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超楽しみにしてたロボゲーが、地球に戻る前にサ終したので、過去に戻ってやり直す!  作者: 弓屋 晶都


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30/32

vsアサギ

 雪原か……。


 逆関節機には不利なステージだが、アサギは俺と同じ逆関節機、条件は同じだ。


 それならまだステージをよく知る俺の方が多少は有利か。

 俺はバフをかけつつ、素早く接地パーツをスパイクパーツへ換装する。


 雪はまだ降ってないな。視界が塞がれる前に池のない方向へ……。


 ――……いや待てよ、まだアサギはゴールドに上がったばっかだって言ってたよな?

 もしかして、このステージに入るのは初めてなんじゃないか?


「クマさん、早速対戦できて光栄です」


 マイクオンか。……仕方ない。こっちも入れるか。

 俺は右側のパネルからマイクのミュートを外す。


「アサギ、お手柔らかに頼むな。雪原ステージは初めてか?」


「クマさんを相手に手加減なんかしたら、僕がやられてしまいますよ」


 クスクスと笑う余裕はあるようだが、俺の質問に返事はない。

 ゼンならうっかり答えるとこなのに、さすがアサギと言うところか。


 だが、初見の可能性は高そうだ。


 まだレーダーでも目視でも確認はできないが、あいつの機体の色は知っている。

 名前通りの浅葱色……、爽やかな青緑色だ。


 俺は周囲への警戒を続けながら、池の方向へ向かった。

 雪に足が沈んで、思ったよりも速度が出ないな。


 バフは移動力に5%か、リロードが終わり次第かけ直す。

 今度は7%か。相変わらず運はイマイチだな。


 パキ、と地面が音を立てる。


 そろそろ氷上ゾーンだ。


 俺は速度を落として慎重に移動する。

 一度でも俺が滑ってしまえば、アサギに勘付かれる。


 ピピッと熱源反応音が鳴る。


 背後!?


 回り込んできたか!



 急旋回に弱い逆関節機の一番嫌な方向から来るってのが、アサギらしい。


 それでこそ、レーザー砲を逆向きにつけてた甲斐があるってもんだ。


 俺は背後に向かってレーザーを低く広く放つ。


「ぅわ!?」

 アサギが跳んで避ける。


 その隙に俺は慎重に方向転換する。

 一緒に可愛いレーザー砲の向きも転換する。


 よし、アサギ機の足元はノーマルパーツだ。雪用装備じゃない。


「相変わらずクマさんは僕の予想の斜め上をいきますねっ」


 アサギ機からライフル弾が飛来する。避けるのは無理か!


 俺は左腕の盾パーツで弾を受けると、アサギの着地寸前にもう一度低く広くレーザーを放った。

 レーザーは地面を撫でるように焼き払う。

 現れたのは土ではなく、レーザーに溶かされてツルッツルに磨かれた一面の氷だった。


 レーザーを少しでも避けようと、再度飛び上がろうとしたアサギ機が氷に足を取られ派手に転倒する。


「うわぁっ!?」

 オート姿勢制御が入っていれば、姿勢を崩しても転倒まではしないんだが、お前がそれをオフにしてるのは知ってるからな。


 俺は思い切り高く飛ぶ。


 上昇する間にレーザーの範囲を調節して、盾をマシンガンに持ち替えて撃つ。


 マシンガンの弾の雨で隠すようにして、俺は細く長いレーザーでアサギの周りの氷ををぐるりと焼き切った。

 ついでに左肩のカニバサミで刺胞弾も入れておくか。


「くっ」


 やっと姿勢を立て直したアサギが防御姿勢をとりつつ毒を素早く消す。


 毒消しが早いな。


 俺のマシンガンじゃアサギに大したダメージは入らない。


 カニバサミをスタン弾に変えるか?

 いや、バフが切れる方が早いか。


 ドンッ!!!


 と、俺が着地した振動でアサギの乗っていた氷が完全に陸地から外れた。


 池に浮かんだ板氷は、アサギの乗っている側にゆっくりと傾く。

「え!? な、何がッ!?」


 慌てるアサギ機に、俺は追加で毒を撒く。


 バシャン!!


 大きな水音と共に、丸い板氷がひっくり返った。


 俺はこの隙にバフをかけ直す。



 アサギは間一髪で傾いた氷から跳び離れていた。



 何だよ、落ちないのかよ。

 寒中水泳してこいよ。


「おーおー、斜めジャンプがしっかり身についてんじゃねーか」

「ええ、おかげさまで、とても重宝していますよ」


 返事こそ余裕だが、アサギ機にそこまで余裕は無いよな?


 俺はマシンガンを撃ち込みつつ、レーザーで追い討ちをかける。


 アサギもライフルと散弾で応戦してくるが、アサギのエイムはジャンプの度に揺れている。滑る足場に苦戦してるな。


 毒も回復される度に繰り返し撃ち込む。


 何せポンポンの刺胞弾はローコストだからな、連射はできないが弾はいくらでも撃てる。1撃のダメージは大したことないが、その都度回復作業をする相手は、その分どうしても動きが鈍る。


 アサギは、俺の近くで散々毒ダメージで死ぬ敵を見てきたからな。

 そう気軽には毒状態を放置できないだろう。


「っ、しつこいですよっ!?」


 ま、俺も流石にこんな地道な攻防を最後まで続けるつもりはない。

 そろそろ仕上げといこうか。


 盾を構えて大きく飛び上がった俺を、好機とばかりにアサギが狙い撃つ。

 上から見るとハッキリ分かるな。

 アサギ機の周りの氷がどれだけ砕けているのかが。


 俺はありったけの全装備を空から叩き込んだ。


「どこを狙って……っ、まさか!?」


 さすがアサギ、理解が早いな。


 崩れる足場から慌てて飛び上がったアサギ機に、カニバサミの放った投石がメシャッと決まった。

 アサギ機は石に押し込まれて水中に沈む。


 ドボンッという音に続いて、勢いよく水柱が上がり、飛沫が舞う。


 俺は平たい半球状の盾を片足に引っ掛けると、水中のアサギ機をレーダーで確認しながら毒とスタン弾を撃ち込む。


 あとは俺が、水に落ちずにいられるか、だな。


 何せ、今度はアサギが水没を避けきれないようにと池の氷をほとんど割ってしまった。

 当然、俺の着地地点にも足場はない。


 水中戦になってしまうと、俺の可愛いレーザー砲は攻撃力が30%も下がるからな。ライフルを使うアサギの方が有利になる。


 緊張に汗が滲む。


 俺はレーザーを水面に撃ってなるべく減速しつつ、盾の上に着地した。

 ぐらり。と傾いた盾から、斜めジャンプで陸地へ跳ぶ。


 ズシャッと雪を裂いて着地する。


 よしッ!

 成功だ!!


 俺は方向転換して池にショットガンを構える。

 弾はもちろんスタン弾だ。

 カニバサミはポンポンで毒の用意。


 あとは楽しいモグラ叩きだ。



「さあ来い、アサギ」



 俺の口端が自然と上がった。


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