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十三幕・十月の十二日
…濃赤の瞳が俺の手元をじぃーっと見ている。
「……何。」
耐えかねて声をかけると、気の抜けるような声で
「んー…ジャックは刃物の手入れ欠かさなくて、すっごいなぁってさぁー。」
と、返ってくる。
そして、かばねはナイフの手入れをする俺を、俺の隣、ソファーの上に足を抱えて横向けで座り、背にぐでんと頭を預けて見ている。
勝手に俺の部屋に入ってきたが、いつものことなのでそこはもういい。
…あれ以降、予想に反してかばねからの追及は無い。
気付いているのか、いないのか。
コイツは本当に読めない。
「ジャックー。」
間延びした声で呼びかけられる。
俺は視線だけをそちらに向け、かばねの言葉を待つ。
「ダメになって、話したくなったらちゃんと言ってね。」
瞬間、跳ねあがる心臓。
それを表に出さないようにどうにか抑え、
「…五月蠅い。」
そう返して俺は目の前の銀色の輝きに集中した。




