなかったのか。


「もう本番が明々後日なので、明日と明後日はほとんどログインできないかもしれません……」


「まあ、PvPは19日までだから、学園祭の後3日はあるしな」

「はい! それを楽しみに頑張りますっ!」


 いや、楽しみは学園祭自体じゃないのか?


「学園祭終わったら、3人で空の迷宮ステージにも行くっス!」

「そうですね、それも楽しみですっ」



 ここでアサギが[いいえ]を押したんだろう。

 一時停止していた画面はステージクリア画面となり、リザルト画面へと続く。


 お。結構たくさん稼げたな。


「わぁーっ、いっぱいもらえたっス! 先輩のおかげっス!」

「全部倒すとこれだけ稼げるなら、やっぱりここが一番時間効率がいいですね」


 まあ、俺はその分結構な量の燃料を消費したわけだが、そこは仕方ないか、俺が言い出した事だしな。


「アサギが忙しいなら、今日はここまでにしとくか?」


 俺の言葉にアサギが反論する。


「いいえっ、忙しいからこそ、今しっかり遊びたいんです!」

「あははっ、その気持ち分かるっス!」


 ゼンがケラケラ笑って同意する。

 まあ、そこは俺もわからなくはないが……。


「あと2回、お願いできますか?」

「空中戦ステージをか?」


「オレもまだまだ色石欲しいんで大賛成っス!」

「じゃあ行くか」

「僕が招待送りますね」


「あと2回もオールキルっスね!」

「もちろんです!」


 2人の楽しそうなやり取りに俺は苦笑する。

 とりあえず燃料タンクをあと2つ積んで行く必要がありそうだ。


 さいわいなことに、今の俺にはゲーム内資金だけはたっぷりあるからな。

 金のない学生と時間のない後輩に、たらふく強化素材をご馳走してやるか。

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