十六幕・十月の十六日
※視点変更有り プラチナ→かばね
昼下がり、ジャックが僕の部屋に現れる。
そろそろかな、とは思ってたけど。
ここしばらくジャックは大人しかったしね。
まぁ、かばねと騒いではいたけど、あれくらいならいつものことだし。
僕はキーボードから指を離し、ジャックに声をかける。
「…仕事?」
ジャックは一言だけ、
「…ん。」
と答えて肯定の意を示す。
…けど、
「…なるべく大勢を相手しなくていいやつが良い。簡単で、面倒じゃないの。」
と、いつもとは違い、言葉を続けてくるジャックに僕は目を丸くした。
ジャックが依頼に条件付けなんて、珍しい。
けど、ジャックの言った条件は結構『らしい』条件だし、特におかしくもないか。
ジャックは面倒なのも、ややこしいのも嫌いだからね。
どうせ、いつもの気紛れだろう。
条件を絞るってコトで、少しパソコンを操作して考え込む。
カタカタとキーボードの音だけ部屋に響かせ、見つけたそれを画面に表示して、ジャックの方に向ける。
そして、一応口頭確認もするべきかと、内容を説明する。
「ターゲットは▲▽製薬の社長。最近麻薬方面に手を出している。それが邪魔だって同業者から暗殺の依頼。他の社員は一般人も多いしあまり殺しちゃ駄目だから、こっそり侵入して殺すことになる。そこは僕がサポートするから、ジャックはターゲットの所まで行って殺すだけ。どう?」
言い終わってジャックの方を見ると、明らかな不機嫌顔。
「…ちっ…。」
「舌打ちっ!?」
「お前も来るのか。」
「不満なのはそこっ!?僕嫌われてんのっ!?ねぇっ!!」
僕が叫ぶと、
「五月蠅い。」
と、一蹴される。
ほんっとにこの反抗期少年は…っ!!
僕は片手で頭を抱えて溜め息をつく。
「だったらいいよ、別のにする?これが一番条件に合うと思うけど。ジャックが僕と組むの不満なら、少し条件緩めて他のを見繕うから。」
そう僕が言えば、
「…じゃあ仕方ない。一緒に来れば。足手まといになったら置いてく。」
なんて憎まれ口をきく。
あぁもうっ!
どうしてこうも、うちのメンバーは人の神経を逆なでするような言動をするんだか…。
そして、それに慣れてしまってる僕も僕だね。
僕は外出用のPCをカバンに入れ、上着をひっつかんで立ち上がる。
「行くならさっさと行くよ、ちょっと遠いからね。どうせすぐ行けるよう準備してるんでしょ?待たないから。」
そう言って部屋を出ると、ジャックは文句も無しに付いてくる。
ツンデレかっ!
全くめんどくさいメンバーだなぁ……っ!!
階段でかばねと鉢合わせる。
おやつを銜えながら階段を下りてきたかばねは、キョトンとした顔で僕達に尋ねてくる。
「出るの?プラたん、ジャック?」
「うん、ジャックのサポート。」
僕がそう答えると、かばねはへらっと笑った。
「プラたん、楽しそうだねぇ。」
僕は一瞬呆気にとられた。
僕が、楽しそう?
ジャックじゃなくて?
そんなまさか。
僕は苦笑しながら答える。
「…冗談。」
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僕とすれ違って階段を上がってく二人の背中を見送って、僕は機嫌よくおやつを齧る。
最近こもりっぱなしだったから、プラたんちょっと溜まってたみたいだけど、今回のお仕事でちゃんと発散できそうだね。
良かったー。
外に出て仕事するのも気分転換には大事だよ。
ずっと中に居たらプラたんってばすぐ欝々としちゃうんだから。
もー分かってないのは自分だけだよねー。
僕は軽い足取りで廊下を歩く。
さーて、プラたんのいぬ間に何しよーかなー。
お仕事で発散してくるだろうし、ちょっとくらいの悪戯なら許してくれるはずだよねー。




