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超楽しみにしてたロボゲーが、地球に戻る前にサ終したので、過去に戻ってやり直す!  作者: 弓屋 晶都


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24/32

シルバーランク

 ピピッとレーダー内に熱源反応が入ったことを示す音が鳴る。


 お。正面側か、ありがたい。


 相手は長距離武器を持っていないのか、武器を構えてはいるもののまだ撃ってこない。

 俺は、範囲を絞って距離を伸ばしたレーザー砲を浴びせる。


「わ、うわ」と相手の声が聞こえる。

 相手はボイスをオンにしていたようだ。

 俺のボイスはオフだが、相手がオンにしてれば相手の声だけは聞こえるんだな。


 もしかしたら、まだボイスの設定にも気づいていない初心者の可能性はあるが……。



 ……悪く思わないでくれよ。


 俺は、そろそろ届くようになったマシンガンで更に与ダメージを増やす。

 相手は、戸惑いの声を漏らしながら、武器を使う間もなく爆散した。


「よっし! まずは1勝!!」


 [勝利]と書かれたウィンドウが眩しい。

 0ポイントだった俺のポイントが10ポイントになる。

 そういや、連勝できればさらにボーナスで3ポイントつくんだっけな。


 俺の今のランクはブロンズD。

 各ランクはさらに4段階に分かれていて、ブロンズAの上がシルバーDとなる。


 次勝てば、早速ブロンズCに上がれるな。

 ブロンズランクの間は負けてもポイントが減らないから、とにかくたくさん戦ってたくさん勝つぞ!


 俺は早速2戦目の出撃ボタンを押す。


「この調子で行くぞ!」


 俺は気合を込めて『準備完了』のボタンを押した。



 ***



 [昇格]

 [シルバーランクに昇格しました]



「っしゃあ!」


 俺は自分でも驚きの8連勝で、ストレートにシルバーランクに到達してしまった。

 いやあ、連勝ボーナスって連勝が続くほど増えるんだな。


 まあ、PvPの初回で初日ということもあり、とりあえず入ってみたという感じの非対人武装機が多く、俺の実力と言うよりは、たまたま相手に恵まれたってとこではある。が、それでも嬉しいものは嬉しい。


 まさか初日でここまで来れると思ってなかったからな。

 試合ペースも1試合に5分程度でまだゲーム開始から1時間ほどだし、まだまだ戦える。


 やっぱあれだな、アサギ達と行った迷宮ダンジョン。

 あそこで貰った特別報酬……いわゆる迷宮ステッカーの効果がデカいな。


 このステッカータイプのアイテムは、機体に貼ると何のコストも無しに永久的に効果を発揮する、使い勝手の良いブーストアイテムだ。

 張り替えもローコストだしな。

 数年も経てば、ランキング上位の機体にはこんなステッカーがベタベタ貼られるようになる。


 王様ネズミの落としたステッカーは王冠のイラストの奥にネズミのシルエットが入っていて、デザインも悪くない。

 何より効果がリロード時間の2%短縮と、かなり有難い性能だった。


 あれにはリボルバーも喜んでたしな。

 あの早撃ちに、リロード時間の短縮が加わればものすごい効果だろう。


 しかもこのステッカー、同一機体に同じステッカーが3枚まで貼れる。

 当然、俺達はすでに3回、王様ネズミを倒していた。

 迷宮ステージはクリアまでにどうしても時間がかかるが、それでも迷宮ボスさえ倒せば確実にステッカーが手に入るってのはありがたいとこだよな。


 そんなわけで、俺とアサギとリボルバーのリロード時間は6%短縮だ。


 俺がさっきから遠距離レーザーをホイホイ撃てているのも、これのおかげだな。

 レーザー武器は1発が強力な分リロードに時間がかかる物が多いが、そこが短縮されれば時間あたりのダメージが随分違ってくる。


 本当はゼンにも取らせてやりたかったんだが、俺とアサギとゼンの3機だと、ネズミの群れは何とか3機全員でスタンさせまくれば倒せるんだが、王様ネズミで全滅するんだよな……。

 それに、俺たちだけだと、王様ネズミに行くまでも相当時間かかるしな。


 リボルバーとゼンの時間が何とか合わせられればと思ったんだが、リボルバーにこの事を話したら「下手くそはアサギ1人で十分だ」って言われたからな。

「いやいやいや、アサギはうまいだろ。かなりうまい方だろ!」って思わず叫んだが、まあリボルバーから見れば全員下手くそに見えるんだろうな、とは思う。


 つまり、リボルバーとしては戦力になるやつならともかく、足手まといの面倒を見る気はないって話なんだよな。


 そんなわけで、ゼンが迷宮ステージをクリアする日はもうしばらく先になりそうだ。


 俺が、封印したUR武器を持ち出せば何とかなりそうな気はするんだが、人助けだとか言って一度使い始めたら、もう手放せなくなりそうだからな……。


 正直俺は、自分の自制心に自信がない。



 ゼンには悪いが、俺とアサギがもうちょい成長するまで待っててほしい。


 俺は、頭の隅でいつも虹色に輝くURプラズマキャノンの存在を振り切るように頭を振って、操縦桿を握り直した。


「このまま、ゴールドランクまで行くぞ!」


 ありがたいことに、PvPでは消費した武器やエネルギー、機体の損傷は全て一試合ごとにリセットされる。

 だから、遠慮なく戦える。


 俺は9戦目の『出撃』ボタンを押して、『準備完了』のボタンを押した。



 ***


 目の前に広がったのは、ジャングルだ。


 シルバーランクのステージはジャングル、荒野、コンテナ工場の3つからランダムで選ばれる。

 荒野は視界が広く長距離武器が有利なので俺向きだし、コンテナ工場も高低差のある立体マップで、ジャンプに強い逆関節機向きだ。


 そんな中で、このジャングルステージは俺にとって唯一不利なステージだった。


 まず、視界を遮る物が多く、長距離砲が役に立たない。

 頭上も木々に覆われていて、高めに飛ぶと引っかかることもある。


 初っ端からハズレステージか。


 俺は自分にバフをかけると、なるべく大きな樹を背にして周囲を見渡す。


 熱源感知センサーの範囲よりも視認の方が遠くまで確認できるんだが、この木々の中じゃ難しいよな……。

 急旋回のできないこの機体じゃ、後ろから来られるとアウトだ。


 軽く素早くセッティングしているこの機体の装甲では、重量級の砲撃を至近距離で喰らえば一発撃破もありえるからな……。



「見つけましたわ!」

 またボイスオンの相手か。


 数瞬遅れて俺のレーダーがピピッと熱源反応音を立てる。


 そっちか。

 俺は軽いバックジャンプで距離をとりつつレーザーを放つ。


「あら、逃げられてしまいましたわ」

 敵機は俺を見失ったらしく、キョロキョロと辺りを見回している。


 今のうちに、索敵用センサーのギリギリまで詰めて……。


「仕方ありませんわね。そこら中燃やしてしまいましょう」

 敵機が装備をグレネードランチャーに交換する。


 何だって!? URのグレネードランチャーじゃないか!

 俺は慌てて散弾で頭上を覆う木々を撃ち壊す。


「きゃっ、こんな近くにいらしたんですの!?」


 敵機は俺に照準を合わせ直そうとするが、既にトリガーは引かれている。

 着弾より一瞬早く、俺は地を蹴って飛び上がった。


 ぐんぐん上昇する高度。


 眼下にはグレネード弾に焼き尽くされてゆく森。


 俺の想定より威力も範囲も上だ。

 まさか……、あのURグレネードは完全覚醒済なのか!?




「きゃああっ、痛いですわ!」


 どうやら敵機は、俺に照準を合わせようと最後に砲身を下げたせいで、広範囲のグレネードに自分も焼かれているらしい。



 何だか残念なお嬢様だな……。


 自分の武器の攻撃範囲くらい、しっかり把握しといた方がいいぞ。


 俺は、せっかくの力を発揮できないURグレネードを若干不憫に思いつつ、降下に合わせてレーザー砲とマシンガンを連射する。


 ついでにカニバサミで毒も入れとくか。

 これで終わるだろう。



 そう思った俺の予想に反して、敵機は俺の攻撃を受け切った。


「なかなかやりますわねっ! ですが私のエネルギーシールドの前では無力ですわ!!」


 エネルギーシールド!? 1枚1万円の課金専用UR装備じゃねーか!!


 レーザーに強いとはいえ無力ってことは……。


 俺は敵機の損傷度を目視する。

 いやほぼ無傷じゃねーかよ!


 本当に……当たったのはマシンガンだけだってのか!?


 まさかこのシールドも完全覚醒済なのか!?


 4万円のエネルギーシールド!?



 俺は着地と同時にもう一度跳ぶ。

 案の定、着地狙いの弾が俺の足元を掠めた。




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