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食屍鬼と愉快な殺人日記  作者: 莉子
二話・十月のジャックの章
95/330

十六幕・十月の十六日

※視点変更有り プラチナ→かばね

昼下がり、ジャックが僕の部屋に現れる。



そろそろかな、とは思ってたけど。


ここしばらくジャックは大人しかったしね。


まぁ、かばねと騒いではいたけど、あれくらいならいつものことだし。



僕はキーボードから指を離し、ジャックに声をかける。



「…仕事?」



ジャックは一言だけ、



「…ん。」



と答えて肯定の意を示す。


…けど、



「…なるべく大勢を相手しなくていいやつが良い。簡単で、面倒じゃないの。」



と、いつもとは違い、言葉を続けてくるジャックに僕は目を丸くした。


ジャックが依頼に条件付けなんて、珍しい。


けど、ジャックの言った条件は結構『らしい』条件だし、特におかしくもないか。


ジャックは面倒なのも、ややこしいのも嫌いだからね。


どうせ、いつもの気紛れだろう。


条件を絞るってコトで、少しパソコンを操作して考え込む。


カタカタとキーボードの音だけ部屋に響かせ、見つけたそれを画面に表示して、ジャックの方に向ける。


そして、一応口頭確認もするべきかと、内容を説明する。



「ターゲットは▲▽製薬の社長。最近麻薬方面に手を出している。それが邪魔だって同業者から暗殺の依頼。他の社員は一般人も多いしあまり殺しちゃ駄目だから、こっそり侵入して殺すことになる。そこは僕がサポートするから、ジャックはターゲットの所まで行って殺すだけ。どう?」



言い終わってジャックの方を見ると、明らかな不機嫌顔。



「…ちっ…。」


「舌打ちっ!?」


「お前も来るのか。」


「不満なのはそこっ!?僕嫌われてんのっ!?ねぇっ!!」



僕が叫ぶと、



「五月蠅い。」



と、一蹴される。


ほんっとにこの反抗期少年は…っ!!


僕は片手で頭を抱えて溜め息をつく。



「だったらいいよ、別のにする?これが一番条件に合うと思うけど。ジャックが僕と組むの不満なら、少し条件緩めて他のを見繕うから。」



そう僕が言えば、



「…じゃあ仕方ない。一緒に来れば。足手まといになったら置いてく。」



なんて憎まれ口をきく。


あぁもうっ!


どうしてこうも、うちのメンバーは人の神経を逆なでするような言動をするんだか…。





そして、それに慣れてしまってる僕も僕だね。



僕は外出用のPCをカバンに入れ、上着をひっつかんで立ち上がる。



「行くならさっさと行くよ、ちょっと遠いからね。どうせすぐ行けるよう準備してるんでしょ?待たないから。」



そう言って部屋を出ると、ジャックは文句も無しに付いてくる。


ツンデレかっ!


全くめんどくさいメンバーだなぁ……っ!!








階段でかばねと鉢合わせる。


おやつ(・・・)を銜えながら階段を下りてきたかばねは、キョトンとした顔で僕達に尋ねてくる。



「出るの?プラたん、ジャック?」


「うん、ジャックのサポート。」



僕がそう答えると、かばねはへらっと笑った。



「プラたん、楽しそうだねぇ。」



僕は一瞬呆気にとられた。



僕が、楽しそう?


ジャックじゃなくて?



そんなまさか。



僕は苦笑しながら答える。



「…冗談。」



















ーーーーーーーーーーーー


僕とすれ違って階段を上がってく二人の背中を見送って、僕は機嫌よくおやつ(・・・)を齧る。


最近こもりっぱなしだったから、プラたんちょっと溜まってたみたいだけど、今回のお仕事でちゃんと発散できそうだね。


良かったー。


外に出て仕事するのも気分転換には大事だよ。


ずっと中に居たらプラたんってばすぐ欝々としちゃうんだから。



もー分かってないのは自分だけだよねー。



僕は軽い足取りで廊下を歩く。
















さーて、プラたん(おに)のいぬ間に何しよーかなー。







お仕事で発散してくるだろうし、ちょっとくらいの悪戯なら許してくれるはずだよねー。




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