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超楽しみにしてたロボゲーが、地球に戻る前にサ終したので、過去に戻ってやり直す!  作者: 弓屋 晶都


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資産運用の提案

 封印するしかないと思っていたURプラズマキャノンを気兼ねなく使う唯一の方法がわかった。



 それはすなわち、課金だ。



 俺が、URプラズマキャノンを確実に手に入れられる金額……つまり天井までロボワに課金すれば、URプラズマキャノンだって完全覚醒URプラズマキャノンだって、堂々と使えるんじゃないか!


 あのお嬢様が金で強さを買っていたように、俺もロボワに課金することで後ろめたい思いをせずにURプラズマキャノンが使えるなら、いくらでも払ってやる!


 ……と意気込んだ俺が、UR10個分と引き換えるためには現金で60万円もの大金が必要だと気づいて膝をついたのは、ピアリスが昼食の時間を知らせに来た時だった。


「長尾さん!? どうなさったんですか!?」

「ああ、ピアリスか。もう昼なんだな」


 俺はのそのそとゴーグルを外す。


「長尾さん……、とてもお疲れのご様子ですが……」

「ああいや。……何つーか、俺って金持ってないなって思ってさ……」


「お金を……増やしたいのですか?」


 ピアリスの言葉に、俺はハッと口を押さえる。

 ピアリスは、俺をじっと見つめていた。


「いや、えーと、何でもな……」

「でしたら、長尾さんにはこのような方法がオススメです」


 ピアリスは俺の前にずらりとウィンドウを開く。


 資産運用に投資……株ってことか?


 しかもAI投資……つまりAIが人に変わって売買を代行するタイプのデジタルカタログみたいだな。


「うーん……。提案はありがたいが、俺はこういうのは詳しくないし、そもそも運用できるほどの資産が無いからな」


「そんなはずはありません。4年分の蓄えがある長尾さんの現在の資金でしたら、十分に運用可能です」


 ……いやだから、なんでピアリスが俺の貯金額を把握してるんだよ。

 聞いても怖い返事が戻ってくる未来しか想像できないな。もう黙っておくか。


 確かに俺の現在の貯金額は過去最高だが、これはつい先日4年分の給料がまとめて入ったからだ。


 4年とはいえ1日の実働時間はほんの4時間、労働基準法に触れることのないこの労働時間では、給料だってそう驚くような額じゃない。

 ボーナスだとかもなかったしな。危険手当だけはついたが。


 それでも1000万を超える預金額に俺が浮き足だったのは確かだ。


 ただ、船にいた間は家賃も光熱費も食費もかからなかったので、思ったよりも貯まっているというのはある。


 まあ、最後の一年程は毎食カンパンと水だけだったが。


 ピアリスが栄養補助という名目でビタミン剤等を処方してくれてたおかげで体に不調はなかったが、食事が趣味の人なら発狂していただろうな。


「だとしても、俺にはそういう才能はないからさ……」


「そこはもちろん、私がお手伝いいたします」



 お前、株までできるのか?



「長尾さんは、私に資産運用をお任せいただくだけで大丈夫です」


 いやそんな全面的にお前が運用していいのか?

 いくらなんでもメディカル的権限からは大きく外れるだろ。


 ピアリスは何でもやりすぎるとこがあるからなぁ……。



「ご心配でしたら、まずは5万円だけ、私にお預けいただけませんか?」

「5万円……? そんな小額からできるのか?」


「はい。ミニ株でしたら数百円からご購入いただけるものもございます」

 ピアリスは相変わらずスラスラと返事をする。


「うーん……。ありがたい提案ではあるんだが、これは俺が受けてもいいサービスに含まれるのか?」


 ピアリスは俺の言葉を待ち構えていたかのように、デジタル書類を提示した。


「もちろんです。こちらが私のマニフェストと契約書になります」



 なになに……『乙は甲の将来の不安を取り除くべく、相談には速やかに応じ、最大限の努力をすること』か。

 またAI相手に曖昧な書き方してくれてるな、この契約書は。


 そこらのAIの最大限と、こいつの最大限は大違いだからな。


 まあでも、ルール的にはセーフなのか……?



 俺はしばらく考えてから、慎重に口を開く。


「それじゃあ5万円だけな。で、これが半額……2万5千円以下になった時は、俺に知らせてくれるか?」


「はい、かしこまりました。それでは、こちらが金銭管理に伴う同意書です」


 ああ、こういうのもちゃんとあるんだな。

 それならまあ……大丈夫か……?


 俺は、少しでも増えればラッキーくらいの気持ちで、ピアリスに示された書類にサインをした。



 ***



 あのお嬢様以降は、重課金勢に遭遇する事もなく、俺は午後には無事ゴールドランクに上がることができた。


 10日も期間があるのに、初日でいきなり目標ランクに到達してしまったな。


 もしかして、今のロボワ内だと、俺はそこそこ強い方なのか?

 あー、経験の差があるからか。


 まだロボワを始めて1か月ほどの奴らの中に、俺みたいなロボワ5年目が混じれば、そりゃ長いことやってきた俺の方が強いに決まってるよな。


 でも、この差は程なく埋まるだろう。

 既にリボルバーはこの時点で俺よりずっと上手いしな。



 はぁ、俺ももっと強くなりたいな……。


 息を吐くと、首と背中が痛んだ。


 いてて……。

 長いこと同じ姿勢でゲームしてたから、あちこち固まってるな。


 目も疲れた……。


 そういや、デイリーミッションがまだだったよな。

 パパッと済ませて、ちょっと休むか。





 俺は外したゴーグルを机に置くと、ベッドに身を投げる。


 はー……、体がバキバキだ……。

 ピアリスのメディカルチェックの時間まではもう少しあるな……。


 しょぼしょぼする目を閉じて、目の上に腕を乗せる。

 圧迫感が気持ちいい。


 窓の外からは、街ゆく人々の喧騒が遠く聞こえる。


 1人で過ごした船内はどこまでも静かで、自分以外の人間なんてもうこの世にいないんじゃないかと錯覚させられる瞬間も度々あったが……。




 ……こうやって人の気配を感じられるのはいいな……。





 俺は……地球に戻ってきたんだって、実感、する……。








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