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超楽しみにしてたロボゲーが、地球に戻る前にサ終したので、過去に戻ってやり直す!  作者: 弓屋 晶都


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金持ちのお嬢様

 ってこれURのレーザーガトリンングか!?


 弾の速さと速射性が思った以上だ。

 くそっ、このままじゃ当たるっっ!!


 俺は仕方なく小さなバックジャンプを繰り返して相手から距離を取る。



「私のレーザーガトリングに当たらないなんて、すばしっこい方ですわね」


 まさかあのレーザーガトリンングまで完全覚醒なのかよ……。

 一体いくら金をかければあんなに強化できるんだ?


 くそぅ。仕切り直しになっちまったが、まだこっちの被弾はゼロだ。


 ……と、思いはするものの、あんな重課金機相手じゃ勝てる気がしないな……。



 敵機が装備を変える。


 あれは……、俺の愛するプラズマキャノンだ。

 あいつまさか今回のピックアップUR全覚醒済なのかよ!


 くそっ。


 レーザーガトリングを引っ込めたなら、距離を詰めさせてもらうぜ。


 俺は機体を前傾させて大きく斜め前へジャンプする。


 こいつが森を焼き払ってくれたおかげで、動きはとりやすくなった。


 俺の横をプラズマキャノンが掠めてゆく。

 やっぱ完全覚醒済か。

 そうじゃなきゃプラズマ弾の生成に時間のかかるプラズマキャノンがこんなにすぐ撃てるはずがない。


 俺はレーザー砲を構えて、届くギリギリのところから撃ち始める。


 ん?


 よく見りゃこいつの機体、元がピンクと紫でわかりづらいが、今もしっかり毒が入ってるな。

 てっきりすぐに消されたのかと思ってたが……。



 まさか……気づいてないのか!!



 それなら、もう少し粘ってみるか。

 戦力差はものすごいが、諦めるにはまだ早そうだ。



「きゃあっ、前が見えないですわ。盾はどちらだったかしらっ」



 おーい、アネモネ出てきたぞ。


 やっぱこいつピックアップUR全部揃えてんのか。


 つーかアネモネ持ってるならバフ入れればいいだろうに、入れてないよなこいつ。


 俺が60秒効果のカニバサミアネモネをかけ直す間に、こいつは2回振らなきゃいけないはずだが、そんな様子は一度もない。



 ようやくエネルギーシールドを展開した相手へ。俺は持ち替えたばかりのショットガンでスタン弾を撃ち込む。



「あらっ!? まあっ、どういうことですの!? 動きませんわっ」



 俺は秒数を数える。

 3、4、5。と同時にもう一度スタン弾を打ち込む。


 お。流石のお嬢様も状態異常抵抗は持ってなさそうだな。

 これならあとは5秒おきにスタン弾を放り込むだけで時間が稼げそうだ。


 俺のショットガンのリロード時間は5秒ちょいだが、ステッカーのおかげで今はギリギリ5秒だ。


 これなら永遠にお嬢様をここに足止めできる。



「スタン? 爺、スタンって何ですの? まあ、機械なのに麻痺するんですのね!?」


 近くにいる誰かとリアルで会話してんのか。


 機械だって麻痺はするさ、信号がうまく届かなきゃ動けなくなる。完全に遮断できなくてもノイズが多けりゃエラーになるしな。



「あら!? いつの間にこんなにHPが減ってしまったんですの!?」


 お。ようやく毒に気付いたか。


「毒!? 機械なのに、毒にかかるんですの!?」


 あー……、それはな……。

 俺的には、化学的腐食、疲労破壊、クリープ現象とかの時間依存型累積損傷メカニズムが短時間で起こってんじゃねーかな。って感じで解釈してるけど、まあ、普通に考えたらちょっと納得いかねーよな。そこは認める。



「これを使ったら毒が治るんですのね?」



 俺は自分にバフをかけると、スタンにかかったまま毒状態から抜け出した敵機に、もう一度毒をかけた。



「変わりませんわよ? えっ、もう一度毒にかかったんですの!? 酷いですわ! 毒に麻痺なんて、私動けませんのよ!? どうしたらいいんですの!?」



 ……なんかちょっと、可哀想になってきたな。



 でもなぁ、こうでもしなきゃこいつには勝てそうにねーからなぁ……。



 せめてもの詫びに、これだけ教えといてやるか。

 俺はミュートにしていたマイクをオンにする。


「あー……、汚いやり方で悪いな。そんだけお前が強かったんだよ」


「あら? 相手の声が聞こえますの?」


「ああ、お前の声もずっと聞こえてた」


「ええっ!?」


「右側のパネルにマイクのマークあるだろ? そこをタップでマイクのオンオフが切り替わるから、覚えとくといいぞ」

「まあ、ご親切にありがとうございます」


 お? 意外と……リボルバーより話が通じるか?


「けれど、こんなやり方は卑怯ですわ!」

「ああ、悪いな。他に方法が思いつかなくてさ。一応これもルール違反じゃねーから、次までに対策を考えときな」


 謝りながらも、俺はスタン弾をもう1発入れる。

 敵機のHPや状態は見えない仕様だが、時間的にはおそらくもうあと1、2回……10~20秒ほどで彼女の機体のHPは尽きるだろう。


「次……。次ですって……? 分かりましたわ。次にお会いした時には、絶対に負けませんから!」


 ん? いや、俺との再戦じゃなくてな。

 この先は毒スタンみたいなコンボ仕掛けてくる奴も結構いるぞって話でな?


「クマさん……。あなたのお名前、覚えましたわよ!」


 なんだこの、ライバル宣言みたいな展開は……?


「いやだから、俺じゃなくて……」


 次の瞬間、彼女の機体は爆散した。




 [勝利]と書かれたウィンドウがやけに眩しい。


 相手に名前を覚えられたからには、俺も覚えておくべきか……?

 覚えてなくても、あの口調で話しかけられば分かりそうな気はするが。


 俺は戦績グラフに書かれた対戦相手のプレイヤー名を確認する。


「オジョウ……。には、様をつけて呼べって事なのか……?」



 何だかどっと疲れたが、とりあえず、世の中には金持ちと呼ばれる層が本当に実在するんだなということだけは体感した。


 つーかなんで金持ちのお嬢様が、平日の昼間っからロボットバトルゲームなんてやってるんだよ……。




 しかしこれで、封印するしかないと思っていたURプラズマキャノンを気兼ねなく使う唯一の方法がわかった。



 それはすなわち、課金だ。




 俺が、URプラズマキャノンを確実に手に入れられる金額……つまり天井までロボワに課金すれば、URプラズマキャノンだって完全覚醒URプラズマキャノンだって、堂々と使えるんじゃないか!?



 あのお嬢様が金で強さを買っていたように、俺もロボワに課金することで後ろめたい思いをせずにURプラズマキャノンが使えるなら、いくらでも払ってやる!


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